車内をオフィス化しやすい2列目席にも微妙な違いがある!

コロナ禍、在宅やリモートで仕事をすることが日常的になったとも言える昨今。そこで注目されているのが、家の中でなく、クルマの中での在宅勤務、あるいはクルマでどこかに出かけてのアウトドア感覚のワーケーションである。



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※写真はワーケーションのイメージ



そんなシーンに相応しいクルマと言えば、やはり室内空間に余裕があり、パソコンやタブレットなどを使いやすい環境にあるミニバンではないだろうか。

ここでは、そんなワーケーションにぴったりなミニバン、それも国産Mクラスボックス型ミニバンの使い勝手を比較してみたいと思う。国産Mクラスボックス型ミニバンと言えば、日産セレナ、トヨタのヴォクシー&ノア、エスクァイア3兄弟(以下、ヴォクシー)、そしてホンダ・ステップワゴンの3車となる。



自宅より車内で「仕事したくなる」のはどのミニバン? ノアヴォク・セレナ・ステップワゴンを徹底比較した



まずは、車内をオフィス化しやすい2列目席について。ゆったりと仕事をするためには、やはり広々とした空間が不可欠。その点では、3車ともに合格だ。ワーケーションに適切な2列目席部分の窓(スライドドア部分)にはロールサンシェードがあるのも、落ち着いて仕事をしやすいポイントとなりうる。



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2列目キャプテンシートの場合、身長172cmの筆者のドライビングポジション背後の膝まわり空間は、通常スライドではステップワゴンとセレナが約360mm、ヴォクシーが300mmとなる。一般的なセダンの後席膝まわり空間が150~200mmだから、そうとうに広い。しかも、ヴォクシーとセレナには、キャプテンシート左右を寄せることで可能になる超ロングスライドモードがあり、その際の膝まわり空間はセレナが520mm、ヴォクシーに至っては600mmものスペースが出現する。また、天井の高さでは、ステップワゴンが有利。室内高はステップワゴン1425mm、ヴォクシーとセレナが1400mmである。



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ただし、超ロングスライドモードでは、シートが後ろに下がりすぎて、各車にある前席背後のシートバックテーブル(カップホルダー兼用)を使いにくくなるのが残念ではあるけれど……。



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で、実際にMクラスボックス型ミニバンの2列目席(キャプテンシート)で仕事をしてみると、シートのかけ心地、着座姿勢に微妙な差があることが分かった。2列目キャプテンシートのシートサイズは、ステップワゴンとヴォクシーがまったく同じで、クッション長490mm、クッション幅530mm、シートバック高600mm、セレナはクッション長500mm、クッション幅505mm、シートバック高630mmと差はないものの、むしろ注目すべきはフラットフロアからシートクッション前端までの高さ=専門用語ではヒール段差である。



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フロアに対してシートが高めにセットされていると、椅子感覚で座ることができ、着座、立ち上がり性ともによくなり、当然、仕事もしやすい。逆に、フロアに対してシートが低めにセットされていると、いわゆるローソファ感覚の着座感となって、膝を立てるような着座姿勢になり、仕事スペースとしてはやや不向きになりがちだ。で、各車のヒール段差だが、ステップワゴンとセレナが340mmで、ギリギリセーフ。ヴォクシーはいきなりの370mmで、もっとも椅子感覚で自然に座れることになる(いずれも標準スライド後端位置で計測)。



利便性や遠出、休憩中の過ごし方などにも装備の差が影響する

また、ワーケーションでは車内でパソコンやタブレットを使うことになるのだが、その点で先を見越していたのか!? セレナの使い勝手が圧倒する。なにしろ、前席背後にタブレット&スマホ専用ポケットがあり、なおかつその横にUSB充電ソケットを用意しているのである(他車もUSBソケットを用意している)。



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しかも、セレナのキャプテン&セミベンチシート変幻自在の2列目席には、前後にロングスライドするスマートマルチセンターシート(タイプ別設定)が備わり、そこには蓋付の収納があり、その下にもティッシュボックスがスマートに入るスペースがあるのだから超便利。まさに2列目席が使いやすさ抜群のオフィス環境!? と化すのである。



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さらに言えば、各車にスマホやタブレットの充電ができるUSBソケットが用意されているのは当然として、2モーターのハイブリッド車の一部にある、AC100V/1500Wコンセントがあれば、パソコンなどの電源確保はもちろん、1500Wまでのコーヒーメーカーなどの家電品を車内外で使うことができ、仕事の合間の休憩時のリフレッシュに最適だ。



ただし、ハイブリッドモデルにAC100V/1500Wコンセントを用意しているのは、このMクラスのボックス型ミニバンではステップワゴン(最上級のe:HEVスパーダG-EXホンダセンシングのみにオプション設定)のみ。

日産は設定なし。トヨタもアルファードやプリウスなどに用意しているのだから、ちょっと残念。まぁ、USBがあれば、スマホの充電ができて、それで十分……なのかもしれませんけどね。



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仕事の合間の休憩……では、Mクラスボックス型ミニバンの場合、大きなバックドアを、雨もしのげるひさし代わりにして、ラゲッジルーム後端に腰掛けて新鮮な空気を吸い、景色を眺めるのもいい。そんなときのチェックポイントは、まずラゲッジルームの開口部に段差がないかだが、ここは全車合格。次に重要なのが、開口部の地上高。これも、ヴォクシー、ステップワゴン(3列目席床下格納時)が500mm、セレナも520mmと大差なく、大人なら座りやすい高さにあるから問題なしである。



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こうして、Mクラスボックス型ミニバンを停車して、車内をオフィスとして使う場合、シートアレンジ性、空間のゆとり、ポケッテリアやUSB電源確保という総合点では、セレナがなかなかと言っていい。



一方、2列目席のワークチェア!? としてのかけ心地では、フロアからシート先端までに高さがあり、より椅子感覚のワークチェア的に座れるヴォクシーが有利となり、AC100V/1500Wコンセントを使いたいならステップワゴンということになるだろう。ちなみに、車体後部を壁などギリギリに止めた場合に、ラゲッジスペースの荷物を取り出しやすいのは、わくわくゲートのサブドア(横開き)を持つステップワゴン、ガラス部分だけ開閉するデュアルバックドアを備えたセレナとなる。



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ちなみに、ワーケーションのために、高速道路を使ってちょっと遠出する……という場面では、セレナの360度セーフティアシスト、ACC(アダプティブクルーズコントロール)の作動にも定評あるプロパイロット装備グレードが威力を発揮し、ロングドライブでも疲れにくい。ステップワゴンにもACCは用意されているが、作動(加速、再加速)がもっさりしすぎて、かえってストレスになりがち。

ヴォクシーはACC未装備である。そうした先進運転支援機能まで含めると、やはりセレナのワーケーションカーとして資質が際立つ……というのが、個人的な印象である。



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