この記事をまとめると
■5月24~26日にスーパー耐久シリーズ第2戦富士24時間レースが開催された■ST-Qクラスにはトヨタ、スバル、マツダ、ホンダ、ニッサンがカーボンニュートラル対応マシンを投入
■レースを闘いながら環境技術の進化を目指している
富士24時間レースに国産5メーカーが集結
スーパー耐久シリーズ第2戦、富士24時間レースが5月24~26日、富士スピードウェイで開催。今年も数多くのマシンが脱落するサバイバルレースが展開されるなか、中升ROOKIE Racingの1号車「中升ROOKIE AMG GT3」が、最高峰のST-Xクラスで2連覇を達成した。
そのほか、各クラスで激しいバトルが展開されていたのだが、そのなかでもっとも注目を集めていたのが、ST-Qクラスだといえるだろう。
まず、ST-Qクラスの象徴ともいえるマシンがORC ROOKIE Racingの32号車「ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept」にほかならない。同モデルには、文字どおり水素エンジンを搭載。水素エンジンを搭載したカローラがデビューしたのは2021年だったが、2024年型モデルは液体水素ポンプの耐久性向上や異形(楕円形)のタンクを採用したことによる航続距離の向上、CO2回収装置の工程切り替えの自動化など、さまざまなアップデートが行われていた。

残念ながらABSのトラブルでピットでの修復作業に多くの時間を費やすことになったことから、最終リザルトはクラス8位に終わったが、目標だった30ラップ以上の航続走行を実現した。
また、同チームの28号車「ORC ROOKIE GR 86 CNF concept」は、文字どおりカーボンニュートラル燃料(CNF)を使用したマシンで、トラブルに遭いながらもクラス5位で完走した。

さらに、同じくトヨタ車両では、GR Team SPiRITの92号車「GR Supra Racing Concept」が安定した走りを披露。

こちらもCNF使用モデルで、序盤で他車と接触したものの、粘り強い走りを披露し、ST-Qクラスで勝利を飾った。
モータースポーツの舞台でカーボンニュートラルに挑む
一方、スバル陣営に目を向ければ、Team SDA Engineeringの61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」もCNFの使用モデルで、吸気システムなどの変更により高出力化を実現したほか、2速および3速ギヤの強化を図るなど、細部のアップデートに余念がない。その結果、細かいハプニングが発生しながらも、61号車はクラス3位で完走を果たした。

また、バイオディーゼル燃料を採用した55号車「MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept」、CNFを使用した12号車「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF concept」とST-Qクラスに2台の開発モデルを投入したMAZDA SPIRIT RACINGも素晴らしい走りを披露。

さらに、NISMOもCNFを使用した230号車「Nissan Z Racing Concept」を投入。ハイペースでクラス首位につけていたのだが、レース終盤で他車との接触により足まわりを破損。その修復作業によってクラス2位でフィニッシュしたが、ST-Zクラスを凌駕するなど抜群のスピードを披露していた。

そのほか、Team HRCもCNFを使用した271号車「Honda CIVIC TYPE R CNF-R」を投入しており、こちらはクラス6位で完走。

このように、ST-Qクラスでは各自動車メーカーが激しいバトルを展開していたが、それと同時に日本の自動車メーカーが、モータースポーツを舞台にカーボンニュートラルに挑んでいることが感じられることも同クラスの魅力といっていい。
富士24時間レースでは、マシンに関しても耐久方向に振った開発が行われていたようだが、通常の4時間レース、5時間レースではよりスピードを意識したセッティングが行われる傾向にあるだけに、今後もスーパー耐久ではST-Qクラスに注目したい。