この記事をまとめると
■いすゞ・ギガがマイナーチェンジ



■大型トラックに低床3軸タイプを設定した



■2024年問題の解決に貢献し得る注目のモデルだ



低床3軸車を新たに設定

物流分野の2024年問題は多くのマスコミに繰り返し取り上げられ、広く世間の耳目を集めるようになった。その概要は働き方改革関連法により、年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることで、大規模な人手不足(ここではとくにトラックドライバーの不足)が発生するというものだ。この法律はすでに2019年4月1日から順次施行されていたが、物流業界(トラックドライバー)については2024年4月1日から適用されることになっている。



これを受けて、業界ではさまざまな対策を講じなければならなくなった。トラックドライバーの不足を補うには、自動運転化やドライバーの待遇改善など、ハード・ソフトの両面からさまざまな対策が必要だが、技術的・(業界の)体質的・法的な問題が絡んでいることもあって、根本的な解決に至るのは簡単ではないといわれている。



そのような背景を抱えるなかで、問題解決の一助になりそうなモデルが登場した。マイナーチェンジされた大型トラック「いすゞ・ギガ」がそれだ。そもそもギガの歴史は古く、1994年に810シリーズの後継トラックとして登場したのが最初だ。現行車は2015年にフルモデルチェンジをした2代目にあたる(トラクターは2023年に3代目が、UDトラックスとの共同開発車両として登場した)。



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今回のマイナーチェンジでは、大型トラックに低床3軸タイプを設定することで輸送の効率化を図り、2024年問題解決に貢献しようという思いが込められている。



車両コストやメンテナンスコストを低減

大型トラックは一般的に積載量10t以上トラックを指すが、同車は低床車であることもあり、約14tの荷物を積むことができるのだ。低床車とは荷台部分が低い(高いものは高床車)車両のことで、3軸車とはトラックを真横から見て、タイヤが3本見える(前輪1本後輪2本、あるいは前輪2本後輪1本)ものをいう。



道路運送車両法の保安基準により、トラックの大きさには制限限界があるので、1台に多くの荷物を載せるには荷室を広げなければならない。低床車は荷室の床が低い分、その容量を大きくとることができるので輸送効率がよくなるわけだ。荷物の積み下ろしに関しても、低い位置から出し入れすることができるので、ドライバーや倉庫作業者の負担が軽減されることになる。



3軸車はタイヤのサイズがやや小さい分、車両コストやメンテナンスコストを、低減できることがメリットとして挙げられよう。加えて同車が採用する前輪1軸・後輪2軸の配置は小まわりが利き、交差点や山道などでも高い操作性を発揮する。ドライバーにとっても運転がしやすいといえよう。



マイチェンしたいすゞ・ギガが2024年問題の救世主に! 低床3軸でドライバーの負担も軽い
いすゞ・ギガのフロントスタイリング



駆動方式は6×4(全6輪、4輪駆動)の2デフタイプなので、後輪2輪が駆動輪ということになる。そのため、不整地や雪道といった悪路に対する走破性も高い。



逆に、一般に低床3軸車のデメリットとして挙げられるのが、タイヤ径が小さいことによる衝撃吸収の問題と、サイズが違うため前輪用と後輪用の2本のスペアタイヤを搭載しなければならないこと。

これに対して同車は、高性能なショックアブソーバーやサスペンションを用いることで、またタイヤ径を抑えて前後同サイズのものを採用した。デメリットに対しても、ちゃんと対策を講じているのである。



物流業界の2024年問題は、すでに待ったなしの状況になってきた。業界が一丸となって、この問題を解決することが期待されている。同車はそんな問題に立ち向かう、最新モデルだといえよう。