エコカー減税が燃費競争のきっかけのひとつ
最近は以前に比べて燃費性能があまり話題にならない。ライバル車同士の燃費競争も穏やかだ。
燃費競争が激しかったのは2010年代の前半であった。
ワゴンRに限らず、ほかの軽自動車やコンパクトカーも同様だった。激しい燃費競争の背景には、複数の理由がある。
まずはエコカー減税だ。当時は減税の度合いが急速に拡大された時期で、燃費数値を少し向上させると、減税額が目立って増えることもあった。燃費数値の優れた車種を選べば、購入時には税額が安くなり、買ったあとの燃料代も節約できる。当時はエコカー減税に対する関心が一気に高まった。
また減税制度も目新しく、メーカーや販売店もエコカー減税の達成を宣伝に使った。そのために販売店からは「燃費数値がライバル車に比べて1km/L負けたら(劣ったら)、売れ行きに影響を与える。エコカー減税に該当しない車種は、購入の候補にすら入れない」という話が聞かれた。
ところが2010年代の中盤になると状況が変わり、ユーザーがJC08モード燃費を疑うようになった。「JC08モードは実際の燃費とは大幅に異なる」という声も盛んに聞かれるようになった。エコカー減税も次第に新鮮さが薄れ、税額の安さよりも、自分の好みやニーズに合ったクルマを選ぶユーザーが増えた。
その結果、フルモデルチェンジやマイナーチェンジの時に、実用燃費を重視して、燃費数値を悪化させる車種も見られるようになった。例えば初代(先代)CX-5の2.5Lガソリンエンジン車の場合、後期型の4WDはJC08モード燃費が14.6km/Lだった。それがフルモデルチェンジした現行型の発売時点では、JC08モード燃費が14.2km/Lに悪化している。
開発者は「実用燃費を重視したほうが、お客様を落胆させず、満足度も高められる」とコメントした。2018年からはWLTCモード燃費が導入され、さらに実用燃費に近付いた。燃費数値は一層下がり、燃費競争も冷めていった。
現時点でもっとも燃費が優れているのはコンパクトカーのHV
それでも燃費の優れた車種と悪い車種は残る。現時点で燃費の優れているカテゴリーは、コンパクトカーのハイブリッド車だ。
その代表はヤリスハイブリッドXで、WLTCモード燃費は36km/Lに達する。
ハイブリッド以外では、コンパクトカーにクリーンディーゼルターボを搭載するマツダ2・XDプロアクティブの6速MT仕様は25.2km/Lだ。軽油価格が1リットル当たり130円とすれば、1km当たりの燃料代は5.2円だ。ヤリスハイブリッドよりも1円高いが、実用回転域の駆動力も力強い。1万km当たり1万円でこの動力性能が手に入るなら、むしろマツダ2が割安という見方もできる。
軽自動車ではアルトSが25.8km/Lだ。1km当たりの燃料代は5.8円になる。ミライースも25km/Lだから、若干アルトを下まわる程度だ。
逆に燃費性能の悪い車種は、重量級の悪路向けSUVや動力性能を突き詰めたLサイズのスポーツカーになる。もっとも悪いのはレクサスLX。乗用車では最大のV型8気筒5.7リッターエンジンを搭載して、車両重量は悪路向けのSUVらしく3列シート仕様は2730kgと重い。
高性能スポーツカーのGT-Rは7.8km/L。これもプレミアムガソリンを使うので、1km当たりの燃料代は21円になる。こういった燃費の悪いクルマは、遠くない将来に消え去る運命にあるから、楽しむなら今のうちだろう。実際、ランドクルーザーの次期型は、V型8気筒を廃止して、V型6気筒のガソリンターボとクリーンディーゼルターボになる。

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