この記事をまとめると
■鈴鹿サーキットは1962年に日本初の本格的なサーキットとして誕生した



■世界中のドライバーから鈴鹿サーキットは愛されている



■独特でテクニカルなコースレイアウトやアクセスのよさなどが評価されている



みんな「鈴鹿」を愛してるけどナゼ?

2024年2月2日、ホンダモビリティランドは、鈴鹿サーキットでのF1日本グランプリの開催契約を、2029年まで延長したことを発表し、国内外のモータースポーツファンを喜ばせた。



鈴鹿でのF1日本GP初開催は1987年。FSWで開催された1976年、1977年、2007年、2008年と2020年、2021年のコロナ禍を除けば、鈴鹿でのF1開催は、そのまま日本のF1の歴史といえ、F1文化の伝統として浸透している。



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そんな鈴鹿サーキットは、1962年に完成した日本初の本格的なサーキット。ベルギーのスパ、イギリスのシルバーストーン、イタリアのモンツァなどと並んで、F1開催コースのなかでは、クラシックコースのひとつであり、最新のサーキットに比べると、コース幅やセーフティゾーンが狭いといったネガティブな面もあるが、F1ドライバーからの評判はすこぶるいい。



とくに4回のワールドチャンピオンになったセバスチャン・ベッテルは「神の手で作られたサーキットじゃないかと思う」と鈴鹿サーキットを絶賛。



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セバスチャン・ベッテル氏



角田裕毅のチームメイト、ダニエル・リカルドも「高速で流れるようなリズムがある。前半のS字セクションは、世界のあらゆるコースのなかでも最高だと思う」とコメント。



ピエール・ガスリーも「セクター1の1コーナーからターン7(ダンロップコーナー)までが1番好み。シーズンを通しても、鈴鹿のセクター1が一番いい流れを持っているパートだ」と語り、そのほか、アロンソ、ハミルトン、ライコネン、バトンなど、歴代のチャンピオンがチャレンジングでドライブするのが楽しい、ドライバーズサーキットだと賞賛する。



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ピエール・ガスリー氏



世界でも類を見ないテクニカルコース

コースレイアウトは、世界的にも珍しい8の字形で、立体交差を設けることで、右まわりと左まわりのふたつの要素を持っているのが大きな特徴。



これは鈴鹿の設計および工事監修を行なったジョン・フーゲンホルツ(オランダ人)が、「タイヤの片方だけが減ってしまうのを防ぐために立体交差をつくって8の字にすればタイヤの両サイドが削れるようになる」と提案したため。



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立体交差の下を走行するホンダNSX(NC1)



現在の鈴鹿サーキットの全長は5807mで日本最長コース。丘陵地の地形をそのまま活かしているのでアップダウンもあり、東コースは複合コーナーの第1・2コーナーからはじまり、S字、逆バンクやダンロップとテクニカルなセクションが続く構造で、セクター1はドライバーのスキルが如実になる。



デグナーも攻めがいがあるが、ミスを犯しやすいコーナーだ。



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ホンダ・シビックタイプR(FL5)の走行写真



西コースでは、ライン取りに個性が出やすいスプーンカーブからバックストレート、そして名物とも言える高速コーナーの130Rがあって、オーバーテイクポイントにもなるシケインと続き、1周が長いコースでありながら、ホームストレートとバックストレート以外は、横Gが抜けるところがないので、コース1周をまとめるのが非常に難しいコース。



勇気が試される高速コーナー、センスが問われる中速コーナー、テクニカルな低速コーナーと、あらゆる要素がバランスよく含まれているのが、鈴鹿サーキットの魅力なのだ。



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ホンダ・シビックタイプR(FL5)の走行写真



また、アクシデント発生時のコースマーシャルの対応はモナコと並んで、世界一と評されているのもチームやドライバーから愛されているひとつの理由。



さらに、ファンの熱心さでも、世界屈指でF1ドライバーからの評価も高い。



そして、サーキットとしては非常に稀なことに、交通アクセスもよく、山奥ではなく街なかにあるのも大きな強味。公共交通だけで来場できるし、F1などのビッグレースでもそれほど酷い渋滞が起きないのも、鈴鹿ならではの特色だ。



このように、ドライバーにとっても観客にとっても魅力たっぷりな鈴鹿サーキットは、F1にはなくてはならないサーキットでとして定着している。



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2023年のF1日本グランプリの様子



これまでの秋の開催では、チャンピオン決定シーンが見られることも多かった反面、台風や大雨の心配もあったが、今シーズンから春開催となり、新たな発見もあるはずなので、ぜひ4月のF1日本グランプリも現地で観戦してみよう。

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