この記事をまとめると
■ワーゲンバスをオマージュして誕生したID.BUZZに勝算はあるのかを考察



■おそらくID.BUZZはアメリカ西海岸の凖富裕層をメインのユーザーに想定している



■高価なEVのミニバンに分類されるID.BUZZは日本では大成功の望みが薄い



2024年末以降に日本にもやってくるID.BUZZ

往年のフォルクスワーゲン・タイプ2、通称ワーゲンバスをオマージュしたID.Buzzは発表前から大注目を浴びていたこと、ご存じのとおりです。欧州での価格が日本円にしておよそ900万円という数字に驚いた方も少なくないでしょうが、この値付けでフォルクスワーゲンに勝算はあるのでしょうか。そこで、憶測の誹りは免れないとしても、勝手に売れ行きやユーザー像をイメージしてみました。



そもそも「ID.」はフォルクスワーゲンが2030年までにすべての市販車をEVとするモットーだか目標を掲げた折のリーディングブランドという立ち位置。EVの広告塔を担っているわけで、実用的ながらも地味なクルマばかりでは注目してもらえないばかりか、株価の上昇は望めません。こうした新たなブランドや新規プロジェクトには大きめの花火、目玉になる商品が不可欠だと、VW首脳陣が考えたのも無理はないところ。



オシャレでいいな〜と思うけど900万円! VWのID.Buz...の画像はこちら >>



打ち上げ花火に一番注目してほしい国はアメリカか中国か迷ったはずですが、「北米で流行れば中国で爆売れ」という法則を信じて、仮想ユーザーは北米に決定。また、一定のEV大好き層がいるカリフォルニア向けと定義したのも想像に難くありません。



で、VWのマーケ部門が西海岸の潜在層を含めたEVユーザーを分析すると、「アッパーミドルの凖富裕層」「40代から60代」「スポーツやアクティビティに積極的」そして、「所有物へのこだわり」といったデータが浮上したのでしょう。さほど程度の高くないマーケッターなら、「小金持ちで、ミーハー。他人からどう見られるか気にするタイプ。モノ自慢をしがち」なんてペルソナに翻訳したかもしれません。



ID.Buzzのユーザー増はニュービートルと同じ!?

ここで思い浮かぶのが「このユーザー像ってニュービートルと同じじゃね?」という妙な偶然。首脳陣が「おい、あいつら呼んでこい」とばかりにニュービートルのプランニングチームを呼び出していたりしたら、面白い偶然が重なるというもの。



オシャレでいいな〜と思うけど900万円! VWのID.Buzzは日本で売れる? 苦戦する?
フォルクスワーゲン・ニュービートルのフロントスタイリング



むろん、タイプ2は当時のアメリカで爆売れしたユーティリティバンですから、40代ならばバタバタ走っていた姿が記憶に残っているでしょうし、50~60代であれば「若いころに憧れたクルマ」であっても不思議ではありません。



もしかしたら、ニュービートルも喜んでゲットしていた可能性だってあるでしょう。彼らに刺さる広告塔としてBuzzが打ち上げられたとしたら、まさにドンズバだったのではないでしょうか。



オシャレでいいな〜と思うけど900万円! VWのID.Buzzは日本で売れる? 苦戦する?
フォルクスワーゲン・タイプ2とID.BUZZの2台並び



そうなると、900万円という高額な設定も納得できないわけでもありません。新しもの好きで、なおかつ財布も暖かい、ちょうど西海岸でサーフィンやらSUPでもやってみようかと思ってた、なんてユーザーなら飛びつくこと必至。ややもすると、ガレージにはニュービートルのデューンまで並んでいたりして、まんまとVWの戦略にやられているユーザーは決して少なくないでしょう。



そんな事情をイメージしてみると、日本国内でBuzzがバカ売れすることは望み薄かと。価格面での苦戦はもちろん、タイプ2への思い入れがカリフォルニアほど高くないこと、そしてEVミニバンという市場はかなりの激戦区(というかさほどユーザーが多くない)といったビハインドが待ち受けていますからね。



オシャレでいいな〜と思うけど900万円! VWのID.Buzzは日本で売れる? 苦戦する?
フォルクスワーゲンID.BUZZとID.Cargoの2台並び



個人的には、筆者が幼いころに仕事でタイプ2を使っていた思い出もあるので、善戦を望みたいところ。ですが、これまた個人的にカブトムシの幼虫みたいなスタイルはノーサンキューなので、読者のみなさま同様「微妙じゃね」という結論に至っておりますです。

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