最近の国産車でも発生する可能性がある
燃料を燃やした力で動いているエンジンだけに、その発熱量はかなりのもの。そのままではエンジン本体がダメになってしまうので冷却装置を用いて一定の温度以上にならないようにしているのだが、冷却がうまくいかないといわゆる「オーバーヒート」という状態に陥ってしまう。
旧車や古めの輸入車などで起こるイメージのあるオーバーヒートではあるが、場合によっては最近の国産車でも発生する可能性は大いにあるのだ。
たとえば、冷却水の通り道であるホースなどに亀裂が入って冷却水が漏れてしまっている状態や、冷却水を循環させるウォーターポンプの故障といった冷却系のトラブルから、エンジンオイルが規定量入っていないことによって摩擦熱が増加し、冷却が追い付かなくなるというようなケースなどが考えられる。
他にも路上に落ちていたビニール袋などがフロント部分を塞ぎ、走行風が十分に入らなくなるといったケースでもオーバーヒートしてしまう可能性はあるのである。

最近では水温計が装着されていない車種も少なくないが、オーバーヒートの状態になると赤い警告灯が点灯するので、走行中に異変を感じたらまずはメーターをよく確認するといいだろう。では、もしオーバーヒート状態になってしまった場合、どうしたらいいのだろうか?
エンジンはかけたままの方が良いケースも!
その場合は、まず安全な場所に車両を停止させる。このとき草むらなど可燃物がある場所に停車すると、オーバーヒートの熱によって火災が発生する可能性もあるので、確認しておきたいところ。
そしてボンネットを開けてエンジンルームの風通しを良くする。このとき、すでにエンジンルームから煙が出ているような状態だと冷却水が噴き出している可能性もあるので注意したい。

このとき、エンジンをかけておくか止めるべきかの判断は難しいところだが、冷却水漏れやウォーターポンプ、冷却ファンの故障といった冷却系のトラブルの場合は冷却させる機能が失われているため、エンジンをかけておいても温度は上がる一方となる。
逆に冷却系は機能していて、長い渋滞や高負荷が続いてオーバーヒートしてしまった場合はそのままエンジンをかけておくのがベスト。エンジンを搭載した車両の暖房はエンジンの熱を利用して温風を出す仕組みなので、余裕があればヒーターを全開にするのも効果的だ。

そして、うまく水温が下がったとしても自走するのはあまりオススメできない。なぜなら再びオーバーヒートが発生する可能性も高いし、高温によってエンジンに致命的なダメージが発生している可能性もあるからだ。
少々水温が高くなった程度なら問題ないが、あまりに高温になってしまうとエンジン本体にゆがみが発生し、修理ではなくエンジン載せ替えが必須となってしまうこともある。となると少なくとも数十万円の出費は覚悟しなければならず、最悪の場合廃車ということにもなりかねない。たかが水温と思うかもしれないが、メンテナンスを怠れば、大きな代償を負うことになってしまうのである。