この記事をまとめると
■2023年10月6~8日にフォーミュラ・ドリフト・ジャパン第6戦が開催された■フォーミュラ・ドリフト・ジャパンの競技内容や注目の参戦マシンや選手を紹介
■以前のD1グランプリとの違いを両方に参戦経験のあるドライバーへインタビュー
WRC王者の参戦で注目度が増すドリフト競技
フォーミュラ・ドリフト・ジャパン第6戦が10月6~8日、岡山国際サーキットを舞台に開催された。既報のとおり、2022年のWRCチャンピオン、カッレ・ロバンペラの参戦で注目を集めていたが、それ以外にも数多くのドライバー&マシンが素晴らしい走りを披露した。
トヨタ・チェイサーを武器にロバンペラとのファイナルを制して岡山大会のウイナーおよび2023年のチャンピオンに輝いたKANTAを筆頭に、GRヤリスを武器に3位入賞を果たした14歳の中学生ドライバーの箕輪大也など、ハード面でもソフト面でも充実したラインアップとなっていたのだが、そもそもフォーミュラ・ドリフト・ジャパンとはどのような競技なのか?
フォーミュラ・ドリフトは2004年にアメリカでスタートしたドリフト競技で、2014年に日本へ上陸。
2023年は第1戦・鈴鹿ツインサーキット、第2戦・エビスサーキット西コース、第3戦・富士スピードウェイ、第4戦・スポーツランドSUGO、第5戦・グランスノー奥伊吹、第6戦・岡山国際サーキットといったように全6戦で開催。

採点基準は走行軌跡の「ライン」とドリフトの角度である「アングル」、そしてドリフトの迫力を意味する「スタイル」の3項目で、アメリカから3人の審査員を召集し、アメリカと同じ採点基準で審査。土曜日の予選では2回の単独走行で採点され、予選を勝ち抜いた32名のドライバーが日曜日の決勝に進出する。
決勝は1対1のタンデムバトル方式で争われ、リード(先行)とチェイス(後追い)を入れ替えながら計2回の走行で勝敗を決定する。リードはどれだけ100点に近い走りをするのか、チェイスはどれだけ近い距離で美しくフォローできるかがジャッジのポイントで、勝ち抜いたドライバーはTOP16へ進出。

その一騎打ちを繰り返しながらTOP8、TOP4が行われ、ファイナルを制したドライバーがウイナーに輝くのである。
スポーツ性重視の「D1」とエンタメ重視の「FDJ」
日本のドリフト競技と言えば、2000年に全日本プロドリフト選手権としてスタートしたD1グランプリが有名であり、フォーミュラ・ドリフト・ジャパンも類似のフォーマットで競技が行われているが、審査基準が異なっており、車両の改造範囲も異なっているようだ。
D1グランプリとフォーミュラ・ドリフト・ジャパンの両シリーズに挑むドリフト競技のベテランドライバー、日比野哲也は「フォーミュラ・ドリフト・ジャパンは改造範囲が広く、派手なマシンが多いうえにいろんなクルマが参戦しています。一方、D1グランプリはスピードが求められるので、また違うアプローチが必要になる。同じドリフト競技でも審査のポイントが違うので、それぞれに難しさがありますね」とのこと。

イメージ的には老舗のD1グランプリは格式が高くスポーツ性を追求したカテゴリーであり、アメリカ発のフォーミュラ・ドリフト・ジャパンはエンターテイメント性を追求したカテゴリーといったところだろうか?
実際、フォーミュラ・ドリフト・ジャパンの車種ラインアップはなかなか多彩であり、日産シルビア(S15)、トヨタ・チェイサー(JZX100)、トヨタ・マークII(JZX100)、マツダRX-7(FD3S)といった定番のFRモデルから、レクサスRC FやレクサスIS500、BMW M3(E92)、GRスープラといったラグジュアリーなFRスポーツ、さらにGRヤリスやGRカローラなど、FRユニットを組み込んだ最新4WDスポーツまで、さまざまなモデルが集結。

一方、ドライバーの顔ぶれも前述のとおり、中学生ドライバーの箕輪大也を筆頭に若手ドライバーが多く、さらにアンドリュー・グレイ(スコットランド)やミンミン(タイ)、シェン・ニアン(シンガポール)など、数多くの外国人ドライバーもエントリーする多彩な顔ぶれとなっている。
ちなみに、岡山大会ではWRCドライバーの勝田貴元がトヨタGRヤリスRally1ハイブリッドでデモ走行を実施するなど、競技以外のアトラクションも充実。

いずれにしてもフォーミュラ・ドリフト・ジャパンは迫力満点で、ルールを知らなくても楽しめるほどエンターテイメント性が高いだけに、2024年はロバンペラの参戦の有無にかかわらず、チェックしたいカテゴリーだと言えるだろう。