エコカー減税や環境性能割などの優遇減税が受けられる
初代トヨタ・プリウスが世界中に浸透させたハイブリッドカーは、今、世界の自動車メーカーが猛スピードで推進するクルマの電動化のベースとなる存在だ。実際、売れている登録車の多くは、ハイブリッドがラインアップされているモデルとなっているのが実情だ。
そんなハイブリッドカーは、レオナルド・デカプリオが7台のプリウスを所有していたという逸話からも、以前はエコなライフスタイルを実践する象徴でもあったのだが、今では、ハイブリットカーはもはや当たり前の存在だ。
さらに、軽自動車でもマイルドハイブリッドを採用している車種は少なくなく、まさに時代はハイブリッドカー全盛というわけだ。もちろん、価格的により割高なEVやPHVもあるが、今ではハイブリッドカーの価格がこなれてきて、特別なクルマではなくなっている。
では、ハイブリッドカーを所有するメリットはどこにあるのか。以前と違い、エコライフの象徴感は薄れてきたものの、純ガソリン車に対する燃費の良さを一番に挙げる人がほとんどではないだろうか。しかし、ハイブリッドカーのメリットは、じつはそれだけにとどまらない!!

もっとも分かりやすいのは減税だ。自動車の税制が新しくなった以降では、たとえばガソリン車とハイブリッド車を揃えるトヨタのカローラスポーツの場合、ハイブリッド車ならエコカー減税、環境性能割、グリーン化特例の3つの優遇減税がある。車両本体価格約270万円のHYBRID G(FF)では、エコカー減税約2万2500円、環境性能割約6万5200円、グリーン化特例約2万7000円となり、優遇額合計は約11万4700円に達する。

一方、ほぼ同じ車両本体価格のガソリン車のG”Z”(4WD)は環境性能割のみの優遇額になる。結果、車両本体価格約270万円のHYBRID G(FF)は値引きを考慮しない場合、実質約254万5000円となり、優遇額約1万9500円のガソリン車のG、車両本体258万2800円と変わらない(価格差が縮まる)支払い額になるわけだ。よく、ガソリン車とハイブリッド車の価格を比較して、ハイブリッド車は燃料代でなんキロ乗れば元が取れるか、といった比較話があるが、車両本体価格同士ではなく、減税、優遇額後の価格で比較するのが正しい。

ハイブリッドは走りや使い勝手の良さ、便利さも兼ね備える
もちろん、トヨタの2モーターのストロングハイブリッド車などは、モーターだけでも走ることができ、全般的に静かでスムースな走行になる。

細かい点では、メーターやシフターに未来感があったりするのはもちろん、ハイブリッド車はインバーターエアコンの採用がほとんどで、信号待ちの一時停止時でもエアコンの冷風が途切れることはなく(スズキのエコクールのように、ガソリン車でも蓄冷式エアコンを採用していれば、一定時間、冷風が持続する)、夏のドライブでの快適さに大きく影響するのである。
また、一時停止から発進する際の、アイドリングストップからの復帰時のブルンという音や振動も、ガソリン車にくらべ、皆無に近かったりする。少し走っては止まり、またすぐに発進するような渋滞時にもこれは大きなメリットとなる。
また、瞬時に発揮されるモータートルクは、アクセルオフからの再加速性能の良さにも直結する。モータートルクの大きいEVやPHVがより顕著ではあるものの、ハイブリッドでも、たとえばACC(アダプティブクルーズコントロール)付きであれば、自動減速からの再加速性能が高まる理屈だ。ガソリン車でモタつくような場面でも、一段とスムースかつ力強く再加速してくれるのである。

ガソリン車にない決定的な装備として注目してほしいのが、多くの2モーターハイブリッド車に用意されるAC100V/1500Wコンセントの存在だ。車内外で1500Wまでの家電品が使え、アウトドアではもちろん、災害時にも絶大なる威力を発揮。トヨタ車のように、給電機能のあるハイブリッドカーもあり、家庭内に電気を供給することさえできるのだから、イザというとき、頼りになる。

東日本大震災の直後、トヨタが全国のエスティマなどのハイブリッド車を東北に集結させ、AC100V/1500Wコンセントからの給電によって、停電したエリアの暗闇に明かりを灯したという、今でも語り続けられるエピソードもある。
ガソリン車に対するハイブリッドカーの価格上昇は、主に高価なバッテリーによるものだが、燃費だけではない、そうした税制の優遇、走りや使い勝手の良さ、便利さを知れば、おおいに納得できるのではないだろうか。