この記事をまとめると
■モータースポーツの最高峰「F1」では高額な罰金額がドライバーに請求される■ドライバー以外の違反行為にも巨額の罰金が科される
■支払われた罰金や運営による収益はさまざまなプロジェクトの支援に使われている
F1は罰金額も半端ない!
6月9日に行なわれた2024年F1カナダGP。決勝前の国歌斉唱に角田裕毅が遅刻したためとのことで、レーススチュワードは角田が所属するRBF1チームに対し、1万ユーロ(約170万円)の罰金の支払いを命じた。
「国歌斉唱はレース前の重要な手続きであり、イベント開催国に対する敬意の表れである」というのがその理由。
なんでも桁違いにお金がかかるF1の世界。じつは罰金だって桁違い。
FIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)は2023年10月に、スチュワードが科す罰金の上限額を大幅に引き上げ、F1に関しては、100万ユーロ(約1億6000万円)とこれまでのおよそ4倍に増額することを承認した!
カナダGPの角田の一件以外では、2021年F1ブラジルGPで、マックス・フェルスタッペンが、パルクフェルメでルイス・ハミルトンのメルセデスのリヤウイングに触れたことで5万ユーロ(約700万円)の罰金を科された例もある。

また、2023年のスペインGPでは決勝ゴール後に、ドライバーのフィジオ(理学療法士)がパルクフェルメの制限に違反したとして1万ユーロ(約150万円)の罰金を科された(ルールでは、「ドライバーのフィジオは、表彰式が終了するまで表彰台裏のクールダウンルームの外で待機すること」となっている)。
珍しいケースでは、2022年のオーストラリアGPで、セバスチャン・ベッテルがコース上を許可なくスクーターで走行したことで5000ユーロ(約85万円)の罰金を受けたこともある。

そしてベッテルといえば、2013年インドGPで世界選手権4連覇を達成した直後、ホームストレートでドーナツターンを披露。しかし、本来マシンはパルクフェルメに戻さなければならなかったので、それを無視したので、2万5000ユーロ(約330万円)の罰金に……。

今年のサウジアラビアGPの初日には、ルイス・ハミルトンがウィリアムズのローガン・サージェントの走行を妨害したとして、ハミルトンに「警告」を出し、メルセデスF1チームには1万5000ユーロの罰金を科した。

巨額の罰金はさまざまなプロジェクトや支援に充てている
角田と同じカナダGPでは、フェラーリがFP2でFIAから正式なウエット宣言がなされる前に、インターミディエイトタイヤをルクレールのマシンに装着し、コースに送り出し、それがレギュレーション違反を犯したとして、5000ユーロ(約85万円)の罰金に!

高額なところでは、2021年、レッドブルレーシングがF1のコストキャップ(予算制限)規則に違反したとして罰金700万ドル(約10億3000万円)を受け入れている。

ところでこうした巨額の罰金は、一体なにに使われるのか?
「(罰金で)スチュワードが素敵なディナーを楽しむことができる」と、マックス・フェルスタッペンがジョークを飛ばしたことがあるが、もちろん罰金の使い方は決まっていて、さまざまなプロジェクトの支援に使われているとのこと。

罰金の使い道について、FIAは次のようにコメントしている。
「FIAは非営利団体であるため、運営費を超えるすべての収益は、我々のメンバークラブのサポートとして、低コストのクロスカーのイニシアチブ、FIA大学、エンジニアリング奨学金プログラム、プロジェクトやイニシアチブなどに充てられる」。
それにしても、F1の世界は庶民と金銭感覚が違いすぎて、クラクラしそうだ……。