「名古屋走り」は影響していない?
自動車メーカー、そして警察など、関係各所は交通事故死ゼロを掲げて、いろいろと対策を行なっているのはご存じのとおり。その効果もあって、確実に減ってはいるけど、なかなかゼロにはならないのもまた事実だ。交通事故死者数を具体的な数字で見ると、一番ひどかったのは交通戦争とまで言われた1970年で1万6765人を記録。
その後は減少に転じつつ、1万人を切ったり切らなかったりが続いて、バブルの終焉とともにドンドンと減り始めて、2020年は2839件まで下がってきた。ちなみに前年比だと376件マイナスで、約1割マイナス。新型コロナの影響で下げ幅は大きくなっているものの、それまでも150件前後で減ってはきているので、減少傾向というのは変わらない。

データを見ていくと、総数に加えてよく出てくるのが、都道府県別のデータ。これは全体数が減っても常連はほぼ変わらずで、東京、愛知、北海道が必ず入ってくる。あとは千葉、神奈川、埼玉もよく見かける。東京は単純に人口が多く、北海道は面積が広くて長い直線道路が多いためにスピードを出しやすいから。東京の周辺の県も、都心に近いということが影響しているようだ。また大阪は運転が荒いイメージだが、事故の発生は多いものの、死者数は多くない。これは福岡も同じだ。
見方によって、増えたり減ったり、上位に来たり、ランクが下がったりするものの、愛知県は減ったとは言え、事故も多ければ死者数も多い。これは昔から変わらないことで、毎年同じ結果が苦々しかったものだ。

いろいろと親切に対応していただいたのだが、根本的になぜ多いのかを問うたところ、苦笑いしつつ「わからない」とズバリ。「わかれば対策できるわけで、わからないから日々対策に苦慮している」とのことで、確かにそうだ。よく言われる真ん中の車線からいきなり右左折する、通称名古屋走りも「たぶん関係ないのでは」とのこと。今でもやる輩がいてびっくりするが、ワタクシの個人的な意見として、違法かどうかは別にして、「事故るテクの人はそもそもやらない」というのがあるだろう。
飲酒運転や速度超過などが問題視されている
事故防止に効果があったものとしてあげてもらったのは、信号の歩車分離化と移動オービスだが、これは他の地域でもやっていることなので愛知県だけのことでもない。「おそらく」ということで多い理由としてあげてもらったのが、「広い道が多い」ということ。名古屋市内には有名な100m道路があるし、郊外も道も広いので、速度も高くなるし、車線変更も増える。そのうえ、クルマが多いので、事故の確率が高まるのではないかという流れ。

加えて、細かいところではあるが、シートベルトの着用率は高止まりで、データを見ると4輪での事故死者数が半分強だ。またご存知の方もいるかと思うが、名古屋の飲み屋街、錦などにクルマで飲みに来るのが多い(路駐でシャチホコ止めなど)のも昔から問題になっているが、愛知県警の担当者によれば「これがなくならない。

確かに今でもたくさんのクルマが路駐していたりするが、「さすがに代行を呼んでるんじゃないですかね」と聞いてみたところ、「取り締まりで捕まるのがけっこういるのが、代行を利用していない証拠」となかなか難しい。これも背景には公共交通機関よりもクルマという特殊な環境があるように思う。まぁ、代行を呼べばいいだけのことなので特殊もなにもなく、名古屋気質のひとつ、ケチが関係している気もする。捕まったり、事故を起こせばケチどころか、人生を棒に振るわけで、ホント、よく考えてほしいところだ。

最後にいただいたのが「クルマは安全になっているのだから、あとはドライバーの問題。スピードを抑えて車間距離を広く取るだけでも、事故は減らせる」という言葉。これは当たり前だし簡単なこと。万年ランキング上位から、ぜひ離脱してほしいものだ。