国内での所有も可能!

日本での人気はけして高いと言えないピックアップトラック。そのためでしょうか、ピックアップトラックとはどんなクルマなのかを正確に説明できる人は少数派といえます。



仕事するための作業車なのか、SUVなどと同じレジャー向けなのか。

そんな疑問にお答えしつつ、ピックアップトラックのメリット・デメリット、国内で購入できるピックアップトラックなどを紹介していきましょう。



■ピックアップトラックとは

ピックアップトラックとはキャビン後方に開放式荷室を備える小型貨物自動車のこと。しかし、エンジンがボンネットではなくシート下もしくはシート後方に配置したキャブオーバー車についてはただのトラックとなり日本の車検証では、運転席と荷台が一体になったものをピックアップ、別々になっているものがボンネットと分類しています。



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主に仕事用として使われることが多いピックアップトラックですが、自動車や保険が乗用車より安いアメリカではフルサイズのピックアップがパーソナルカーとしても使用されるため新車販売台数の上位に位置するほどの人気を集めています。



日本では仕事用としてワンボックスバンが普及したことなどで、80年代以降、ピックアップトラックがメーカーのラインナップに加わることは皆無ですが、トヨタ日産、三菱、マツダ、またなさそうなイメージが強いホンダでさえ海外市場向けにモデルを用意しています。



■ピックアップトラックの魅力

日本では少数派といえるピックアップトラックファンにその魅力を尋ねると、まず挙げるのが見た目。押し出しが強く、個性的なフォルムはセダンやハッチバックはもちろん、SUVとも一線を画していることが大きな魅力なのでしょう。



また荷台を備えていることでユーティリティ性能は抜群。モトクロスバイクを積載しコースに向かうことや、ホームセンターで長めの木材を購入しても持ち帰ることができるのはピックアップならでは。デッキスペース(荷台)は無限の可能性を秘めた空間なのです。



アメリカほどではないですが、税金が安いことも魅力を感じます。新車で購入できるトヨタ・ハイラックスは1ナンバーとなり、自動車税は年額1万6000円、重量税は年額1万2300円。3ナンバー乗用車と比較すると年間で約3万円弱安くなります。



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ただ、魅力とともに購入を躊躇する要因が多いのもピックアップ。



税金が安くなる一方、毎年車検があるのはランニングコストの支出に繋がります。
(ハイラックスの新車購入時は初回の車検は登録から2年)



また1ナンバー車は高速道路の料金が中型車扱いとなるため、5&3ナンバー車より高くなってしまうのです。区間にもよりますが、その差がけっこう大きくて辛いかと……。



逆をいえば、それらのデメリットが問題にならなければ、ピックアップは大きな魅力を備えた1台となります。



■世界でのピックアップトラックの人気

アメリカの2020年の新車販売台数ランキングを振り返ると1位がフォード Fシリーズ(78万7422台)、2位がシボレー・シルバラード(58万6675台)、3位がラムピックアップ(56万3676台)。上位3d台すべてがピックアップであることからわかるように、アメリカでの人気は凄まじいものがあります。



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これだけピックアップが売れるのは先に説明したように乗用車と比較して税金や保険が安いことが大きな理由で、日本での軽自動車が売れることに近いといえるでしょう。



アメリカ同様、まだ乗用車の普及が日本や欧米ほど進んでいないアセアン諸国でもピックアップの人気が高く、タイではトヨタ、日産、三菱、マツダ、いすゞのピックアップが製造され、国内はもちろん海外への輸出が行われています。



タイなどでは仕事用としてはもちろん乗用車としても使用され、ピックアップベースのSUV、たとえば三菱トライトンをベースにしたパジェロスポーツが高い人気を博しています。



■日本で手に入れることができる(できた)ピックアップトラック

トヨタ・ハイラックス

全長5340mm×全幅1855mm×全高1800mm 車両価格:347.1~387.6万円



現在、国内では新車で購入できるピックアップトラックはハイラックスのみとなります。ハイラックスといえば、2004年まで販売されていたSUVを連想する方も多いと思いますが、現在のモデルは世界140カ国以上で販売されるグローバルモデル。国内販売車もタイからの輸入車となります。



シャシーは独立ラダーフレーム、フロントサスペンションがダブルウィッシュボーン式、リヤサスペンションはリーフリジット。また4WDシステムはパートタイム式とピックアップトラックに求められるヘビーデューティな環境に耐えうる堅牢な骨格を備えました。



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また、パワーユニットは最高出力150馬力を発揮する2.4リッター直4ディーゼルターボエンジン。6速ATが組み合わされます。



ボディサイズも昔のハイラックスをイメージしているとまったくの別物となっています。全幅こそ国内環境に耐えうるサイズですが、全長は軽く5mオーバー。コインパーキングの枠内に駐車することが難しいビッグサイズとなりました。



しかし、堂々としたボディサイズを得ていることで見た目の迫力やワイルドさは抜群。また、室内も前後シートともにゆったりとした居住空間を備えています。



デッキスペース(荷台)の最大積載量は500kg。防錆鋼板などをボディに用いたことでラフな使い方に対応しているのはもちろん、快適装備やプリクラッシュセーフティなどの安全装備を備えているので、乗用車として使用しても不満を抱えることはないでしょう。



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街中で見る機会は決して多くはないですが、ピックアップトラック好きなら現在唯一無二の存在となるハイラックスは貴重な一台。販売されていること自体が奇跡的といえるクルマとも言えます。



三菱トライトン

全長5003mm×全幅1800mm×全高1780mm 中古車相場:140~270万円



2006年から2011年まで国内で販売されていたトライトン。生産を行うタイでは2014年から次期モデルとなる2代目がすでに販売されていますが、残念なことにモデルチェンジ以降は輸入販売されていません。



国内導入されたトライトンは3.5リッターV6エンジンを搭載。タイ仕様にあったディーゼルエンジンは採用されませんでした。



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ピックアップトラックといえば、イカツさやワイルドな見た目を強調しがちですがトライトンはどちらかというとスタイリッシュな外観を備えていることが特徴。ただ、日本のピックアップトラック好きにはイマイチ訴求しなかったためか、国内で約5年間販売されたにもかかわらず販売台数は2000台に満たなかった残念な結果となっています。



しかし、中古車相場は比較的高値で推移。程度の良い車両を手に入れるためには200万円程度を支払う必要があります。



フォード エクスプローラースポーツトラック

全長5370mm×全幅1870mm×全高1840mm 中古車相場:150~300万円



2007年から2012年にかけて国内販売されていたエクスプローラースポーツトラック。ラダーフレーム構造を採用したSUVの4代目エクスプローラーをベースにホイールベースを425mm延長。キャビン後方に荷台を追加したピックアップです。



追加された荷台は、3ヵ所の収納や前後分割可動でロックもできるハードトノカバーを標準装備。使い勝手の良さをとことん追求していました。



国内販売モデルは4リッターV6と4.6リッターV8エンジンをラインアップ。いまエクスプローラースポーツトラックを手に入れるならゆとりあるトルクで巨大なボディを引っ張るV8エンジンモデルがおすすめです。



しかし、中古車相場は高め。また、販売されている車両も少ないため、とくにV8エンジン搭載モデルを探すことは容易ではありません。



FFシャシーをベースとする5代目エクスプローラーには設定されなかったスポーツトラックは、いまだにピックアップトラック好きのハートを掴んでいる1台といえるでしょう。



■日本に導入してほしいピックアップトラック

ジープ グラディエーター

導入してほしいクルマではなく、導入がすでに決まっているピックアップトラックがこれ。



現在、国内市場でFCAを牽引しているのがジープ・ラングラー。2020年には1万3588台の販売を記録しましたが、ジープの販売員いわく「アメリカからなかなか車両が入ってこない。順調に輸入されていたらもっと売れていた」とのこと。芸能人からの支持も多いとのことで、ラングラーの人気はまだまだ続きそうです。



ラングラーの人気をさらに高めるべく、国内の導入が決定したのがジープ グラディエーター。ラングラーの4ドアモデルをベースに全長を1270mm、ホイールベースを1026mm延長してピックアップ化したモデルです。



仕事用? レジャー向け? 日本で普及しないピックアップトラックとは



FCAジャパンが国内導入することを発表していますが、販売時期はまだ未定。パワーユニットなど仕様がどうなるかも決まっていません。



ちなみに北米仕様は3.6リッターV6ガソリン&ディーゼルターボをラインアップ。

ラングラーに用意されている2リッター直4ターボの設定はありません。



いずれにせよ、グラディエーターの日本登場時は大きな話題となることは間違いありません。



ホンダ・リッジライン

ホンダが北米市場で販売するピックアップトラックがリッジライン。2005年に初代が登場し、現行モデルは2代目となります。



一般的にピックアップトラックはラダーフレーム構造を採用していますが、リッジラインは乗用車ベースのモノコック構造。エンジンも横置きに搭載しFFと4WDを用意しました。



そのため一見、見た目だけのピックアップトラックと思われますが、最大積載量は約720kg。むしろ、フロアを低くできるモノコック構造を活かし、荷台に荷物を積み下ろししやすいことや荷台のフロア下に収納スペースを設けるなどの工夫がされています。



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現行モデルは昨年フェイスリストがおこなわれ、アグレッシブな外観が備えられました。これが実にスタイリッシュで評判も上々なのだとか。



国内導入の可能性は限りなく低いと思われますが、ぜひとも導入してほしいピックアップトラックです。



三菱トライトン(現行モデル)

先代トライトンが売れなかったことが大きな理由でしょうが、現行モデルはいまだに国内導入されていません。



しかし、2代目トライトン、とくにフロントフェイスが新世代「ダイナミックシールド」顔となり迫力満点となった2018年のマイナーチェンジ以降のモデルは、ピックアップトラック好きに刺さるのではないでしょうか。



仕事用? レジャー向け? 日本で普及しないピックアップトラックとは



現行トライトンは生産地であるタイでは2.4リッター直4ディーゼルターボ&ディーゼルエンジンを用意。

シングルキャブとダブルキャブボディを備え、4WDは、あらゆる路面状況で最適なトラクション性能とハンドリング性能を実現するスーパーセレクト4WD-Ⅱを搭載しました。



ピックアップトラック好きからは先代モデルより間違いなく支持される現行モデルの導入を切に願います。



■記事まとめ

「そろそろ日本でもピックアップトラックの人気が来るのでは」と言われながら、いまだに盛り上がらないピックアップトラック。多くの魅力がありつつも、日本で乗りこなすにはデメリットも多いことがブームにならない大きな要因です。



ただ、日本でピックアップトラックを乗りこなすと目立つのは間違いありません。SUVとは違う、普通ではない特別なジャンルを乗りこなす人として注目を集めたいならSUVではなくピックアップトラックを買うべきです!

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