この記事をまとめると
■モータージャーナリストの青山尚暉氏が”2度と体験したくない”経験を告白



■1カ月で2度も同じ経験をして病院通いになってしまったことがある



■そのとき一緒に通院していた人はのちの妻になる人であった



追突事故はもう御免!

あれはもう何十年も前のことだけど、1カ月に2度、追突された(!!)ことがある。



1度目は、クルマの試乗の仕事の帰路、編集者とボクが前席に乗っていたときだ。東京・西麻布の交差点近くで信号待ちの一時停車中に、ノーブレーキのワンボックスに突っ込まれ、追突されてしまった。

思いっきりドッカーン、である。トランクには交換用のタイヤが入っていたとはいえ、セダンタイプのクルマのトランクはメチャ潰れ。当然、こちらの乗員ふたりはむち打ち症になった。翌日からの試乗などの仕事はすべてキャンセル。編集部も編集部員ひとりが出勤不能になったのだから、大変だったと思う。



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※画像はイメージ



ふたりは同じ接骨医院にタクシーで通い始めたのだけど、それから1カ月もたたないある日、タクシーがどうしてもつかまらなくて、自身の愛車、「S130フェアレディZ 280ZX Tバールーフ、マンハッタンカラー」を彼女に運転してもらって通院した帰り、なんと、なんと、国道246の池尻付近でまたまた追突されてしまったのである。



1カ月に2回も追突される悲劇! でもその悲劇が彼女との愛を育んだ!? 自動車ライターが経験したクルマとんでも事件簿【青山尚暉編】
青山尚暉さんと130Z



後期型のS130フェアレディZはアメリカ仕様に習い、リヤにも樹脂製の吸収バンパー(突起)が付いていて、クルマの損傷はそれほどでもなかったのだけど、すでにむち打ち症のボクにとってはトドメを刺されたのも同然。運転席の彼女もまたむち打ち症になってしまった。しかし、追突したほうのクルマのドライバーは、謝りつつも、なんだか親し気だ。



じつはそのドライバー、ボクの家の近くに住んでいる可愛い女の子で、日ごろから駐車場に止めてある北米仕様のフェアレディZの前を通る機会があり、クルマに関心、興味があったとかで、「あっ、前を走っているフェアレディZはうちの近くに止まってる、あのフェアレディZだわ」と”凝視・興奮”(!?)、 そのためブレーキを踏むのが遅れてしまったのだとあとで聞いた。



でも、相手が近くに住んでいる可愛い女の子だからといって、なかったことにとはできない。実際、よくなり始めたボクの首は急激に痛み出したし、なにより運転している彼女も追突被害に遭っているのだから。



送り迎えをしてくれた当時の彼女はいま……

ボクのむち打ち症は1カ月に2度の追突被害でさらに悪化。フェアレディZを運転してくれていた、むち打ち症になった当時の彼女(愛車は初代RX-7)と一緒に、すでに通っていた接骨院に、記憶では何カ月もタクシーで通うことになったのだった。当然、その間、クルマの運転などできない。クルマに乗り込めばイタタ……、ブレーキングで首がイタタ……、シフトでイタタ……なんていう状況だから、クルマに乗ることも、クルマの仕事もできない日々が続いたのだが、療養していてもっとも困ったのが、自身で頭を揺らすシャンプーが、首の痛さからできないこと。



1カ月に2回も追突される悲劇! でもその悲劇が彼女との愛を育んだ!? 自動車ライターが経験したクルマとんでも事件簿【青山尚暉編】
マツダRX-7(SA22)



それを彼女に伝えたら、本人だって首が痛いはずなのに、週に2度ぐらい、がんばって自宅のバスルームで、お互いコルセットを装着した状態で、そっと上手にシャンプーしてくれたのである(泣)。



その彼女とはそうした約半年間、いっしょに接骨院に通った付き合いとなり、関係が深まったのはもちろんだ。そのRX-7のマニュアルミッション車を乗りこなしていた(!!)シャンプーまでしてくれた彼女とはその後、どうなったのかって?



えーっと、いまのカミサンである。追突事故が紡いだかも知れない関係は、もう何十年と続いている……。



1カ月に2回も追突される悲劇! でもその悲劇が彼女との愛を育んだ!? 自動車ライターが経験したクルマとんでも事件簿【青山尚暉編】
青山尚暉さんと奥さん



いまはスバルのアイサイトがPRするように、カメラや衝突軽減ブレーキの普及、搭載で追突事故は激減している時代だけど、当時はそんなものはなく、追突事故は日常茶飯事の出来事だったように記憶する。あの、ガチャーン、ドーンという衝撃音、ガックンと首が大きく振られ痛みが走る衝撃は、もうまっぴらだ。



1カ月に2回も追突される悲劇! でもその悲劇が彼女との愛を育んだ!? 自動車ライターが経験したクルマとんでも事件簿【青山尚暉編】
スバル・アイサイトテスト



かつて、レクサスのプレス向けの試乗会で、九州の使われなくなった飛行場で追突被害低減機能(シートベルトやヘッドレストが対応)の体験をしたのだが、その機能を「神」とあがめたものだった。いまでも、信号待ちなどで一時停止している際、後ろのクルマの様子が気になったりするのだが、それが最新の先進運転支援機能付きのクルマ、スバルのアイサイト装着車だと、なんだか、100%ではないにしても、安心できたりして……。



それにしても、大昔の話とはいえ、1カ月に2度追突されるなんて、二度と経験したくない困ったクルマの事件簿である。

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