この記事をまとめると
■日産の「ZESP3」という公共の充電設備を使用できる電気自動車向けのプランを用意している■「ZESP3」の内容と料金プランが2023年9月に改定されるとアナウンス
■その内容が従来のZESP3を利用しているユーザーから「改悪」との声が上がっている
プラン加入者は1分単位で無料充電を利用できるようになったが……
加速度的に普及が進んでいる電気自動車にとって、切っても切れない関係と言えるのが外部充電設備の使用だろう。
いくら自宅で充電できる環境があるユーザーであっても、予定外の移動などで出先で充電が必要になるケースが絶対ないとは言い切れないからであることは言うまでもないが、自動車メーカーのなかには外部充電設備を使用するときに使える会員カードを発行しているところも珍しくない。
電気自動車で先行する日産自動車では「ゼロエミッションサポートプログラム(ZESP)」と呼ばれるものを用意しており、現在は「ZESP3」が運用中となっている。
ただ、このZESP3は2023年9月に利用料金などが改定されることがアナウンスされており、この内容が改悪と話題となっている。
現在は都度課金の「シンプル」のほか、無料で急速充電することができる回数が付帯されている「プレミアム」系には、回数に応じて「プレミアム10」、「プレミアム20」、「プレミアム40」と3つのプランが用意されている。
これが改定後は、月額料金はそのままで「プレミアム100」、「プレミアム200」、「プレミアム400」と呼び名が変更となる。現在は急速充電を使用すると0分1秒から10分0秒までを1回とカウントし、それぞれのプランにつく数字がその無料急速充電回数を示していた。
ただし、1秒でも過ぎてしまうと10分に相当する無料回数分を消費してしまうことが当初から不満のタネとなっていたため、改定後は1分刻みに改められたというワケで、プランの後ろの数字は無料で使用できる急速充電が何分であるかを表している。
ここまではユーザーの声を反映した改定とも言えるのだが、問題は定期契約での割引が一切なくなってしまったことだ。
日産は自宅で充電できない人にもEVを普及しようとしていたのに!
従来では3年間の定期契約を結ぶと月額の使用量が1,650円割引(プラン問わず)となり、年間で6万円弱オトクになっていたのだが、これが一切なくなってしまう。
また無料で使える急速充電分を超えた分は従量課金制となるのだが、この金額も2割ほど高くなっているし、それまで外部の普通充電はどれだけ使っても無料だったのに、改定後は600分/月までが無料で、それ以降は1分あたり3.3円と有料化となっているのだ。
さらに従来では月額550円で加入できた都度課金制の「シンプル」プランは、月額が1,100円に倍増し、急速充電使用時の金額も550円/10分から99円/分へとこちらもほぼ倍増したため、お守り代わりにシンプルプランに加入しておく、というユーザーの負担も大きくなってしまった。

そもそも電気自動車とは自宅で充電することが基本という大前提があるが、自宅充電の量を減らすためにディーラーなどで急速充電をしてから帰宅する、というユーザーが増え、本当に緊急で急速充電をしたいユーザーが充電待ちに巻き込まれるということも増えているようで、そういった事態を防ぐための一環ということも考えられる。
しかし日産は過去にも「旅ホーダイ」と称して月額固定料金で急速充電し放題というプランを設定し、自宅に充電設備がなくても電気自動車に乗れるという営業をしておきながら、普及したとみるやそのプランを廃止してユーザーのハシゴを外すということをしているだけに「もう電気自動車はコリゴリ」と思うユーザーが増えないようにプラン改定には慎重を期してもらいたいものだ。