この記事をまとめると
■11月16日に開催された「オーテック里帰りミーティング」の様子をレポート■過去最多の405台がエントリー、大磯ロングビーチに集結した
■魅力たっぷりのステージイベントや出展ブースを紹介する
メーカー主催の大規模ミーティング
さる11月16日、神奈川県は大磯ロングビーチ駐車場にて、「オーテックオーナーズグループ 湘南里帰りミーティング2024」が開催された。過去20年の開催のなかで最大規模となったこのイベントの様子をリポートする。
まずはイベントの概要を簡潔に紹介しよう。
NMCの拠点が湘南(茅ヶ崎)に位置し、そこから全国へと出荷された架装車両が、再び誕生の地である湘南に集結することから、「里帰り」というワードがイベント名に冠されるというわけだ。
それゆえ、参加が認められるのは、日産車をベースにNISMOならびにAUTECHの手が加えられた車両のオーナーのみ。となるとニッチで小規模なイベントを想像してしまいそうだが、さにあらず。本年度は、NMC車両405台と来場者766名がエントリーし、この湘南の地につめかけた。この車両台数については歴代最多であるという。
では、さっそくイベントの様子をリポートしてゆこう。
イベントは、NMCの代表取締役社長兼CEOである片桐隆夫氏の挨拶によって開幕。片桐代表は、「この湘南里帰りミーティングが今回で20周年を迎えられたのはオーナー各位の支援の賜物である」と、社員を代表して深い感謝の意を口にすると、会場からは暖かい拍手が巻き起こった。
また、NISMOとオーテックによるNMCという新しい体制のもとで、モータースポーツとカスタマイズのシナジーによって、ユーザーによりよいクルマ、楽しいクルマを届けていくとアピールした。

片桐代表の挨拶が終わると、突如「西部警察メインテーマ I」が会場内に流れはじめた。しかもスピーカーの音響ではない、生演奏の音である。

思わず聞き惚れそうになったが、すぐに会場がどよめきだして我に帰った。見れば、白バイを従え、R33型スカイラインGT-Rセダンのパトカーがステージへと向かってきているではないか!
ここで、片桐代表の挨拶のなかで「神奈川県警にもご協力いただき...」という一節があったことをふと思い出した。まさか、その「協力」がこんな形だとは……。大迫力の生演奏もあり、会場は大盛り上がり。なんともニクい演出である。

白バイとGT-Rパトカーに先導されて入場したのは、発売前の「セレナ AUTCH SPORTS SPEC」。
といっても新型車両のお披露目が目的というわけではなく、主役はその搭乗者。セレナに乗って現れたのは、今回招聘されたスペシャルゲストたちだったのだ。

ゲストは、SUPER GT 2024シーズン MOTUL AUTECH Z(#23)ドライバーの千代勝正選手、ロニー・クインタレッリ選手、AUTECHレースアンバサダー 高岡みほさんという豪華な顔ぶれ。とくにロニー選手は、この里帰りミーティングに10回近く参加しているという、ある意味ユーザー顔負けのベテラン(?)だ。
さっそく登壇したゲストたちによって、恒例となる「オーテック3賞」の発表が行われた。「オーテック3賞」とは、毎年このミーティングの参加者を対象とする賞典で、南西方面・北東方面それぞれもっとも遠くからやってきたオーナーに与えられる「遠来賞」が2名と、もっとも多くの距離を走破したクルマのオーナーに与えられる「過走大賞」(殿堂入り制度あり)が1名の計3名に与えられるもの。受賞者には、各ゲストからトロフィーが直接授与された。

「遠来賞(北東方面)」の受賞者は、北海道室蘭市からセレナ e-POWER AUTECHで来場した「ぬまっち」さん(写真左から3番目)。驚くべきことに、室蘭市から参加したオーナーがもうひとりおり、わずか4kmの僅差を制しての受賞とのこと。「遠来賞(南西方面)」の受賞者は、佐賀県武雄市からオーラ NISMOで来場した「Kuroneko E52」さん(写真左から一番目)。そして、「過走大賞」の受賞者は、39万4871kmを走破したデュアリス クロスライダーで来場した「みっちい」さん(写真左から5番目)となった。

あまりの盛りだくさんな内容に、開会式だけで1ページを費やしてしまった……。
会場中に魅力が盛りだくさん
ステージだけが見どころというわけではない。たとえば、会場内に並べられたユーザーカーは、個性的なカスタマイズを施しているものが多く、それらを眺めながら散策しているだけでも楽しい。
また、希少なNISMO/オーテックのコンプリートカーが平然と複数台並んでいたりするのもこのイベントの面白いところだ。ひとつ例を挙げれば、30台限定販売のマーチボレロ A30はなんと8台も参加! それ以外にも街で見かけたらあっと声をあげるような激レアなクルマが見渡す限りそこいら中に置いてあり、なんだかクラクラしてしまいそうだった。

NMCや協賛企業のブースも注目トピックが盛りだくさんだ。
ステージ付近では、NISMO 40周年を記念してコンプリートカーを展示。並べられたのは、生産わずか30台、S14型シルビアベースの超貴重な「ニスモ 270R」と、ベース車とはまったく別物の内容を与えられ、Z史上最高のモデルと名高い「フェアレディZ バージョンNISMO Type 380RS」。熱心なNISMOファンのみならず、クルマ好きなら垂涎必至の2台だ。

NISMOからはNISSAN Z GT4のホワイトボディも展示。フェアレディZ NISMOをベースとして、盛り上がりを見せるFIA GT4カテゴリー向けに制作され、スーパー耐久やGT4アメリカなどにすでに参戦しているマシンとなる。
今回はそのホワイトボディが展示ということで、普段は見ることのできないレーシングカーの骨格に釘付けとなるファンが多く見られた。

また、オーテックが出展した、イベント参加の記念品にもなるメダル作りを楽しめるモノづくり体験ブースや、会場限定の商品も用意したグッズ販売ブースは大人気で、長蛇の列が。
屋内には天然もみの木リースを作れるワークショップコーナーも設置されるなど、家族連れのオーナーのために奥さま・お子さまが楽しめるコーナーが用意されているのも嬉しい。これなら、パパが家族そっちのけでクルマに夢中になっても大丈夫だ(ほどほどに!)。

そのほか、協賛企業も数多く出展しており、商品の展示だけでなく物販やでデモカー展示を行うブースもあった。

ステージでは、3人のスペシャルゲストによるトークショーが今年も大人気。

そして、本年度初の試みとして、NMCで車両開発に関わっている現役エンジニアによるトークショーも行われた。日産自動車でシャシー実験を主に担当し、2013年にオーテックに移籍してからはカスタマイズ開発実験部に所属する髙澤 仁氏と、オーテックで実験担当を行ったのち、2002年にNISMOに移籍してからはスーパーGTマシンや市販車のエンジン開発や、近年ではNISMOロードカーの開発全般に携わっているカスタマイズプロジェクト統括部所属の成富健一郎氏が登壇した。
オーテックとNISMOの各ブランドの走りの違いという話題からスタートしたトークは、タイヤを選ぶ際に重視する特性やサスペンションのセッティングの決めかた、しまいには構造用接着剤の硬度が……といったおそろしくマニアックな話に突入していく。自動車メディアに携わる者としては面白くていくらでも聴いていられるが、オーナーの皆さんはあまりのマニアックさに置いていかれてはいないだろうか……と一抹の不安を覚えたものの、その心配は杞憂で、皆さん熱心に耳を傾けていた。
というわけで、内容が興味深いというだけでなく、エンジニアの方はもちろん、参加者の方の強いクルマ愛をもトークショーを通じて感じることができた。

そんなこんなで、気がつけば閉会式の時間に。
スペシャルゲストの3名が今回の里帰りミーティングの感想をそれぞれ口にしたのち、恒例のじゃんけん大会を実施。ゲストたちとのじゃんけんに勝利すると、12月1日に富士スピードウェイにて開催される「NISMO Festival」のチケットがもらえるということで、会場は最後まで大きく盛り上がっていた。

閉会式を終えると、毎年定番となっているAUTECHの「A」ポーズをとって、出展者を含んだ集合写真を撮影し、イベントは幕を閉じた。

開会式・閉会式や、豪華なトークショーといった見どころを中心にレポートしてきたが、じつはこのオーテック里帰りミーティングを通してもっとも印象に残ったのは、良い意味でゆるっとした全体の雰囲気だった。
ステージで催しが行われる際はそこに参加者が集まるものの、それ以外の時間は参加者同士でコミニュケーションをとったり、出展ブースに立ち寄ったり、ケータリングの食事に舌鼓を打ったり、ときには昼寝をしてみたり……と、皆さん思い思いの過ごし方を楽しんでいて、それもこのイベントの大きな魅力のひとつなのではないだろうか。

個性豊かなオーナーカーの数々は、また別の記事にて紹介させていただこう。