この記事をまとめると
■引っ越し業者のトラックが路上に止まって作業をしていることがある



■道路交通法で認められている行為か否かを解説



■「駐車許可証」が交付が必要なケースもある



「すぐ運転できる状態」であればOK!

春の引っ越しシーズン、マンションやアパート、一戸建ての前に、引っ越し業者のトラックが止まり、たくさんの荷物を出し入れしている光景を何度か見かけた。



引っ越しのときに、玄関前にトラックを横付けして作業するのは、仕方がないことだが、ごく稀に「こんなところにクルマを止めて邪魔だ」と文句を言う人もいるようだ……。



狭量な人だなと思うと同時に、法律的にはどうなのか気になったので調べてみた。



路駐で作業している引っ越し業者のトラック! 仕方ないとは思い...の画像はこちら >>



言うまでもなく、道路は本来、人やクルマが通行するのが目的なので、基本的に街中のほとんどの道は駐車禁止だ。



「駐車」とは、



・継続的に停止すること



または



・運転者が車両などを離れてただちに運転できないこと。



(※荷物の積卸しのための停止で5分を超えない時間内のもの 及び人の乗降のための停止を除く)



(道路交通法第2条第18項)



ということは、「運転者がすぐ運転できる状態」であれば、例外的に駐車禁止の場所にも駐車できるともいえる。



引っ越しなどで、ほかのクルマからクレームがついたり、警察官が見回りに来たときに、「すみませーん、すぐ動かしますんで」と答えられれば、駐車禁止に当てはまらない……。



また、標識の指定がない道で、右側に3.5m以上の余地を確保できなければ、その場所に駐車はできない「無余地駐車の禁止」のルールもあるが、荷物の積みおろしなどですぐに運転できる状態であれば、これもまた例外的に駐車違反にならない。



「駐車許可証」の交付が必要なケースも

いずれにせよ、引っ越しの場合、「運転者がすぐ運転できる状態」という前提で、お目こぼしになっているケースが大半だが、業者によってはあらかじめ所轄の警察署に申請して、(引っ越しのための)「駐車許可証」を出してもらうことがある。



これは個人でも申請できるので、引っ越し早々近所で揉めたりしないように、できれば「駐車許可証」を交付してもらい、お墨付きをもらって引っ越し作業を行なったほうが無難だろう。



一方、同じ引っ越しのための駐車であってもクレーンを用いた荷物の搬入・搬出を行なう場合は、「すぐに運転できる状態」ではなくなるので、「道路使用許可」が必要。



路駐で作業している引っ越し業者のトラック! 仕方ないとは思いつつも「道交法」に抵触していないのか考えてみた
クレーンのイメージ



道路使用許可が必要な行為には、



1) 道路において工事もしくは作業をしようとする行為(1号許可)



2) 道路に石碑、広告板、アーチ等の工作物を設けようとする行為(2号許可)



3) 場所を移動しないで、道路に露店、屋台等を出そうとする行為(3号許可)



4) 道路において祭礼行事、ロケーション等をしようとする行為(4号許可)



がある。



道路使用許可も、管轄する警察署長の許可が必要なので、



1. 道路使用許可申請書(2通)



2. 道路使用許可申請書の添付書類



を所轄の警察署に提出し、審査を受けなければならない。



(道路交通法施行規則第10条)



他人の動線を塞ぐことは極力避けるべきだが、引っ越しなどは期間限定かつお互い様ということで、目くじらを立てないで欲しいと思うが、同時に当事者は周囲に甘えず、「駐車許可証」などをとって、合法的に作業する手間も惜しまないようにするべきだろう。

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