全長2kmのコースだが世界でも有名なサーキット

筑波サーキットは東京都心からアクセスのいいサーキットとして親しまれている。筑波サーキットの歴史は古く、1970年に開業している。茨城県下妻市に位置し、2輪のオートレース事業を主軸とした一般財団法人「日本オートスポーツセンター」が運営していることでも知られる。



コースは全長が2.045メートルの「コース(TC)2000」と、全長が約1000メートルの「コース(TC)1000」がある。オートレース用のオーバルコースも隣接して併設されているが、こちらはオートレーサーの養成専用施設で一般には解放されていない。今回はTC2000をメインに紹介していこう。



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TC2000はバックストレートに最大直線長437メートルの直線区間が設定されている。そのため1970年代後期に自動車専門誌が0~400メートル加速性能を計測するのに用い始め、媒体露出が増えて知名度を上げていった。国産市販車の性能向上に合わせ、フルコースを使ってラップタイムを計測する機会も増え、月刊ビデオマガジン「ベストモータリング」のバトル企画主戦場としても世界的に知られている。



国産車のテストステージとして相応しいとされているのは最大直線長が437メートルと短く、180km/hの速度リミッターをヒットせずにラップできる環境となっていたからだ。それにより速度リミッターが装着されない輸入車との比較も行いやすかった。近年は日産GT-Rなど500馬力オーバーのハイパフォーマンスカーも登場し、バックストレートでの最高到達速度は200km/hをオーバーするようになったが、そうしたクルマにはサーキット内で速度リミッターを解除できる機能が備わるなどして適合している。



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筑波サーキットを初めて走る際に気を付けるのはブレーキのオーバーヒートだ。高速からアプローチする第一コーナー、続く第一ヘアピン、第二ヘアピンと低速コーナーが多く、フルブレーキングを多用する一方、クーリングするための直線が短いので1980年代中頃までの国産車のブレーキでは2~3周するのがやっとだった。



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ピットレーンは道幅が狭く、制限速度は40km/hと低く設定されている。

ピットレーン出口には信号が備えられており、青ランプの点灯を確認してからコースインしなければならない。コースインしてからはコース右側を走行しホワイトラインをカットしないように注意する。すぐに右ターンの1コーナーとなり、アタック中の車両と速度差が大きくなるのでピットアウト直後は後方に十分注意し、走行車両を先行させてからターンインするなどの配慮が必要だ。



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1コーナーを立ち上がったら通常のラインを取り、S字コーナーから第一ヘアピンへとアプローチ。ここでは各コーナーの頂点を直線的に結ぶようなラインを選択し、第一ヘアピンへのブレーキングを真っすぐに行うのがポイントだろう。



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第一ヘアピンはすり鉢上になっており、インベタで最短コースを走るとタイム短縮に繋がる。



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第一ヘアピン立ち上がりは、すり鉢形状の影響もあり内輪の荷重が抜けやすく、急激にパワーをかけると内輪がスリップしトラクションを失う。LSD(リミテッドスリップデフ)非装着車やFF(全輪駆動)が駆動力を失いやすい場面で、丁寧なアクセルワークが必要。ステアリングをできるだけ早く直線状態に戻し、真っすぐ加速できるように心がけたい。



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もっとも難しいのは複合コーナーとなる最終コーナー

次は中速のダンロップ・コーナーだ。アウトインアウトのラインを取り、車体が大きくロールしないように少ない操舵角で、出来る限り大きなR(旋回半径)となるように。ステアリングを切り込んでいる時間が長く、舵角抵抗で車速が落ち込みやすいのでアクセルはハーフスロットル以上となるようにコントロールする。



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ダンロップ・コーナーを早く抜けると第二ヘアピンへ向かう左高速コーナーのライン取りが難しくなる。筑波サーキットで唯一の高速左コーナーであるこの80R複合コーナーはラップタイムに大きく影響する重要なポイントだ。左80Rで車体にロール姿勢を残したまま、続く第二ヘアピンにアプローチするとブレーキングで姿勢を乱しやすくなってしまう。そのために第二ヘアピンのアプローチはコーナー入り口のインを目指し真っすぐにブレーキングしていく。



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第二ヘヤピンもすり鉢状となっており、イン側をキープするインべタ走法を心がけて距離でタイムを稼ぐ走法がベターだろう。



第二ヘアピンの立ち上がり車速が続くバックストレートでの車速の伸びに大きな影響を与えるので、アクセル操作、トラクションの掛け方を重視しなければならないのだ。



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バックストレートは長さが437メートル。トップギヤに入る前に最終コーナーへ向けて減速をしなければならないクルマがほとんどだろう。



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最終コーナーはTC2000でもっとも難しい100R~90Rへと変化する複合の高速コーナーだ。フォーミュラカーのF3ならアクセル全開のままクリアできるが一般車では進入でブレーキが必要だ。ただ過剰に減速してしまうと舵角抵抗でも大きく減速するのでタイムロスに繋がる。その限界を探すのは極めて難しく、コースへの習熟が必要だ。

これまでテストした量産車の中では4輪駆動でトラクションをかけながらステアリング操舵角ゼロで走る「ゼロカウンター走法」を生み出したランエボⅤ RSが最も早く駆け抜けることができた。



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最終コーナー入り口右サイドにピットレーンへの入り口があり、ピットインする際はバックストレート右側を走行しホワイトラインをカットしないように注意する。



TC2000はランオフエリアが少なく、コースアウトするとガードレールをヒットするリクスが高い。また右コーナーが多く、左側タイヤの空気圧変化が大きくなることから3周毎にピットインして内圧変化の傾向を掴むとセッティングを合わせやすくなるはずだ。

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