テンショナー、ウォーターポンプとセットでの交換が基本
クルマのメンテナンスや中古車の話でよく出てくる「タイミングベルト」。どのメーカーも10年もしくは10万km毎の交換を推奨している。長く乗っていると交換しなくてはならないし、中古車だと後々費用がかかるので交換済みかどうかというのは重要なポイントになったりする。
まず役割から説明すると、カムシャフトを駆動させて、その先にあるバルブを開閉させるためにあるのがタイミングベルトで、エンジンのクランクシャフトから動力を取っている。そのため、エンジンの横に付いていて、下から上へとかけられているのが特徴。真ん中あたりには張りを維持するテンショナーと冷却水を循環させるウォーターポンプが取り付けられていることが多い。
通常タイミングベルト交換というと、ベルトそのものに加えて、テンショナーとウォーターポンプの3点セットで交換するのが基本。エンジンそのものにアクセスするので工賃もかかり、費用もかさむことが多い。
シリンダーにキズが付くと莫大な修理費用がかかる!
劣化やメンテ不良(漏れたオイルが染みるなど)でベルトが切れると、クランクシャフト(つまりピストン)とカムシャフト&バルブの動きがバラバラになって、最悪の場合、バルブが開いていて、ピストンが上にきているとぶつかって損傷。バルブクラッシュと呼ばれる状態になってしまう。
ピストンとバルブだけで済めばいいが、シリンダーにキズが付くと莫大な修理費用がかかる。ただ、ほとんどのエンジンではタイミングが狂ってもぶつからないようにピストンの頭にくぼみが付けられているので、バルブクラッシュは起こらないようにはなっている。とはいえ走行不能になるので、けっこうな損害になるが……。

一方、ベルトではなく、チェーンを使っているエンジンもある。メーカーでは日産がチェーンを好んで使っていて、ベルトが切れるならチェーンでいいと思うかもしれない。

またエンジンのエンジニアに聞いたところによると、「ベルトでいいものができると、今度はチェーンメーカーがいいものを作ってくる。そうすると次はベルトメーカーが頑張るので、エンジンを開発するときもその時々でベルトかチェーンを選ぶことが多い」とのことで、完全にどちらかになるというのはないようだ。実際、チェーンもかなり細くなり、低抵抗タイプも開発されていたりするし、ベルトも高耐久のものが登場しているなど、技術競争が激しいパーツと言っていい。