比重の軽さから名付けられた名称だった

ガソリンスタンドで給油できるクルマの燃料といえば、ハイオク、レギュラー、軽油の3種類。このうち軽油はディーゼル車の燃料で、英語圏では、ずばりDiesel Fuelと表記されている。日本でも「ディーゼル」と呼んでいれば、「軽油=軽自動車用」という勘違い・認識不足による誤給油のトラブルも防げたはずなのに、そもそもなぜ軽油という呼び名になったのか?



「軽油=軽自動車用」の勘違いもホントにある! 英語圏同様の「...の画像はこちら >>



簡単にいうと、まず石油製品は植物油に変わる照明用燃料=灯油(Lamp Oil)から普及し、次に石炭の代わりに重油(Heavy Oil)が使われるようになり、重油より比重の軽いものが、Light Oil=軽油(Gas Oil)と呼ばれるようになっただけ。



詳しくいうと、これらの石油製品の精製は沸点によって分けられている。原料はいずれも原油で、製油所では原油をまず加熱炉に入れ約350℃に加熱し、蒸気(石油蒸気)にしたものを蒸留塔に送る。



その蒸留塔のなかで、沸点の低いもの(30℃~180℃)がガソリン、170℃~250℃が灯油、240℃~350℃が軽油として留出され、蒸留塔に残ったものが重油となる。つまり、比重が軽い順に分けると、1ガソリン、2灯油、3軽油、4重油となるわけで、全体としてみると、じつは軽油は軽くはない……。



これらの理由から、公益社団法人石油学会の資料を見ると、『軽油は漢字として不適当であり,中油あたりが適当だったのかもしれない』と書かれていた!



軽油にも仕様違いが5種類存在している

ちなみに軽油の最重要性状は流動点といわれている。流動点とは、潤滑油分野で用いられる液体の低温流動性を示す数値のことで、軽油はJIS規格により、流動点の違いで5種類に分類されている。



特1号軽油 流動点+5℃以下
1号軽油同-2.5℃以下
2号軽油-7.5℃以下
3号軽油-20℃以下
特3号軽油-30℃以下



よく、「スキーなどでディーゼル車で寒冷地に行くときは、軽油は現地で給油すること」といわれるのは、同じ軽油でも、厳冬地とそうでないエリアでは、流動点が違うため。



「軽油=軽自動車用」の勘違いもホントにある! 英語圏同様の「ディーゼル」ではなく「軽油」と名付けられたワケ



またガソリンの場合、オクタン価という数値があるが、軽油では自己着火のしやすさ、ディーゼルノックの起こりにくさは、セタン価で示される。国内で販売されている軽油は、JIS規格で、セタン指数45(あるいは50)以上となっており、通常53~55程度のものが供されている。



というわけで、ホントはあまり軽くはない軽油。国内でも欧州のように「ディーゼル」と呼べばいいと思うのだが、いまのところ改称される予定はないようだ。余談だが、ディーゼルとは、ディーゼルエンジンを発明した、ドイツ人のルドルフ・ディーゼルの名前が由来だ。



「軽油=軽自動車用」の勘違いもホントにある! 英語圏同様の「ディーゼル」ではなく「軽油」と名付けられたワケ

編集部おすすめ