この記事をまとめると
■3月22日から4月2日にかけてタイ・バンコクで「第44回バンコクモーターショー」を開催■活況を呈する中国メーカーとBEV。2023年は新たにBYDもブースを出展
■これまでは中国メーカーブースでは若者が目立っていたがいまは年配の方もよく見かけるようになった
日本車がシェア8割を占めるタイで中国メーカーが大活況
3月22日から4月2日の日程で、タイの首都バンコク近郊にて「第44回バンコクモーターショー」が開催された。昨年、コロナ禍後初めてバンコクモーターショーを訪れたときには、中国上海汽車系のMG、同じく中国長城汽車系のGWMがブースを構えて(あと中国系ではNETAもあった)存在感を見せていたことに驚かされた。
そして今回はさらに比亜迪(BYD)汽車が新たにブースを構えていた。単に中国系メーカーの出展が増えていたというだけでなく、ブースを訪れる一般来場客の顔ぶれにも変化があったことに驚かされた。
中国系メーカーブースの目玉展示といえば、当然得意とするBEV(バッテリー電気自動車)となる。BYDやNETAを除けばICE(内燃エンジン)車も展示されているが、やはり主役はBEVだ。おもにバンコク及び周辺となるのだろうが、すでに街なかでは中国メーカーのBEVを多数目撃することができる。
ただし、昨年の会場で中国系メーカーブースを訪れる多くの人は、バンコク首都圏に住む若い人や、感度の高い(トレンドに敏感)外資系企業などに勤務する人、インテリジェンスの高い富裕層が目立っていた。
一方で日本メーカーブースでは、長い間日本車に乗ってきたといった年配の人も目立ち、明らかに客層の違いが浮き彫りになっていた。
バンコクで浸透する中国BEVに日本製BEVは追いつけるのか?
しかし、今回の中国系メーカーブースをみると、感度の高い人だけでなく、年配の人も含めさまざまな人を見ることができた。筆者の私見となるが、タイ政府もBEVを含むZEV普及に熱心であり、購入だけでなく現地生産などにおいてもインセンティブを用意している。それもあり、とくにバンコク首都圏では東京以上にBEVを見かけることができる。
しかも、東京のようにBEV=テスラということもなく、中国系メーカー車が主流となっている。
つまり、日本メーカーがBEVをなかなか増やすことなくマゴマゴしているようにも見える間に、タイでのBEVを取り巻く環境は新しいフェーズに入ってきているともいえるのだ。
中国系メーカーのBEV普及モデルの価格は400万円ほど。欧州ブランドは輸入されていることもあり1000万円以上が当たり前なので富裕層がメインユーザーだが、中国系メーカーのBEVは、外資系メーカーなどに勤務する中間所得層がメインユーザーと考えられる。さらに最近では、300万円もしくはそれを切る割安BEVも登場してきている。
これだけ市場形成やフェーズが進んでしまってから、日本車はBEVを積極投入していくことになるが、それはかなり体力のいる仕事になっていくだろう。

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