この記事をまとめると
■TAS2024で新型センチュリー顔のセダンを発見■持ち主&作り手にどうやって作ったか聞いてみた
■鳳凰マーク入りのワンオフホイールも圧巻!
「NEWモデルが出たら……やるっきゃないですよね(笑)」
先日の箱根駅伝では大会本部車として活躍。「すごいクルマが一緒に走ってる!」と一部で話題になった新型センチュリー。2023年9月に追加された、SUV的なスタイリングを持つNEWモデルだ。
20年以上センチュリー顔にこだわってきた20系セルシオ
フロントグリルは新型純正だろう。だけどヘッドライトやフロントバンパーはセダンタイプ純正っぽい。こんな組み合わせのセンチュリーは存在しないはずだ。ホイールも鳳凰マークこそ入ってるが妙にリムが深く、そもそもマルチピース構造というのがおかしい。テールランプ形状を見るに、ベース車両はUCF20系のセルシオだろうか。オーナーに詳しく話を聞いてみることにした。
このセダンのオーナーでありカスタムを手掛けたのは、岐阜県で水野ボディワークスを営む水野さん。ベース車両はやはりUCF21セルシオで、水野さんが18歳の時に手に入れたクルマだという。じつは以前は先代(GZG50型)センチュリーの顔面移植をしていて、その姿で雑誌の表紙を飾ったこともある車両だそうだ。「25年以上も所有している大切な愛車です」。
そして2018年、センチュリーがフルモデルチェンジし、セダンタイプのUWG60型が登場すると、速攻で顔面の再チェンジを決意。

「それで去年、また新しいセンチュリーが発売されたので、これも移植するしかないと思ってやってきました」と水野さん。ただし今回は顔面丸ごとではなく、フロントグリルとフロントバンパーのみ。それをセダンタイプのセンチュリー顔面に組み合わせた形になる。
セダンタイプのマスクに新型グリルをバンパーごと移植
「新型のヘッドライトは6センチくらいワイドになるんですよ。それを入れるのはさすがに厳しいし、フロントバンパーもタテ幅がデカすぎるのでそのままでは使えない。そこでフロントグリルとフロントバンパーの一部だけを移植することにしたんです」と水野さん。

そう聞くと簡単そうに思えるが、実際はそんなに甘くない。まず新型のフロントグリルは、セダンタイプと比べてヨコ幅がやや短く、タテ幅は長い。そこでセダンタイプのフロントグリルをまわりのバンパーごと大きめにくり抜き、そこに同じく新型のバンパーごとくり抜いたフロントグリルを移植するという方法を採った。
「ボンネットからグリルの脇に降りてくるプレスラインの角度や、そのエッジ感がセダンタイプと新型では違うんです。
新型センチュリーのフロントグリルは、表側と裏側の2ピースに分かれており、その間にフロントバンパーを挟み込む構造。よってエンジンルームのスペースが厳しくなるが、エアクリーナーを小型化したり、バッテリーを移設するなどして対応。もちろんボンネットも普通に開閉できるように作り込んだ。見た目だけのハリボテにはしないのが、水野さんのカスタムのこだわりだという。

なお、フロントグリル&フロントバンパーは純正パーツを扱う業者に発注。前回、セダンタイプの純正パーツを購入する際は一度断られ、それでもショーに出すからと頼み込んでようやく手に入れられたが、今回はわりとすんなり買えたそう。「ただ、グリルの下に付いているカメラだけは納期未定ということで、仕方なくレクサスLS用で代用しました。いずれ本物に付け替えたいですね」。
ホイールについても聞いてみると、これはGZG50センチュリーの純正ホイールを加工したものだという。もともとは1ピースホイールだったが、ディスク部分だけを切り取り、それをリバレル(従来品ではないリムに組み換えるホイールカスタムのこと)用のアウターリム&インナーリムと合体させたワンオフ品だ。サイズは19インチで、フロント9.5J/リヤ12J。

「旋盤加工の業者に一からデータを起こしてもらい、実用に耐える強度計算のもとに製作しました。あくまでショー用なので公道は走行不可ですけどね。このホイールを履かせてから、セルシオやシーマの純正ホイールで同じように作って欲しいと、うちの店にオーダーが入るようになりました(笑)」。
目の肥えたカスタムカーファンが多いオートサロン会場でも、この「最新型セルチュリー」は注目の的。思わず「おっ!?」という感じで足を止め、マジマジとフロントマスクを観察。そしてリヤに回って驚いたり、しゃがんでホイールを覗き込んだりと、さまざまな反応が見られた。
「ほかにも今回は、トランクルームにオーディオシステムを組んできました。新型センチュリー顔面が一番のウリですが、オーバーフェンダーやツライチ、インテリアの張り替えなども見てもらえると嬉しいです」。