常時書き込み中だったり高温下での使用がダメージに
ドライブレコーダー(ドラレコ)で重要な役割を果たしているのが、データを記録するSDカードだ。正確にはSDカードを小型化した「micro SDカード」となるが、ほとんどの人は付属されているものをそのまま使っていることは多いはず。じつはこれが思わぬトラブルを招く可能性があるのだ。
国民生活センターが2018年に発表した調査によれば、調査対象の7%の人がSDカードの異常によって記録が正常にできていなかった経験があると答えているという。万一の交通トラブルを記録するためにドラレコを使っているのに、いざ再生しようとしたら記録されていなかった! そんなことが現実に起きているのだ。
では、こうした事例はどうして発生してしまうのか。
micro SDカードを含め、メモリーカードは記録/消去を繰り返して使える記録メディアだが、その回数には限界がある。一般的なカメラなどで使うレベルならとくに問題はないが、ドラレコではつねに書き込みと消去を繰り返している。ドラレコで記録を終えた直後のmicro SDカードに触るとかなり熱くなっていることがわかるが、それだけメモリーカードに負担がかかっている証でもあるのだ。
しかもメモリーカードは使っているうちにその能力が下がってくる消耗品であり、そのため、元々から記録したデータに関しては免責としている。なかでもドラレコのように連続記録する状態で使用した場合は、使うこと自体を保証対象外であることが保証規定に明記されているのだ。また、車載という条件下では高温にさらされることもリスクとなる。
監視カメラ用などを応用した強化品が登場している
そこでこうしたトラブルを軽減するために誕生したのが「高耐久型(HIGH ENDURANCE)」micro SDカードである。元々は監視カメラのように、つねに書き込みと消去を繰り返す産業用として開発されたものだが、使い方としてはドラレコも同じ。そこでこれをドラレコ用としても提供されるようになっているのだ。

ケンウッドから発売されている「pSLC方式」のメモリーカードは、ひとつのメモリーセルに1ビットの情報を記録できる方式を採用しており、ひとつのメモリーセルに2ビットの情報を記録する一般的な「MLC方式」に比べて約10倍(約2万回)の書換えができるという。これが高頻度の書き換えに強く、高いデータ保存性を発揮するというわけだ。

ただ、このmicro SDカードは価格がとても高い。耐久性が10倍ということもあるのか、32GBで比較すると一般的な製品と比べておおよそ10倍ぐらいはしている(ケンウッド「KNA-SD32A/32GB」で1万円近い)。安いドラレコなら一台買えてしまいそうな価格だ。とはいえ、いざというときのトラブルを考えれば選ぶ価値は十分あるとも言える。

それでもここまでの費用は出したくないという人もいるだろう。そこで一般的なmicro SDカードを使う上で最低限心掛けてほしいことがある。それは定期的にカードのメンテナンスを行うことだ。具体的にはドラレコ本体でフォーマットをかければいい。ドラレコによってはフォーマットの告知機能を備えている機種もあり、これを行うことで積もり重なった記録上の“ゴミ”を取り去ってほぼ新品の状態に復帰できるのだ。

フォーマットのタイミングは走り方にもよるが、1000km程度走った後か、1カ月に一度程度か、どちらか先に到達したタイミングで行えばよいのではないかと思っている。