東京が起点とは限らない!

地方からから見物などのため都会に出てきた人を、からかって「お上りさん」という。



また、江戸時代、上方から江戸に送られてくるものを「下りもの」と呼び、江戸から上方に送られるものは「登せもの」と呼んだ。そして灘や伊丹、伏見の清酒は「下り酒」として重用され、それよりも質が劣る江戸のお酒は「下らぬ酒」と評され、「くだらない」の語源になったという説がある。



では、現代の道路の「上り」「下り」は何で決まるのか。



一般国道の場合、国土交通省の資料によると、「国道の路線を指定する際には、まず、起点と終点が定められます。国道の始まりの地点を「起点」、終わりの地点を「終点」とし、「上り」は起点に向かっていくこと、「下り」はその逆の終点に向かっていくこと」と書かれている。



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大正時代の国道は、「東京市より○○府県庁所在地○○に達する路線」とされていたため、すべての起点は東京(日本橋につくられた道路元標)だったが、現在の国道は、路線名(番号)や重要な経過地とともに起点と終点が決められているので、必ずしも東京が起点とは限らない。



西名阪自動車道は大阪の吹田JCTが起点

高速道路も基本は同じ。



NEXCO東日本のHPには、「高速道路の始まりの地点を「起点」、終わりの地点を「終点」とし、「上り」は起点に向かっていくこと、「下り」はその逆の終点に向かっていくことで、この起点と終点は、高速道路の路線名を指定する際に重要な経過地とともに、法律で決められている」とある。



高速道路の起点も、大半が東京になっているので、高速道路も大まかに言えば東京に向かう方向が上り線と思えばいい。



どこに向かうと「上り」で「下り」なのか? 日本を縦横無尽に走る高速や国道の「起点」とは



例外もあって、関西の西名阪自動車道は、大阪の吹田JCTが起点で、奈良の天理ICが終点なので、大阪方面行きが「上り」。しかしその天理ICに接続する名阪国道は、三重の亀山ICが起点で天理ICが終点なので、亀山IC行きが「上り」になる。



その他、中部横断道は静岡市が起点で、九州自動車道は、北九州が起点。



また高速道路に100mごとに設置されている、いわゆる「キロポスト」も、各高速道路の起点からの「距離」を示していて、走れば走るほど、このキロポストの数字が小さくなっていけば、そこは上り線で、反対にキロポストの数字が大きくなっていくと下り線を走っていることを意味する。



どこに向かうと「上り」で「下り」なのか? 日本を縦横無尽に走る高速や国道の「起点」とは



ただし、東名高速とつながっている名神高速のキロポストは、名神高速の起点の小牧市ではなく、東京からの距離が表示されていたりするので少々ややこしい……。



というわけで、一般国道も高速道路も、ざっくりと東京方面行き=「上り」という認識で間違いないが、「あれ?」と気になる道があったら、その道の起点を調べてみるのも面白い。

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