デザインだけではなく専用のエンブレムまで用意している
欧州系の自動車ブランドにおいて、グリルやヘッドライトのテイストをあわせてフロントマスクを共通化することは半ば常識。日本車ではマツダやスバルがメーカーとして顔つきを統一させていると感じているユーザーは多いだろう。
しかし、日本を代表する自動車メーカーであるトヨタは、キーンルックというコンセプトは掲げているが、全ラインアップで徹底して統一したブランディングをしているようには思えない。
たとえばカローラは車名の頭文字である「C」をモチーフにした専用エンブレムをつけているほどで、トヨタ車だということよりも「カローラ」であることを強く主張している。
それは、おそらく単独ブランドの販売規模としては「TOYOTA」が世界トップであることに関係している。
自動車販売の世界トップといえばフォルクスワーゲン・グループが挙げられるが、同グループにはアウディやシュコダ、セアトといった複数のブランドがある。また、米ゼネラルモーターズにしてもキャデラックやシボレーといったブランドの集合体である。
一方、トヨタの場合はレクサスという別ブランドがあり、グループ内にはダイハツや日野もあるが、大多数のモデルは「TOYOTA」ブランドを背負っている。TOYOTAのラインアップは幅広く、そのなかにはカローラのようにモデル単独でひとつのブランドに匹敵するだけのグローバル販売を誇っているモデルもある。
レクサスやGRシリーズは統一路線でブランド化する
ブランディングに影響するのは販売規模だけでない。ランドクルーザーという名前は、その響きだけで強い信頼性を感じさせる。まさに独立したブランド力を持っているといえる。
このようにトヨタのなかに、強烈な個性のあるブランドが存在しているのだ。
そのため、仮にトヨタ自身がブランドを統一しようとしても、各モデルが持っているブランド力が上まわってしまうこともあるだろうし、そうした価値をなくしてまで統一する価値があるかといえば疑問だ。いまのトヨタ・ラインアップのブランディングはいいバランスが取れている。
ただし、前述したように「レクサス」はスピンドルグリルによって統一性を持たせているし、スポーツカーコンバージョンである「GR」系モデルにおいても共通の顔つきとしている。
なお、レクサスのグローバル販売は2019年実績で76万台。冒頭で例に挙げたマツダやスバルが100万~150万台の販売実績であるから、このくらいの規模感であれば顔つきを統一するほうがブランディングには効いてくるのだろう。
あらためて整理すれば、TOYOTAというブランドはイメージを統一するには、あまりにもスケールが大きく、個別のモデルが持つ個性(ブランド力)も強い。ユーザーは各モデルに異なるイメージを持っている、あえて個々のブランド力を消してまでブランドを再構築する必要もないのだ。

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