この記事をまとめると
ホンダの2代目NSX(海外市場での名称はアキュラNSX)を紹介



■スポーツカーらしさと環境性能を両立するハイブリッドスーパーカー



■中古車相場についても解説する



ハイブリッドスーパーカーとして開発された2代目NSX

いまだに人気が衰えない初代とは異なり、2代目となるアキュラNSXは自動車好きのみならず、初代のファンやホンダ好きからの支持も少なく思えます。



とはいえ、スポーツカーらしさと環境性能を両立する新世代ハイブリッドスーパーカーとして開発された同車は数多くの魅力を備えているのは間違いありません。



今回はアキュラNSXの特徴を中心に、どんな魅力があったのかを探っていきましょう。



アキュラNSXとは

1989年に登場した初代NSXから27年後の2016年にデビューしたアキュラNSX。3.5リッターV6エンジンに3つのモーターを組み合わせた新次元スーパーカーとして登場した新生NSXは、国内外に大きな衝撃を与えた初代同様、注目を集めました。



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ワイド&ローを徹底したエアロダイナミクスボディも新世代のスポーツカーらしいフォルムでしたが、コンセプトカー発表から発売まで4年間経たことで新鮮さが薄まったことは否めません。



アキュラNSXは改良が行われながら販売されていきましたが、2022年に国内での販売を終了。販売台数はもちろん、残念なことに初代ほどのインパクトも残すことができませんでした。



開発のきっかけ

多くの人がアキュラNSXについて、初代とは違い、アメリカで企画・生産されたと認識していますが元々は日本で企画され、製品化や生産をアメリカホンダが担ったクルマです。



初代NSXの生産が終了した後、同車のオーナーたちからホンダには走るクルマのイメージが薄くなったなどの声を受け、ホンダはV10エンジンを搭載するFRスポーツカーを企画。開発は進んでいましたが、リーマンショックの影響を受けその企画が凍結されてしまいました。



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アキュラのFRスポーツカーのコンセプトモデル



スポーツカー開発にとって厳しい状況のなかでしたが、ホンダ社内では「スポーツカーを開発したい」との声が大きかったようで様々なサイズのスポーツカーが企画検討されていき、アキュラNSXのプロジェクトは本格化していきました。



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NSXコンセプトのモックアップ



アキュラNSXは開発が進み2012年のデトロイトモーターショー(北米国際自動車ショー)でコンセプトモデルを発表。市販モデルは2015年1月のデトロイトモーターショーで初公開され、2016年4月から北米での販売を開始。国内には同年8月より販売申込みが開始されます。



残念ながら2022年に国内販売が終了してしまいましたが、初代同様、ホンダのブランドイメージを高めたスポーツカーとしてその存在は大きなものだったのではないでしょうか。



アキュラNSXの特徴

デザイン
アキュラNSXのエクステリアデザインは初代同様、ミッドシップスポーツカーらしいキャビンフォワードのフォルムが特徴です。



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2代目NSXのリヤビュー



スポーツカーらしさはもちろん環境性能も両立するスーパーカーを目指して日米両方からデザイン提案を行い、最終的にコンセプトカーの評価が高かったことで市販モデルのデザインが確定したといいます。



縦置きレイアウトを参照したことや主要マーケットが北米だったことなどが理由で、デザインに初代からの共通テーマはなさそうですが、シャープなラインなど緻密さを備えているところはNSXらしいポイントとも言えるでしょう。



インテリアも初代のエッセンスを感じることはありませんが、鳥の羽をモチーフに骨格が見えるようデザインしたインパネなど、印象的な造形に仕上がっています。



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2代目NSXのインテリア



足元を引き締める鍛造アルミホイール(フロント19インチ、リヤ20インチ)はポリッシュド、切削、ペインテッドと表面処理が異なる3タイプが用意されていました。



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2代目NSXの鍛造アルミホイール

レイアウト
初代同様、アキュラNSXはエンジンを中央に搭載するミッドシップ・レイアウトを採用しています。ただ、初代がエンジン横置きだったことに対してハイブリッドスポーツカーとなったアキュラNSXはエンジンとトランスミッションを縦置きにし、フロント2輪をモーターで駆動する方式へ変更しました。



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2代目NSXのパワートレインのレイアウトイメージ画像



またモーターの動力となるバッテリーはシートとエンジンルームの間に配置し、クランクシャフトに直結させたモーターでリヤ2輪を電動アシスト。パワーユニットやバッテリー、モーターなどを可能な限り車体中央部に配置することで前後車重配分は42対58となっています。



V6エンジンはオイルの供給方式にドライサンプを採用したことやバンク角を75度としたことで、搭載位置を低く配置することが可能となりました。低重心化を実現したことは走行性能に大きく貢献しています。



エンジンの他に3つのモーターを搭載

パワーユニット
アキュラNSXはJNC型3.5リッターV6ツインターボエンジンに加え、3つのモーターがアシストするハイブリッドスポーツカーです。



このハイブリッドユニットは、基本的にエンジンにより発電した電力でモーターを駆動するシリーズ式ハイブリッド。



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2代目NSXのパワーユニットのイメージ画像



ただし、走行状況によりエンジンで駆動したほうが効率的なシーンでは、直結クラッチによりエンジンのみによる走行も可能。さらにエンジンの動力にプラスしモーターアシストを加えるパラレル式の要素も併せ持つのが特徴です。



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2代目NSXのパワーユニットの作動イメージ画像



モーターとともに搭載されるエンジンは排気量やV6のため、レジェンドと同じ形式かと思いきや実は専用設計のパワーユニット。先程、お伝えしたようにアキュラNSXはこのエンジンを縦置きに搭載していますが、開発当初は横置きレイアウトを採用予定だったといいます。



ただ、500馬力以上のパワーを実現するためエンジンやトランスミッションの無理な小型化を諦め、縦置きレイアウトを採用しました。



結果、エンジンの最高出力は507馬力を発揮。3つのモーターのパワーを合わせるとシステム出力は581馬力を誇っていました。
スポーツハイブリッドSH-AWD
先程、お伝えしたようにアキュラNSXにはエンジンの他に3つのモーターを搭載していました。



ひとつはクランクシャフトに直結し、リヤを駆動するメインモーター。さらにドライブシャフトを介して前輪を駆動するツインモーターユニットが車体中央に装備されています。



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2代目NSXのツインモーターユニット



このユニットは左右独立2つモーターをワンウェイクラッチでつないだもので、このシステムのトルクペダリングやブレーキ制御によりコーナリング時の旋回力を高めていました。



発売当時、アキュラNSXに試乗したメディアの多くが旋回性に対して「オンザレール」と評していましたが、これはツインモーターユニットそれぞれの制御を行うことで実現していたのです。



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2代目NSXの走行写真



またハイブリッドユニットと組み合わされるトランスミッションは、専用設計された9速DCT。9速をハイレシオ設定としたことで、高速走行時に燃費性能を高めています。


室内空間、装備
ガーニッシュが目を引くインパネや上部が平たくなったステアリングなど、スポーツカーらしい空間に仕立てられたアキュラNSXのインテリア。ただ、力強さとともに上質さも印象付けられていました。



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2代目NSXのインテリア



メーターは新時代のスポーツカーらしく、TFTディスプレイのデジタル式を採用。状況に応じて表示を切り替えることが可能です。



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2代目NSXのデジタル式TFTディスプレイ



発売当時、ゴルフバッグを積載可能なことでも注目を集めた初代同様、アキュラNSXにも実用的なラゲッジルームを備えています。ただ、パワーユニットを縦置きにしたことなどで残念ながらゴルフバッグを積むスペースを確保することはできませんでした。



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2代目NSXの荷室空間



「Type S」とは

2022年、アキュラNSXの最終モデルとして限定販売されたのが「Type S」です。



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2代目NSX Type Sのエクステリア



前後バンパーを専用デザインとし空力性能を向上。ホイールも新たにデザインされ、ワイドトレッド化されました。



Type S最大の特徴がパワーユニット。システム自体に変更はありませんが、エンジンの最高出力を529馬力にパワーアップ。システムトータルでは610馬力となりました。



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2代目NSX Type Sのエンジンルーム



このType Sは世界で350台限定販売となり、国内では30台ほどが販売されています。



生産設備

アキュラNSXが生産されていたのはアメリカのオハイオ州にある専用工場。PMCと呼ばれる専用工場を立ち上げ、多くの工程で手作業での車両生産を行っていました。



とはいえ溶接などは100%ロボット化を実現するなど、品質管理を徹底することで高級スポーツカー生産のクオリティを可能としていたのです。



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2代目NSXが生産されていたアメリカ・オハイオ州のPMC



このPMCはNSXの生産が終了となった現在、どうなったのかと思っていましたが2024年からCR-Vをベースにした新型FCEVの生産を行う拠点となるそうです。



アキュラNSXの中古車相場

アキュラNSXの中古車相場は2180万~3000万円。ただ販売されている台数は初代(75台)より少ない、わずか18台しかありません。



いずれも走行距離は0.1万~3万kmと少なく、なかには500km以下の車両も見受けられます。生産中止となったことで、アキュラNSXの中古車は販売中より注目されているようです。



2代目アキュラNSXの魅力とは? 中古車相場についても解説!
2代目NSXの集合写真



ちなみに初代NSXの中古車相場は640~2200万円。こちらは相場が高値安定、というよりも年々、上昇しています。とある専門店では「ウチで7年前に400万円で売った中古車を、昨年、販売したオーナーから490万円で購入した」と、何を言っているのかわからないような相場になっていました。



ただ、初代NSXの中古車は数も限られており、販売については専門店を通して所有者から信頼できるお客さんへ販売することが増えているそうです。



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初代NSXのエクステリア



信頼できるとは、段階的にレストアを進めてきた所有者からそれを引き継いで車両をそのまま整備し続けてくれる人。そのようにちゃんと手入れされ続けてきた車両が相場を押し上げているのかもしれません。



先程、コメントしてくれた専門店のオーナーに初代NSXを安く買う方法がないかを聞いたところ「AT車は人気薄なので比較的購入しやすかったが、いまは高くなってしまった。それでも一番安く買える仕様はAT車の黄色」とのこと。中古車として出回るかどうかわかりませんが、初代NSXの購入を考えている方は参考にしてみてください。



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初代NSXの集合写真



まとめ

販売が終了したことで、いまや話題になることもなくなってしまったアキュラNSX。見た目もかっこよく、また走行性能も高いハイブリッドスーパーカーだったにもかかわらず人気を得ることができなかったのは偉大な先代となる初代NSXの存在が大きかったことが挙げられます。



初代とはまったく異なるコンセプトを採用したことで、初代のオーナーやファンからの支持を得られなかったアキュラNSXは、ある意味、不運なクルマでした。



ただ、パワーユニットにハイブリッドを採用したことなど、ホンダらしさが溢れていたスポーツカーであることは確か。個人的には、もっと評価されて良いモデルだと思います。

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