路線バス事業者においてクラスターが発生
報道によると、北海道某所で路線バスの運行を行っている事業者において、全体の3分の1に相当する運転士が新型コロナウイルスの感染者となるクラスターが発生し、通常ダイヤでの運行が困難となり、3割ほど減便することとなった(日・祝日ダイヤでしばらく運行)。
さらに、PCR検査で陰性となった運転士についても、仮眠室を利用していた運転士が濃厚接触者になり、自宅待機しているとのこと。
業界事情通によると、「バスの運休予定が出ていて、住民から管轄運輸局へ通報が入り、発覚したとのことです。
北海道運輸局は2月22日付けで、「新型コロナ対策緊急査察を実施!」というリリースを発信した。これは乗合自動車の新型コロナ対策緊急点検状況を踏まえ、北海道運輸局が対策状況を査察するというもの。リリースでは事業者を特定していないものの、「北海道内のバス事業者において、新型コロナウイルス感染症のクラスターが生じたことから~」としている。2月25日から3月5日が実施期間とされ、重点確認事項として、
1.従業員の体調管理
2.車両・施設の感染予防対策
3.感染防止対策のための体制整備
となる。事業者から報告を受けた緊急点検結果に基づき、現地確認を実施するというもの、北海道内の13事業者が対象となり、まとまり次第速やかに結果は公表されるとのこと。
「これは北海道に限った話ではなく、全国に飛び火して問題が拡大する可能性をはらんでいます」と事情通は語る。
今回クラスターが発生した事業者は、「クラスター隠し」を否定しているが、いままでも全国各地で「バス及びタクシー事業者がクラスター隠しをしているのではないか」という噂はたびたび出ていた。「都内でも、意図的な隠ぺいをしているとはいわないですが、すでにクラスターが発生しているのではないかという疑わしい事業者が出ています。北海道のケースだけで終わらない気がしてなりません」(前出事情通)。
仮眠室が感染源になりやすいと考えられる
今回のケースに限らず、バスやタクシーの運転士が新型コロナウイルスに感染した際、その感染経路は、営業運行しているバス車内というものもあるが、それだけではない。車庫内での感染リスクが高いのである。
このようなケースの仮眠室であっても、感染予防策を積極的に講じる事業者もいるが、それは限定的となっているようで、仮眠室が感染源のひとつとなってしまっている。また、ケースによっては喫煙室もしくは喫煙スペースも感染源になりやすいようである。
タクシー乗務員の多くは“隔日勤務”というシフトで働いている。車庫を出てから20時間ほど乗務して、出庫時間にもよるが、だいたいは翌日の夜明け前には車庫に戻ってくるというもの。東京都内でタクシー会社の車庫の多い、板橋区や北区での居酒屋のなかでは乗務明けの運転士をあてこんで、もともと午前4時ぐらいから営業を始めるところが多かった。東京都は現在緊急事態宣言発出中となり、飲食店には時短営業が要請されているが、その要請内容は“午前5時から20時まで”となっている。この“午前5時から”というのがタクシー業界に配慮されたものだとは思えないが、20時までは飲酒も飲食もOKなので、飲食店さえ休まずに時短営業していれば、緊急事態宣言発出前と環境はそれほど変わっていないことになる。

「乗務が明け、飲食店で飲食している時に感染し、そのあと仮眠室が利用されることで、感染させてしまうこともあるようです。そのようなケース以外でも枕や毛布などが共用されることもあり、仮眠室が感染源となるケースが多いと聞いています」(前出事情通)。
業務内容を見ても、運行業務中におけるバスやタクシー運転士の感染リスクは高いといえよう。
当たり前のようタクシーが街に溢れ、バス停で待っていればバスが来るというのはコロナ禍前での当たり前の話。コロナ禍のいまでは、かなりギリギリ(ひとの問題)の状況で通常運行を維持していると考えてもらったほうがよく、当たり前のことが当たり前のことでなくなる(減便や運休など)リスクが確実に高まっていることは認識してもらいたい。