この記事をまとめると
■フェアレディZのGノーズとは初代240ZGに装着されていたフロントノーズのこと■240ZGはGノーズとオーバーフェンダーで他グレードとは一線を画すスタイリングを実現
■正式名称は「エアロダイナ・ノーズ」だが日産自身も通称として「Gノーズ」を使用する
最上級グレードの証にもなっていた「Gノーズ」
先日、その姿が明らかとなった新型フェアレディZのニスモモデルには、往年の「Gノーズ」を思わせるフロントバンパーが装着されていたことも話題となったが、このGノーズとは、初代フェアレディZの240ZGというグレードに装着されたフロントノーズを指している。
1969年11月に初代モデルが登場したフェアレディZは、ロングノーズ、ショートデッキの伝統的なスポーツカーのスタイルを持ち、4輪ストラットの足まわりや軽量なモノコックボディと直列6気筒のエンジンなどを持つ近代的なGTカーとして日本はもとより海外でも高い人気を誇った。
なかでも北米市場でとりわけ高い人気を誇り、日本仕様の2リッターに対し、2.4リッターの排気量を持っていたことでライバルの欧州製スポーツカーにも肉薄するポテンシャルと、手ごろな価格を両立していたのである。
この北米向けに用意された2.4リッターエンジンの人気を耳にした国内のユーザーは、日本国内でも2.4リッターモデルの販売を熱望し、1971年11月にそれに応える形で設定されたのが「240Z」シリーズだった。
240Zシリーズは、130馬力/17.5kgmの2リッターモデルに対して150馬力/21.0kgmと余裕の出力を持ち合わせており、グレードはベーシックな「240Z」、充実装備の「240Z-L」、そして最上級グレードとして「240ZG」が用意された。
エアロダイナミクス向上で最高速度も210km/hをマーク
その最上級グレードの240ZGにはFRP製のフロントノーズピース、ヘッドライトカバー、ワイドタイヤを収める前提のオーバーフェンダーが装着され、全長が190mm、全幅が60mm拡大され、ほかのフェアレディZとは一線を画すスタイルを実現していたのである。

もちろんこのエクステリアパーツは見た目の迫力を増すためだけではなく、空力性能もしっかり向上しており、Cd値は0.39と当時のスポーツカーでもトップクラスの数値となり、最高速度も210km/hをマークするほどの性能となっていた。
なお、エンジンこそ北米市場向けの2.4リッターが搭載されていたが、Gノーズを含むエクステリアアイテムは国内専用のものとなっており、海外のZファンにとっては憧れのアイテムとなっているようだ。

ちなみにGノーズという名称は240ZG(このGはGrandを意味していると言われている)のグレード名から採られているが、これはあくまで愛称であり、正式名称は「エアロダイナ・ノーズ」となっているが、現在では日産自動車も通称名を使用しており(正式名称も併記)どちらの呼び方であっても問題はないだろう。
そんな240ZGを含む240Zシリーズだが、折からの公害問題やオイルショックの影響などもあって、1973年中にはZ432とともに姿を消すこととなり、Gノーズを備えたモデルの希少性はかなり高まったのであった。