F1日本グランプリは万が一を避けるべく中止に

世界中であらゆる大規模イベントの中止や延期が続いているなか、日本のモータースポーツも例年とはまったく異なるスケジュールとなった。スーパーGTなど、当面は無観客で実施することを発表したカテゴリーもある。



とりわけ、10月に鈴鹿サーキットで開催予定だったF1日本グランプリ中止の発表は、レース関係者やファンに大きな衝撃を与えた。

数万人の大観衆が集まる大規模なレースイベントは「密」が避けられず、大都市部から地方への人の移動も多くなることから、これまでどおりの形に戻るのは極めて難しい。無観客開催は、レースをする方も観るほうも寂しいが、開催されるだけありがたいというものだ。



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国内トップカテゴリーのスーパーGTでは、海外戦が中止となり、開催サーキットの変更も余儀なくされるなど、苦渋の決断が下されたが、開催数は例年通り8戦行うことを死守。選手権としての意味や価値が損なわれないよう、ギリギリの調整が行われた。残念な部分も多々あるが、例年とは異なるスケジュールでの開催は、ある意味例年にはない面白さもあるということで、ファンとしては前向きに楽しみたいものだ。



レース以外の事業でコロナ禍を耐えるチームもある

ところで、開幕が3カ月以上も遅れ、テスト走行やマシン開発もままならないなか、レース関係のコンストラクターはどう過ごしているのだろうか。業務の100%がレース運営という関連会社は大変厳しい状況だが、コンストラクターの多くはレース運営以外の業務も行っている場合が多く、そういったチームの関連企業は健在だ。



たとえば、スーパーGT GT300クラスに参戦するSUBARU BRZのチーム運営やマシン開発を請け負うR&Dスポーツでは、レース以外では自動車用複合材の開発や生産も行っている。コロナ禍のなかでも、社員は感染症対策に万全を期しながら出社し、いつもどおりの業務を行っていたという。実際、筆者が取材で訪問した先日も、工場から作業音が鳴り響くなか、社員は忙しそうに過ごしていた。



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話を聞くと、もちろんレーススケジュールの大幅な変更や無観客開催などに困惑はしているのものの、雰囲気的に悲壮感が漂っている様子はなく、粛々とやるべき業務をこなしているように見えた。



もちろん、これはほんの一例に過ぎず、業界全体では余談を許さない状況が続くが、われわれファンはさまざまな期待を込めてレースシーズンの開幕を待ちたい。

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