この記事をまとめると
■BYDは新型モデル「ATTO 2」を世界初公開した■インドでは韓国のヒョンデが「クレタ・エレクトリック」を発表した
■BYD ATTO 2はホンダ・ヴェゼル並みの低価格で販売される可能性もある
BYDがEVコンパクトSUVのATTO 2を発表
中国BYDオート(比亜迪汽車)は2025年1月、ベルギーの首都ブリュッセルで開催された「ブリュッセル・モーターショー」において、コンパクト・クロスオーバーSUVタイプのBEV(バッテリー電気自動車)となる「ATTO 2」を世界初公開した。その車名からわかるとおり、ATTO 2は日本国内でも販売されているATTO 3の弟分に相当するモデルとなっている。
ATTO 3比で全長がマイナス145mm(4310mm)、全幅がマイナス45mm(1830mm)、全高がプラス60mm(1675mm)となっている。
ちなみに、2025年1月開催の東京オートサロン2025にて日本国内で初公開された、BYDのクロスオーバーSUVタイプBEVの車名は「シーライオン7」となっているが、海外ではこのシーライオン7のPHEV(プラグインハイブリッド車)となるモデルは「シーライオン6」となっている。ATTOシリーズはボディサイズによって数字が大小に変わっていくので、同じBYDでも車名の法則が異なることも業界内で話題となった。
ATTO 2がワールドデビューしたブリュッセル・モーターショー開催と同じタイミングで、インドの首都デリーで開催されていた「オートエキスポ2025(通称:デリーオートエキスポ)」会場にてヒョンデは新興国向けコンパクト・クロスオーバーSUVとなる「クレタ」のBEV版となる「クレタ・エレクトリック」をワールドデビューさせた。このクレタ・エレクトリックも全幅がやや狭い以外はATTO2とボディサイズはほぼ同じとなっている。

クレタ・エレクトリックは今後、インド以外の新興国でもラインアップされていく可能性は高いのだが、インドネシアではコナ・エレクトリックが搭載する駆動用電池にいたるまで、「インドネシア製」としてラインアップされている。
ちなみにタイ市場でラインアップされているヒョンデのBEVがアイオニック5とアイオニック6のみとなっている。シンガポールではすでにコナ・エレクトリック(原産地不明)がラインアップされていることからも、東南アジアではより成長著しいタイやマレーシアなどでもコナ・エレクトリックが今後投入されていくのではないかと考えている(つまりクレタ・エレクトリックはインドのみという可能性もある)。
世界市場ではBEVのラインアップ細分化が進んでいる
ヒョンデは今後、コナ・エレクトリックとクレタ・エレクトリックの2枚看板でこのクラスのBEVの販売拡張を進めていくようにも見えるので、BYDとしてはクレタほど「大衆車」的なカテゴリーは狙わずに、コナ・エレクトリックが狙う、感度が高く、ややアッパーなクラスをメインに狙えるATTO2で対抗しようとしているようにも見える。

なお、気になる価格だが、ATTO 2は欧州でも発売とはなっていないようなのだが、現地メディアの予想販売価格帯をベースとすると、現地でのATTO 3の価格の約71%となっている。単純に日本でのATTO 3の車両価格をベースとすると、ベーシック仕様で約315万円と換算することができる。
ホンダ・ヴェゼルのHEV(ハイブリッド車)のFFでの廉価仕様の価格が288万8600円なので、BEVには補助金というものもあることを考慮すれば、かなりいい勝負ともいえる。

新車販売全体の3%強でカリフォルニア州の8分の1程度となる日本でのBEVの普及は、まだまだこれからといったところであり、BYDもラインアップ拡大には慎重な姿勢のようにも見える。
ATTO 2の日本国内導入は予定されているとしても、まだまだ先の話になりそうだ。最近は世界的にもBEVの普及スピードが鈍化しているともいわれているが、世界市場ではBEVのラインアップ細分化が進んでいるというのもまた間違いない話のようである。