この記事をまとめると
■2025年度からフォーミュラジムカーナのマシンがGR86に変更■さらに参加資格が拡大し多くの学生にチャンスが広がった
■モータースポーツの裾野拡大だけでなく就職活動にも役立つ場としても注目のイベントだ
フォーミュラジムカーナはどう変わる?
自動車部の学生たちをイコールコンディションで競わせながら、就職活動のマッチングの場としての側面も持つイベントのフォーミュラジムカーナ。2023年からスタートした大会だが、2025年はマシンをGR86へとチェンジする。そのマシンが東京オートサロンの会場に展示されていたが、マシンチェンジの目的、そしてフォーミュラジムカーナが今後目指す姿とはどのようなものなのだろうか。
2025シーズンのフォーミュラジムカーナはいくつか変更点がある。
まず、参加資格を持つ学校の基準についてだ。これまでは4年制大学の自動車部に限っていたが、今シーズンはその制限を撤廃し、文部科学省認定の学校に所属する体育会やそれに準ずる活動実績を持つ団体へと変更する。より多くの学生団体にチャンスがあるのだ。
また、今年は1次選考の書類選考から8000円のエントリーフィーが発生する。これはお金を集めたいのが理由ではない。お金が発生するからこそ、責任が生まれるという自覚を学生たちに持って欲しいからだ。お金を払うからこそ、書類選考に記入する文章やレポートは無駄にできないと学生たちは痛感するはず。「とりあえず応募」ではない環境を整えたかったのが狙いだそうだ。

そして、大きなポイントとしては全国大会の優勝校には1年間ジムカーナ競技仕様(PN規定に準じたもの)のトヨタ86(ZN6)が貸与される。これはフォーミュラジムカーナに参戦時、優勝校に属していたOBも使用していいものとされているのだ。

この狙いは「卒業してからもモータースポーツにチャレンジし続けてほしい」という思いからだ。
何より競技仕様の車両が1年間貸与されるのは学生たちにとってとても魅力的だ。フォーミュラジムカーナに多くの自動車部が「参加したい!」と憧れる競技になるために、そんな狙いもあるようだ。
GR86・ATモデルへの車両スイッチのねらいとは
今年の変更点として注目度が高いのがマシンの変更だ。フォーミュラジムカーナ女子クラスは昨年と同じく日産自動車より貸与されるNOTE AURA NISMOを使用するが、フォーミュラジムカーナクラスはトヨタ自動車より貸与されるGR86のAT車を使用する。車両スイッチの理由はいくつかある。
まずは業界全体でこの競技を盛り上げていくために現行車にしたかったという側面があるそうだ。そのなかでシンプルかつ競技に適していて、値段とのバランスを考え、総合的に適していると判断しGR86が採用された。そして現行車にするのは車両管理的な意味合いも大きい。

昨年まではヴィッツGRMNを使用していたが、絶版の限定車であるため部品供給などの面で不安な部分があった。現行車ならばそのような心配はないという理由もある。
AT車にした理由は、世界的に2ペダルが主流になっているのもあるが、多くの部員に乗るチャンスがある大会にしたいからだ。

展示されていた車両はまだノーマルの状態であったが、今後シーズンインに向けてBRIDE製のシートとCUSCO製のシートベルトが装着される予定だ。展示車と異なり、17インチを装着し、タイヤは昨年同様開催されるラウンド毎に異なる協賛タイヤを装着する。そのほかの変更点はまだ調整中とのことだ。

東京オートサロンではNAPACブースに今シーズンのマシンを展示。実際に昨シーズン参戦し、優勝した長岡技術科学大学のメンバーも足を運んでいた。実際にオートサロンの会場で「フォーミュラジムカーナへの参戦をきっかけに、就職が決まりました!」とブースで声をかける学生もいたそうだ。

今シーズンは応援する企業も増える予定で、自動車関連企業としても魅力的な場になっているのは間違いない。フォーミュラジムカーナは自動車メーカーも応援していて、現地でブースを出しているが、サプライヤー系のパーツメーカーなどもブースを出展。そこでのコミュニケーションで、学生自身がやりたい仕事に近づく、具体的なイメージが持てる気づきを得られるケースもあるようだ。
マシンチェンジによって更にパワーアップするであろうフォーミュラジムカーナにWEB CARTOPも注目していきたい。