「自然体で乗れるクルマ」がイマドキ女子に支持されている

山ガール、森ガールなんて言葉がトレンドとなってからしばらく経ちましたが、それらの延長線上にもある「ナチュラル系女子」はいまだに人気ですね。そうした女子に共通することは、ファッションも暮らしも「がんばりすぎない、盛りすぎない」ことだと言われています。ベージュやホワイトを基調とした肌馴染みのいいファッションに、ストレートヘア。

どんな場所でも目立ちすぎず、空気を読んでそこに佇んでいるのがナチュラル系女子なんです。



そんな女子たちは、ファッションにしろ生活雑貨にしろ、選ぶものに求めるのもそうしたナチュラルな要素。それはクルマも同じです。2018年にデビューしたダイハツ・ミラトコットの開発にあたり、若い女性たちにリサーチをしたダイハツの開発チームの言葉からも、明らかになっていました。若い女性たちからの「自分にちょうどいい、欲しいと思うクルマがない」という声を拾い上げ、現代女性の感性を調査するプロジェクトを立ち上げたというダイハツ。



昔の「カワイイ」は「カワイくない」! いまどき女子が好む「ク...の画像はこちら >>



そこで見えてきたのは、以前はモテファッションや女子らしさを前面に出していた女性たちも、今や「素の魅力」こそイチバン、シンプルななかに自分らしさを表現したい、という感性に変わっていたことだったというのです。



ところが今、日本で販売されている新車を見回してみると、なんとまぁメッキパーツギラギラ、エアロ盛り盛りのデザインが多いこと。なかには明らかに周囲に威圧感を与える「オラオラ顔」もあって、女子の感性にはまったく響かないのもわかります。



昔の「カワイイ」は「カワイくない」! いまどき女子が好む「クルマのデザイン」とは



もっと自然体で、肩肘張らず悪目立ちせず、リラックスして自分らしく乗れるクルマが欲しい。そんな声に応えるように、ミラトコットのデザインは妙なデコボコは作らず、シンプルな水平基調をベースとして、ひと目で運転しやすさや安心感を感じられるような、ファッション用語でいうと自然体でいられることを意味する「エフォートレス」をテーマにしているのだそう。ボディカラーにも、キラキラのパールやメタリックは使わず、どこか「無印良品」っぽさを感じるナチュラルなカラーが多いのも、こうした女性の感性に応えたものではないでしょうか。



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残念ながら、ミラトコットは現在の売れ筋であるトールワゴンやスーパーハイトワゴンではなく、昔ながらのセダンタイプの軽自動車であるため、大ヒットとまではなっていませんが、「この素朴な雰囲気が好き」という隠れファンの女子はたくさん。

「この顔でスライドドアだったら欲しかった」というママもじつは多いのです。



女子が「かわいい」と思うものは時代とともに変化している

そしてもう1つ、女子の感性の変化が見て取れるのが、女子が「かわいい」と思うものが時代とともに変わりつつあるということ。というのも、少し前までは軽自動車で「女子向け」の代名詞的存在でもあったスズキ・アルトラパン。



フランス語で「ウサギ」を意味する車名の通り、内外装のあちこちにウサギマークが隠されていたり、レトロかわいい内装などで人気を博し、なんとラパンオーナーの8割以上が女性というほどだったのですが、近ごろ女子に「かわいい」と人気なのはラパンではなく、同じスズキの軽自動車だとクロスオーバーSUVのハスラーになっています。



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確かにハスラーは、クリクリっとした丸目のヘッドライトが愛嬌があって、ペットみたいな可愛さのあるデザインです。でもそれだけでなく、その愛嬌のある顔と、どっしりとしたたくましさのあるSUVとの組み合わせがあってはじめて、女子に「かわいい」と思わせるのではないでしょうか。



どちらかといえば、男性が守りたいと思うような可愛さだったラパンよりも、自分だけでどこへでも行けるアクティブさがありつつ、男勝りすぎず適度な女子っぽさもあるハスラーのほうが、現代女性に求められていると見てとれます。もはや、昔から男性が理想の女性像としていた「3歩下がってついてくるような可愛らしい女性像」は崩壊していると言っていいでしょう。



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メイクでもファッションでも、男子ウケを狙ってモリモリに頑張るのではなく、自分の長所を伸ばし、もっと自分らしくいられるためにメイクする、ファッションを選ぶ。その結果として男性にモテたら嬉しいなというのが、現代女性なのかもしれません。



オフィスでのハイヒール着用、お茶出しの強要が疑問視されたり、生理休暇が当たり前になったりと、女性を取り巻く社会も少しずつ変わろうとしていますよね。クルマも、昔のように「女子にはピンク、キラキラ、かわいいキャラクターだろ」というような押し付けでは、もう見向きもされません。

「現代女性のリアル」を真摯に見つめ、声を拾い上げて作るミラトコットのようなクルマが、これからも増えることを願います。

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