この記事をまとめると
■除雪車の自動運転技術の開発が進んでいる■自動運転化による無人化を目指しているわけではない
■除雪車の自動運転について詳しく解説する
進む除雪車の自動運転化
気候変動によってか、このところ暖冬が続いている日本。しかし、暖冬だからこそ湿った風が山に当たって雲になることで日本海側には大雪が降りやすくなる。
そんな地域の冬季の交通を守るには除雪作業が欠かせない。
それは過酷なだけでなく危険も伴う作業であるから、安全には万全の配慮を行い、場合によっては通行止めなどの措置をして除雪作業を行うことになる。車線規制をしての除雪作業は、一般車両が隣を走行するので、さらに注意が必要だ。
それに加えて、少子高齢化が進む日本では、作業員の確保もままならなくなってきている。そこでNEXCO東日本では除雪車の自動運転化の開発を進めている。ハイウェイテクノフェア2024では、そんな除雪車の自動運転開発の進捗ぶりを模型と動画で展示していた。
乗用車やトラックの自動運転は、高精度な三次元マップとGNSS(GPSなどの衛星測位による位置情報)を照らしあわせ、さらにミリ波レーダーやレーザースキャナー、カメラによる画像認識により障害物を検知しながら、衝突を避けるように進んでいく。これは完全な自律走行であり、人が操作しなくても安全に走行を続けていける構造だ。しかし、除雪車の場合は自動運転でも仕組みがやや異なる。
作業に必要な人の数を減らす
高精度な三次元マップとGNSSを利用するのは変わらないが、障害物を検知するセンサーは使わない。というよりも除雪する雪自体が障害物だから、障害物を避けながら進むということ自体できないのだ。
そのため、GNSSでもっとも精度の高い準天頂衛星の電波を受信して、定められたルートを正確になぞっていく仕組みが採用されているのである。

そもそも除雪作業は車線を規制して、ほかの車両を排除して作業するので、原則として道路に設置されている物しか障害物は存在しない。そのため、作業員が障害物や周囲の安全に配慮しながら、自動運転による除雪作業を行うようにしているのである。
この自動運転除雪車、まだ一部ではあるものの、実際に導入されているそうだ。しかし、この方法では自動運転の最大の目的である無人運転を実現していくのは難しいのでは? そう説明員に尋ねると、意外な答えが。
「除雪車の自動運転は無人化を目指したものではないんです。現在、2名乗車で運転と安全確認を行なっているので、それを1名にするのが目的です」

除雪車による除雪作業は完全に作業員が居ない状態にするのは不可能だ。それなら2名必要な作業を1名に、3名必要な作業を2名に、そして1名に。省人力化を図っていくことが安全確実な除雪作業をこれからも続けていけることにつながるのだった。