この記事をまとめると
■今や世界中でSUVは定番のスタイルとなり人気を博している■SUVユーザーの多くは悪路を走るようなことをしない
■SUVだからこそ受けられる恩恵を紹介する
そもそもSUVに乗る意味はどこにある?
世界中で大ブームとなってからすでに15年以上が経過し、今ではブームを超えて「定番」となったSUV。人気を支えているのは、オフロード重視の本格クロカンモデルよりも、どちらかといえばオンロード重視のクロスオーバーSUVたちです。
そのため実際には4WDではなく2WDモデルのほうが販売比率の高いSUVが多かったり、購入してから一度もオフロードを走ったことがないというユーザーも珍しくない状況。
そこで今回は、「SUVじゃないと絶対に得られないものってなんだろう?」というところを考えてみました。軽自動車からランドクルーザーのような歴史あるモデルまで、ひとくちにSUVといってもさまざまな特徴があるので、必ずしもすべてのSUVに当てはまるとはいえないかもしれませんが、多くのSUVに当てはまるものを挙げてみましょう。
まず1つめは、やはりSUVはコレ、というくらいの特徴となっている「最低地上高の高さ」です。オフロードでの走行性能を考えると、多少の凹凸は難なく乗り越えて走れることが必要となってくるので、地上から車体のフロア下辺までの高さを引き上げているのがSUV。たとえば同じプラットフォームで作られているコンパクトカーのトヨタ・ヤリスとクロスオーバーSUVのヤリスクロスを比べてみると、ヤリスの最低地上高は140mm(X)。ヤリスクロスの最低地上高は170mm(X)と30mmほど高くなっています。

これがランドクルーザー300ともなると、最低地上高は225mm。もちろん悪路走破性を突き詰めているランクルだからこそ、でもありますが、これは市街地の舗装された道でも威力を発揮するシーンがあります。雪が降ったあとに、何台ものクルマが通過すると轍ができ、その中央だけが盛り上がってしまいますが、このときに最低地上高が低いクルマだとフロアを擦ってしまい、最悪の場合はつっかえて動けなくなってしまうことも。また大雨のあとの車道に大きな木の枝が落ちていたりしますが、これも最低地上高が高ければあまり心配せずに通過できます。

SUVとアイポイントの高さが似ているクルマにはミニバンがありますが、たとえばトヨタ・ヴォクシーでは最低地上高が140mm(S-Z)とヤリスと同じなので、路面の凹凸はSUVのようには対処できません。
ちょっと「違った人」なオーラも出せる!
2つめは、それに付随するところもありますが、角度のきつい登り下りや大きな突起、障害物などを乗り越える際に重要な対地障害角が確保されていること。アプローチアングル、デパーチャーアングル、ランプブレークオーバーアングルという3つがあります。

まずアプローチアングルとは、フロントタイヤの接地面からフロントバンパーの下を直線で結んだときの角度を示しており、その角度に相当する坂道や障害物に向かって進んでもバンパーが当たらないということになります。アプローチアングルはセダンだと一般的に15度程度といわれていますが、たとえば世界最小の本格クロカン四駆であるスズキ・ジムニーなら41度を誇ります。

次にデパーチャーアングルは、リヤタイヤの接地面からリヤバンパーを直線で結んだ角度です。マフラーやリヤバンパーが障害物に当たらずに超えていける角度ということになります。こちらもジムニーなら51度とダントツです。

もう1つのランプグレークオーバーアングルというのは、前輪と後輪の接地面から車体下中央部を結ぶ角度になりますが、これはモーグルのように大きな突起物が連続しているようなシーンで、乗り越えられるかどうかの判断基準となる数値。これらはシティ派SUVではそれほど重視されるものではありませんが、それでもセダンやミニバンなどと比べると高い数値を実現しているモデルも多くなっています。

よく踏切などで凹凸が大きかったり、地下駐車場に入るスロープとフロアの継ぎ目でバンパーを擦りそうになるようなシーンもあると思いますが、そうした際に有利なのがSUVです。
3つめは、人それぞれの感覚が異なるので一概にはいえませんが、デザインや上記のような特徴によって、「ファミリーカーとして乗っても生活感が出にくい」ところはSUVの魅力ではないでしょうか。

やはりSUVがスポーツ・ユーティリティ・ビークルの頭文字ということで、ファミリーカーとして乗っていてもどこか清々しく、颯爽とした印象が強まるためなのではないかと思います。
ということで、まだまだ定番の座は揺るぎそうにないSUV。バリエーションも多彩なので、選ぶ楽しみがあるところも魅力ですね。