この記事をまとめると
■モビリティカンパニー「ZOOX」が無人の「ロボタクシー」の実証実験を開始■ZOOXはクルマの自動運転化だけでなく周辺環境そのものまでAI管理というパッケージを推進している
■ZOOXの車内はふたりが並列に座るシートが対面式に置かれた4人乗りとなっている
自動運転の実現にむけてロボタクシーの実証実験開始
自律走行レベル5、いわゆる無人運転のニュースが増えていますね。何年か前ならSF映画のワンシーンだったものが目の前にある現実となっているわけですから、ピンとこない方もいらっしゃるでしょう。とはいえ、クルマ好きならZOOXというモビリティカンパニーが実証実験をしている「ロボタクシー」は気になる存在かもしれません。
数年前にZOOXはかのアマゾン傘下となり、大手半導体メーカーのNVIDIAがパートナーシップを結ぶなど、盤石な後ろ盾に支えられています。なにしろある調査によれば、無人タクシーの市場は2兆ドルという規模が予測されていますから、大資本や先端技術企業が手を出さないはずがありません。
レベル5市場はほかにもグーグルやソニー、GMなどが参入を計画していること、先刻ご承知かと。水面下で激しい開発競争が繰り広げられていることは想像に難くありませんが、やっぱり実証実験を盛んに行っているZOOXはソフト&ハードともにリードを見せているようです。
ロボタクシーというと「オ・キャ・ク・サ・ン、ド・チ・ラ・マ・デ?」みたいなビブラート声を想像しがちですが、それは時代遅れも甚だしい。ZOOXは走行機能にNVIDIAが提供するAIが活用されていますから、ヴォイス・オーバー・コントロールがデフォルトで、あたかも自宅でSiriやグーグルにコマンドするかのような操作に違いありません。

また、ZOOXに搭載された人工知能だけでなく、ロボタクシーが走る環境インフラの構築もNVIDIAがバックアップ。つまり、クルマの運転を自動化するだけでなく、周辺環境そのものまでAI管理というパッケージを推進しているわけ。
これにより、移動に伴うコストの軽減だけでなく、安全性の飛躍的進歩まで望めるという、まさに手塚治虫先生が描いたような未来が待ち受けているのです。
見た目のかわいさとは裏腹に最先端の技術を採用
さらに、ZOOXという乗り物もトピックス満載です。だいたい、運転手がいないわけですから、すべて乗員優先の開発ということからして新しい! 当然EVであり、133kWhのバッテリーを搭載し、ドライブユニットとサスペンションはクルマ好きならお馴染みのドイツ「ZF社」が提供しているとのこと。

そして、イタリアのハイテクファクトリー「CPC社」によるカーボン製メインフレームを用いているのですが、これが前後対称という電車みたいなスタイル。
また、車内はふたりが並列に座るシートが対面式に置かれた4人乗りとなり、乗員同士のコミュニケーションも楽しめるという寸法。これまで、タクシーの運ちゃんがいってた「仕事帰りですか? お疲れさんデス」なんてのを互いにいいあうチャンスも生まれそう(笑)。

なお、万が一の衝突時もエアバッグで乗員同士の衝撃もカバーされているので、安心ではないでしょうか。
ZOOXでは、すでにロボタクシーで1.6km離れた拠点間を従業員向けに運用しているそうです。サンルーフや大きなサイドウインドウを装備しているので、快適そうな車中も想像がつきますね。

2030年には、前述の2兆ドル市場に成長が見込まれている無人タクシーですが、日本でも自動運転のバスなど実証実験が盛んに行われています。コストや安全面だけでなく、渋滞緩和にも役立ちそうなロボタクシー、クルマ好きとしては歓迎できるテクノロジーではないでしょうか。