煽り運転などにもつながってしまう行為も……
お客さまの送迎や仕事の外まわりなどで、自分が運転するクルマに誰かを乗せるとき、どんな運転をすれば安心して乗ってもらえるでしょうか。よく言われるのは、「急発進・急ハンドル・急ブレーキ」といった「急」のつく操作をしないということですね。でも、同乗者が無意識のうちに身体をこわばらせてしまったり、足を踏ん張ってしまうような運転というのは、ほかにもあるんです。
1)不要なブレーキ操作
まずひとつ目は、急ブレーキではなくても、ちょっとしたことで頻繁にブレーキを踏む運転です。青なのに「信号機」を見ただけで条件反射でいちいちブレーキを踏んだり、標識や看板を見るたびにブレーキを踏むなど、明らかに不要なブレーキというのは、同乗者からすると不意をつかれるような理解できない行動なので、ビクッとしてしまうのです。
そして、減速するたびに身体が前のめりになるなど、負担がかかるので不快。なるべく不要なブレーキを踏まないように心がけましょう。
2)赤信号がわかっていてもギリギリまでブレーキを踏まない
ふたつ目もブレーキ関係ですが、道路の先に赤信号が見えているのに、いっこうにアクセルをゆるめない運転には恐怖心を覚えます。「赤信号が認識できているのかな?」という不安と、「どのあたりまで加速を続けるのかな?」という疑問、そして「急ブレーキで止まるかもしれない」と身構える3段階の恐怖心が同乗者を襲います。

赤信号が見えたら、真後ろのクルマがちゃんと車間距離を取っていることをバックミラーで確認し、アクセルをゆるめはじめて徐々に減速。最後の数メートルでブレーキを丁寧に踏んで停止するというのが、同乗者に優しい止まり方です。
3)車間距離の詰めすぎ
続いて3つ目は車間距離が近い運転です。近ごろは煽り運転が注目され、厳罰化もされましたが、そこまでいかなくても車間距離が短いなと感じるドライバーが多く見受けられます。理由を聞くと、「割り込まれたくないから」「(車間距離を)あけてると下手だと思われるから」といった、自分勝手なものばかり。これでは隣りに乗せられた人はたまったものじゃありません。

クルマは60km/hで走行中、1秒間に約17メートルも進んでしまいます。17メートルというと、ガソリンを運ぶ大きなタンクローリーが1台、すっぽりと入ってしまう長さです。
これが高速道路の場合はもっとリスクが高まりますので、標識など何か目標物を決めて、前走車がそこを通過してから、1・2と2秒数えたときに自分のクルマが同じ場所を通過するくらいの車間距離を取るのが理想的。ぜひ安心できる車間距離を意識してみましょう。
4)信号待ちでゆるゆると前進する
次に4つ目は、右折待ちや信号待ちなどの停止中に、ブレーキがしっかり踏めていなくてクリープ現象でズリズリと動いてしまうこと。これは話に夢中になったり、考えごとをしていたり、無意識のうちに動いてしまっていることがあるので、停車中もブレーキを踏む足への意識を忘れないようにしたいものです。上り坂の途中で停止しているような場合には、後ろに下がってしまうことになり、同乗者はかなり不安なので、気をつけましょう。

運転方法だけじゃなく機能を正しく使わないことも不安に繋がる
5)車線の端ギリギリに沿って運転する
5つ目は、車線の右や左に寄りすぎる運転です。運転に不慣れな人の場合は、運転席側に寄ってしまうことが多いのですが、まれに助手席側に寄っていってしまう人もいるようです。そうすると、助手席の人は縁石スレスレだったり、歩行者や自転車、バイクなどにぶつかるんじゃないか、とヒヤヒヤしてしまいます。

最近は先進の運転支援技術で車線の中央を走れるようにステアリングアシストがついたクルマも増えてきましたが、それがなくても、意識して車線の中央を走るようにしたいですね。
6)狭い道でもお構いなしに飛ばす運転
続いて6つ目は、細い道、狭い道、混み合った道でやたら飛ばす運転。ガードレールもないような道で、制限速度を守らないのは本当に危険です。いくら、自分が走っている道が主流で、合流してくる道に一時停止の標識があったとしても、歩行者や自転車がいつ飛び出してくるかわからないし、うっかり標識を見落としたクルマが出てくるとも限らないですよね。

ワンミスでアウトの状態に、同乗者はかなり恐怖心を覚えます。
7)雨量に合うよう適切にワイパーを動かさない
そしてラストの7つ目は、雨が降ってきたのになかなかワイパーを動かさない、もしくは雨量に合った間隔で動かさないこと。真っ暗ななかでジェットコースターに乗るのが怖いように、濡れて視界がボヤけたフロントガラスほど、怖いものはありません。自分ではまだ見えると思っても、同乗者を不安にさせないためにも早めにワイパーを作動させましょう。

というわけで、無意識のうちに同乗者に恐怖心を抱かせてしまう運転を挙げてみましたが、思い当たるところはありませんでしたか? これらは、同乗者がクルマの運転をする人の場合には、より不安になったりイラッとさせてしまうかもしれません。自分が思っている以上に、同乗者はクルマの挙動や周囲の流れに敏感だと肝に命じて、安心して乗ってもらえるような運転を心がけたいものですね。