クルマが本来の性能を発揮できなくなる
走り好きの人がけっこう使うのが、熱ダレという言葉。「連続して走ったら熱ダレしてきた」というように使うのだが、具体的な症状としてはどんなものなのだろうか? そもそも市販車でも起こることなのだろうか?
いろいろな部分で熱ダレは起こるとされるが、まず症状としては、熱を持ち過ぎて本来の機能が発揮できなくなるということは共通する。またその温度だが、市販車で公道を走る分には起こりにくいが、これも部位による。
まずいちばんよく聞くのが、エンジンだろう。正確にはエンジンオイルが熱ダレしてしまうということが多いが、いずれにしても症状としてはパワーダウンが発生する。熱ダレするとオイルの性能が飛んでしまうこともあって、また冷やしたところで初期性能が戻らないこともある。
対策は高性能オイルを使ったり、粘度の調整など。またチューニングカーであればオイルクーラーを追加するのは熱ダレ対策のためだ。ただ勘違いしやすいのが、粘度を上げるといいように思えるが、熱だけでいうと低粘度のほうが有利で、あんかけ料理が冷めにくいのと同じ。また化学合成油よりも鉱物油のほうが熱ダレには強いとされる。
クラッチの熱ダレは渋滞時に起こる可能性も!
そのほか、駆動系だと、クラッチの熱ダレがある。頻繁に切ったりつなげたりを繰り返す渋滞で起こる可能性があるので、市販車での公道走行でも起こる症状ではある。また、バイクは構造や容量の関係から公道でも発生しやすい。

発生すると、つながりが悪くなったり、滑りなどが発生することもある。またATでも激しい運転をすると変速タイミングが変わったりすることがあるが、これを熱ダレと呼ぶこともある。
足まわりでは、まずあるのがタイヤだ。スポーツ走行で熱が入りすぎるとグリップが落ちたり、表面が溶けたようになってフィーリングが悪化することがあるが、これを熱ダレと呼ぶことがある。またブレーキもハードブレーキを繰り返すと熱をもちすぎて利きが悪くなることがあるが、これはブレーキの熱ダレと言うことがある。

そのほか、外が暑すぎてエアコンが利かなくなってくるのも熱交換が追いつかない、熱ダレの一種と言ってよく、いずれにしても走行や機能に関係するのが熱ダレの特徴だ。市販車では起こりにくいとはいえ、真夏の昼間など、暑さの厳しい時間にドライブしていて、なにか変だなと思ったら、スピードを落とすなど、いたわる運転に切り替えて様子を見るようにしたい。