OEMになったことで残存価値が上がりリース料金の負担が減った

マツダ・ボンゴブローニイというモデルをご存知だろうか。マツダ・ボンゴバンは1999年にフルモデルチェンジして登場したマツダオリジナルモデルが2020年まで生産された。トヨタ・タウンエースバンや日産NV200バネットなどと同クラスのご長寿商用バンであったが、つい最近、インドネシア製となるトヨタ・タウンエースバンのOEMとして、新型がデビューした(トラックはタウンエーストラックのOEMとなった)。



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ボンゴブローニイは、ボンゴバンをベースにホイールベースを延長した、ハイエースやキャラバンと同格の商用バンとなる。こちらも、オリジナル版が1999年にフルモデルチェンジしたまま、バンは2010年まで生産された。そして、2019年にボンゴブローニイが復活を果たしたのだが、この復活版はトヨタ・ハイエースバンのOEMとなっていた。



オリジナルからOEMへとなると、寂しい気持ちにもなりがちだが、ある異変にボンゴブローニイオーナーや、マツダディーラーのセールスマンが驚いたとのこと。



長年、マツダオリジナルのボンゴブローニイをリースで乗り継いできたお客が、ハイエースのOEM版へ乗り換えたところ、月々のリース料金が以前よりかなり安くなったという。業界事情通は、「ボンゴブローニイといっても、バッジ以外見た目も中身もハイエースそのものです。つまりOEM版のボンゴブローニイのリセールバリューが、ハイエースバンと同様の評価をされたため、リースアップ時の残存価値が、マツダオリジナルだったころのボンゴブローニイより高くなりました。そのため、わかりやすくいえば、残存価値を差し引いた分を分割して支払う月々のリース料金の負担が軽くなったのです」と説明してくれた。



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ステアリングやフロント、リヤのマツダバッジ、リヤの車名ステッカーをトヨタマークやハイエースの車名ステッカーに代えれば(貼らなくてもいいが)、車両型式はボンゴブローニイ用のものが当然与えられているが、見た目はハイエースに早変わりするので「海外ではハイエースバンの中古車人気が高いので、ハイエースとして輸出してしまえばバレないですしね」と前出の事情通は追加してくれた。



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OEMは商用軽自動車にも多く存在する

OEMは登録車だけでなく、軽自動車でも商用車では活発におこなわれている。たとえばライトバンならば、トヨタ・プロボックスでは、そのOEMはマツダ・ファミリアバンとなる。一方で日産NV150ADは、三菱へランサーバンとしてOEM供給している。

プロボックスはミャンマーやジャマイカではタクシーとして使われるなど、新興国で中古車人気が高いので、ファミリアバンのリセールバリューもプロボックスと同等の扱いが期待できる。



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軽バンでは、ダイハツ・ハイゼットカーゴ&トラックが、トヨタへピクシスバン&トラックとして、スズキ・エブリイバンが、日産NV100クリッパー、三菱ミニキャブバンとしてOEM供給され、スズキ・キャリイ(軽トラック)は、日産NT100クリッパー、三菱ミニキャブトラックとしてOEM供給されている。つまり、商用車の世界ではもはやライトクラスは、トヨタ系モデルか日産系モデル、軽商用車ではダイハツ系かスズキ系しか選択肢がなくなってきているのである。



軽乗用車では、スズキ・スペーシアのOEMとしてマツダ・フレアワゴン、スズキ・ワゴンRのOEMとしてマツダ・フレア、スズキ・ハスラーのOEMとしてマツダ・フレアクロスオーバー、スズキ・アルトのOEMとしてマツダ・キャロルがラインアップされているが、買い慣れているひとは、増販期などで本家のスズキより値引き拡大が出やすいとして、マツダの軽自動車を購入車種として検討するひとも目立っている。



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スズキはトヨタと資本提携しているし、ダイハツはトヨタの子会社なので、将来的にはコスト削減のために、スズキとダイハツで共通モデル(バッジだけ違う)化が進むのではないかともいわれている。



OEM化が進めば実質的な車種数が減るので、クルマ好きならば、OEMにはあまり良いイメージを持たないひとも多いかもしれないが、ボンゴブローニイの話を聞くと少し印象が変わってくるような気がしてきた。

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