この記事をまとめると
■安価なクルマが欲しい、中古でしか売ってないなどの理由で中古車需要は大きい



■中古車は「専門店」のほかディーラーで購入する「認定中古車」もある



■「認定中古車」は割高なイメージを持つ人が多いが、保証内容などサービスが充実している



よくオススメされる認定中古車のメリットとは

ここのところ、半導体不足などの影響で新車の納期が延び、それに伴って新車購入時の下取り車が不足し、また、新車の納期が待ちきれない買い替えユーザーが中古車に流れるなどして、一部車種では中古車の価格が高騰している。



しかし、とにかくいち早く次のクルマに乗りたい、比較的安価に手に入る中古車を狙いたい、車検が迫っている、愛車がもうすぐ増税される新車から13年を迎える、欲しいクルマが中古車でしか買えない……などの理由から、中古車を購入しようとしている人も少なくないはずだ。



で、中古車の主な選択肢としては、中古車専門店で買うか正規ディーラーの認定中古車を買うかの二択になると思う。

しかし、中古車専門店のほうが安く、認定中古車は割高……という印象を持っている人がほとんどだろう。筆者も、だった。



「でも高いじゃん」と思ったら近頃はそうでも……安心を一緒に買...の画像はこちら >>



そこで、同一車種、同一年式、ほぼ同一走行距離、同程度の中古車について、中古車専門店と認定中古車の比較調査を行ってみたところ、やや落ち着いてきたとはいえこの中古車高騰時代では、ちょっと様子が違うのだ。引く手数多の中古車の値段が、納車が早いのを武器に高くなりがちなのが中古車専門店で、自動車メーカーの認定中古車店ではそうした極端な価格設定にはなっていないようなのだ(2023年10~11月にかけての個人的な調査による印象)。



「でも高いじゃん」と思ったら近頃はそうでも……安心を一緒に買える意外と知らない「認定中古車」の中身
フォルクスワーゲンの認定中古車店の外観



たとえば、2020年型のVWゴルフ ヴァリアント・ハイライン・マイスター、つまりゴルフの最高傑作という呼び声も高いゴルフ7.5と呼ばれる7代目最終型の中古車を同一グレードで調べてみると、中古車専門店では走行7000kmで車両本体価格275万円(車検整備、1カ月保証付き)、支払総額284万円。走行1万9000kmで車両本体価格286万円(車検整備、1カ月保証付き)、支払総額302万円という個体を見つけることができた。



「でも高いじゃん」と思ったら近頃はそうでも……安心を一緒に買える意外と知らない「認定中古車」の中身
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアントの認定中古車



※写真はイメージ



一方、認定中古車では走行9000kmで車両本体価格240万円(車検25年2月。認定中古車1年メーカー保証付き)、諸費用13万円で総支払額253万円という個体や、極上かつ当時8万円程度のオプションとなるディナウディオのプレミアムオーディオ装備で車両本体価格265万円(車検整備、認定中古車1年メーカー保証付き)を探すことができた。値引き交渉によって支払総額を多少なりとも抑えることも可能だという。認定中古車店では必要な純正アクセサリーがその場で注文でき、揃うこともメリットだ。



「でも高いじゃん」と思ったら近頃はそうでも……安心を一緒に買える意外と知らない「認定中古車」の中身
VW純正アクセサリーのペット用フラットベッド



価格に関しては中古車ゆえ、それぞれのコンディション、ボディカラー、装備などによって直接比較はできないものの、この時代、認定中古車の安心感があるように感じたのも本当だ。その理由は、上記の認定中古車の場合、認定中古車として全国の正規ディーラーで面倒をみてくれる「メーカーの1年保証」が付くだけでなく(中古車専門店では1カ月保証が主)、5万2000円の追加料金を払えば、もう1年、メーカー保証を付けることもできるのだ(計2年/フォルクスワーゲン認定中古車の例)。



そして、納車前整備も当然ながら正規ディーラーで行うことになり、専用診断機での確認作業もある。フォルクスワーゲンの認定中古車の納車前点検は、その自動車メーカーのスペシャリストがなんと71項目も点検するというから徹底している(項目数はガソリン車の場合)。



国内メーカーの認定中古車も手厚いサービスあり!

トヨタの認定中古車の例では、トヨタ車以外の中古車を含め全車修復歴なし。納車前にはまるごとクリーニングを行い、トヨタ認定車両検査員によるチェック(約60項目)、消耗品交換が行われ、車両検査証明書が付き、メーカー、年式を問わず走行距離無制限&1年間の無料保証付き(全国約5000カ所で保証修理可能)という手厚い安心が用意されている。



「でも高いじゃん」と思ったら近頃はそうでも……安心を一緒に買える意外と知らない「認定中古車」の中身
トヨタの認定中古車の保証プラン



また、下取り車がある場合、一部大手悪質中古車店でニュースになったように、あり得ない買い取り価格を提示されたり、下取り車の自動車税の請求がのちのち来た!(お店がいい加減で名義変更をしていないため)なんていう心配も、正規ディーラーの認定中古車部門ではまずないと考えていい。とはいえ、ほとんどの良心的な中古車専門店ではそんなことはないはずで、筆者も過去に何度か、飛び込みで中古車専門店、買い取り専門店にクルマを買い取ってもらったことがあるのだが、運よく(!?)トラブルなど、一切なかった。



気になる購入後のメンテナンスについては、認定中古車なら新車販売と認定中古車の併売店(工場併設)であれば、購入時のセールスが担当者、窓口となり、新車を買ったのと同様に、同じ店舗で整備、保証修理、車検などのサービスが受けられるメリットがある。そうでなく、メーカーの認定中古車専売店であっても、その後のメンテナンスを行う正規ディーラーにつないでくれるから安心だ。



「でも高いじゃん」と思ったら近頃はそうでも……安心を一緒に買える意外と知らない「認定中古車」の中身
自動車ディーラーの整備工場



今回取材したフォルクスワーゲンの認定中古車は、正規販売店の新車ショールームの一部にある椅子もテーブルもある特別室に並べられた状態で商談が可能で、そのクルマにめっぽう詳しいセールス担当者も新車、中古車の両方を受け持っている敏腕だ。



さらに注目したフォルクスワーゲンの1台は、修復歴なしの認定中古車として車両状態証明書が付くのはもちろん、2020年10月登録で2023年10月が1回目の車検時期で、車両本体価格に正規販売店での車検整備が含まれ、車検は2025年10月までとたっぷり2年(エマージェンシーアシストは新車から5年間)。



認定中古車は納車前交換部品としてエンジンオイル&フィルター、前後ワイパーブレードが指定されているほか、セールス氏によれば、車両のコンディションによってはエアコンフィルター、バッテリー、リモコンキーバッテリーの交換まで行うこともあるというから安心、気が利いている。さらに取材時点では8万円相当、5年保証のガラスコーティング(下地処理込み)などがキャンペーンでサービスされるほどだった(期間限定)。



「でも高いじゃん」と思ったら近頃はそうでも……安心を一緒に買える意外と知らない「認定中古車」の中身
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアントの認定中古車



※写真はイメージ



こうしてみると、ほぼ同じ年式、グレード、程度の中古車をあちこちで見つけられたとして(1台として同じ中古車はないが)、たとえ認定中古車の総支払額が数万円~10万円高かったとしても、個人的には保証期間が1年付く認定中古車の安心、サービスに心が動く。



「でも高いじゃん」と思ったら近頃はそうでも……安心を一緒に買える意外と知らない「認定中古車」の中身
フォルクスワーゲンの認定中古車店の在庫



とくに中古車のコンディションの見極めができず、以前はグレーゾーンだった諸費用の詳細があまりよくわからない中古車初心者ユーザーであれば、メリットが多い認定中古車を薦めたいところだ。中古車選びの成功の秘訣は、販売店選び、販売店の信頼度、そして保証内容でおおかた決まるのである。

編集部おすすめ