この記事をまとめると
ホンダ・ステップワゴンの登録台数が2024年度に急増している



■受注はしていたが納期遅延の影響で思うような生産体制が取れていなかった



■今後は新型フリードが登場するので販売促進に力を入れる必要性がある



発売から2年経って急に登録台数が増えたのはなぜ?

クルマの売れ行きの推移は、一般的には発売直後がもっとも多い。その後、新鮮味が薄れるにしたがって売れ行きも下降する。車種によってはマイナーチェンジなどでもちなおすが、大幅に増えることはない。



ところが、現行ホンダ・ステップワゴンは違う。発売されたのは2022年5月なのに、2024年に入って登録台数を急増させた。2024年1月の登録台数は前年の1.7倍、2月は2倍、3月は2.8倍、4月も2.1倍だ。発売から2年以上を経過しながら、前年の売れ行きを大幅に上まわった。



ステップワゴンは「フルモデルチェンジ失敗」ではなかった! 発...の画像はこちら >>



このような販売推移を見るときは「対前年比の対前年比」を確認する必要がある。前年に何らかの理由で売れ行きが半減した場合、その前の年の売れ行きに戻っただけでも、本年の対前年比は2倍に増えるからだ。売れ行きが増えたのか、それとも戻ったのかを見極めねばならない。



そこで2023年の登録台数を見ると、1月と2月は前年の1.1倍、3月は2.1倍、4月は12倍であった。ステップワゴンは前述のとおり2022年5月に現行型へフルモデルチェンジしたから、同年4月は登録台数が200台以下まで減り、2023年4月の対前年比が12倍に達した。



ステップワゴンは「フルモデルチェンジ失敗」ではなかった! 発売から2年が経って急激に売れ行きを伸ばしているワケ
ホンダ・ステップワゴン(6代目)の走行写真



それにしても2023年1~3月が発売直後の新型車だったことを考えると、先代型との比較になる1~2月の対前年比が1.1倍では少ない。



また、対前年比が現行型との比較になる2023年5月以降は、早くも伸び悩みが見られる。2023年5月の登録台数は前年の86%、6月は84%、7月と8月は80%に留まった。



納期遅延の解消で登録台数もじわじわ増加

この背景には納期遅延があった。ホンダの小型/普通車は、他社に比べて半導体などの不足に伴う納期遅延からの回復が遅く、現行ステップワゴンも発売当初は納期が約1年を要した。



ステップワゴンは「フルモデルチェンジ失敗」ではなかった! 発売から2年が経って急激に売れ行きを伸ばしているワケ
ホンダ・ステップワゴン(6代目)の3台並び



とくに新型車が納期遅延に陥ると、納車を待つ台数が急速に増えてしまう。ステップワゴンの場合、納期遅延の影響は前述のように2023年8月頃まで続き、9月に入って解消されると登録台数を増やし始めた。



2024年に入ると生産も本格化して、納車待ちを解消すべく、対前年比が1.4~2.8倍に急増したわけだ。2024年5月下旬時点の納期を販売店に尋ねると、「いまは大半が2カ月に収まり、長くても3カ月」という。ひととおり納車が進むと、登録台数も落ち着くだろう。



ライバル車の動向も影響している。2022年1月に登場したトヨタ・ノア&ヴォクシーの登録台数は、2024年1月はノアが前年の76%でヴォクシーは71%、直近の4月もノアが78%でヴォクシーは88%だ。以前に比べると新型車としての注目度が薄れ、ステップワゴンにも目が向くようになった。



ステップワゴンは「フルモデルチェンジ失敗」ではなかった! 発売から2年が経って急激に売れ行きを伸ばしているワケ
トヨタ・ノア&ヴォクシー(4代目)の2台並び



もともとステップワゴンはミニバンの主力車種で、現行型の外観は少し地味だが、実用性や快適性は高い。最近の登録台数が、本来あるべき販売実績だろう。

今後の課題は、同じホンダのコンパクトミニバン、フリードがフルモデルチェンジすることだ。ステップワゴンはユーザーを新型フリードに奪われないように、販売促進に力を入れる必要がある。

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