現金一括派向けのローンも利用者が増えている
ダイハツは1月4日から行った、「大初夢フェア」のなかで、2020年12月より展開している、1.5%特別低金利ローン(残価設定ローンが対象)の実施が強調されていた。ちなみにこのキャンペーンは3月末日まで実施されている。ホンダもN-ONE、オデッセイに1.9%、フィット、フリード、ステップワゴンに2.5%の特別低金利ローン(残価設定ローン)を設定している。
単純に融資だけで利益を出そうとすると、金利が4.5%を下まわらないレベルの金利設定が理想的ともいわれているので、前述して紹介した特別低金利ローンは、新車販売支援策として、利益をある意味度外視して設定されているといってもいいだろう。
以前は、年度末セールのような“増販期”では、「これだけ特別装備がついて20万円お得です」といったアプローチが販売促進に効果的といわれていた。しかし、いまどきは新車販売現場の認識でいえば、ローンを組んで新車を購入するのが主流となっているので、増販期には“金利の低さ”をアピールすることのほうが、販売促進には効果を発揮するということを物語っている。
残価設定ローンでは、金利が低いだけではなく、3年後や5年後の“残価分”として据え置いた、支払い最終回の返済額の精算について、当該車の返却や同じメーカー系ディーラーで、同一メーカーの新車へ乗り換えれば、現金での精算が必要ないという部分もメリットが大きい。いまでは“全2回払いローン”なども、現金一括払い派向けに用意するディーラーもあり、この場合は金利(低め)は発生するものの、手数料も含めた支払総額の4割ほどは、車両返却や同一メーカー車への乗り換えで相殺されるので、現金で購入するより、かなりの金額が手元に残ることになっている。
コロナ禍で手元に現金を残しておくためにローンを活用する
残価設定ローンでは、決められた月間走行距離をオーバーしていたり、最終精算時に一定以上の内外装の状態悪化があれば、追加でお金を支払うのが大原則であるが……。「極端に距離が伸びていたり、フレーム修正などを行ったほどの大きなダメージを受けていなければ、まず追加なんて請求できませんよ」とは、販売現場で多く聞く話。ただ、全損事故やダメージの大きい事故を起こしてしまうと、たとえば全損事故では、当該車の廃車および抹消登録をするためには残債整理が原則必要。さらに、新車購入費用が必要になったりするので負担が大きくなるので、車両保険への加入によるリスクの低減は必要になってくるだろう。

いまどきは、軽自動車から高級輸入車まで、つまり庶民であろうが富裕層であろうが、ローンを使って新車を購入するひとが多い。たとえば軽自動車では、初度届け出から10年以上経過した低年式で、しかも10万km以上乗っていても、しっかり下取り査定額や買い取り査定額が提示されるぐらいリセールバリューが良い。

「電気代や水道代のように、月々のローンの支払いを家計費の一部として捉えているお客さまも目立ちます。そのため『月々の払いが増えなければ新車にする』というお客さまも多いですね」とは現場のセールスマン。アメリカのような先進国だけでなく、ASEANなどの新興国では月々の支払いを家計費の一部として捉え、ローンで新車を購入するのが当たり前。ガラパゴス市場と呼ばれる日本だが、新車の買い方だけ見ると、だいぶ“国際的”になってきているようである。