この記事をまとめると
■ヨーロッパでは本格的な4WDよりもFFのSUVの人気が高い



■そうした欧州での人気に火を付けたのはじつは日本車だった



■電動化時代を迎えてそうした傾向に変化が生じる可能性がある



欧州でも人気は「なんちゃって」SUVに集中!

欧州市場でもSUVの需要は旺盛だ。ただし人気なのはFFベースの2駆SUV、いわゆるクロスオーバーSUVで、以前なら「なんちゃって四駆」と一笑に付されていたクチだ。



悪路を走らない人に本格クロカンや4WDモデルは無用の長物と、欧州では思われやすい。

広大な葡萄畑をもつワイン農家とか、趣味で狩りを楽しむのに林道や未舗装路に入る人など、わりとカントリー・ジェントルマン気味の土地持ちや、別荘もちの人が、セカンドカー以降に所有しているパターンが多い。



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そんな背景もあって、本格4駆で街中を走っていると、「冒険者がイキがっているぜ」とか「カウボーイが筋肉を見せびらかしたがっているぜ」的な、純粋な妬みや嫉みを集めやすいのに加え、積んでいるものに興味をもたれる、つまり車上荒らしを惹きつける側面もある。なのでこうした本格4WDを所有しているひとびとも、街中に行くならことさら別のクルマを使いたがるケースが大半だ。欧州のこうした感覚は、アメリカ人が巨大SUVを見せびらかす感覚と、対極のところにある。



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よってFFベースの2駆SUV、いわゆるコンパクトもしくはスモールSUVは、気のおけないカジュアルな存在でありながら、庶民の従来ながらの生活のアシ、ハッチバックとは少しズラした選択肢となっている。平たくいえば、街中でオフロード的な、ミスマッチ気味のスタイルに憧れはあったが、燃費や維持費面の問題はクリーンディーゼルやダウンサイジングターボがクリアしてくれたし、走りがフワフワするのはタイヤの進歩も解決に貢献した。いざ乗ってみると荷室容量が上位クラスのハッチバックぐらい確保でき、視線も高い分、渋滞時の街中でも圧迫感が少なく、プラシーボ効果に近いが、守られ感も高まった。



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だからこそ、庶民も背の高いクロスオーバーSUVを選ぶようになり、今やそれがよりスタイリッシュであるよう、BMWのX6が先鞭をつけたSUVクーペなるものがBセグにまで降りてきた。



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ヨーロッパで2WDのSUV人気に火を付けたのは日本車だった!

ちなみにフランス辺りでSUVはハッチバックに対して「ヴェルジョン・シュルエレヴェ(version surélévée、上にもち上げたバージョンの意)とも呼ばれ、共有プラットフォームでステアリングポストや着座位置やルーフ高ごと底上げしたものと思われている。



ルノー・キャプチャーのヒットはクリオ(日本名ルーテシア)の下地があってこそだし、プジョー2008と208、シトロエンC3エアクロスとC3然り。ジープ・レネゲードは4WDも揃えるがFFモデルが圧倒的人気なのは欧州も同じで、これとてフィアット500Xの兄弟車というか、イタリア人にとってはアメリカの従兄弟ぐらいの安心感で選ばれている雰囲気は否めないので、故マルキオンネのクライスラー買収は偉大な一手だった。



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だがFF2駆ベースのSUVに火をつけたのは、日本車が先駆だった。

古くは初代RAV4やCR-Vのスマッシュヒットに遡るが、別に欧州のユーザーにとって4WDは要らなかった。FFメインで開き直った日産の初代キャシュカイ(日本名デュアリス)は空前絶後のヒットとなり、リーマンショックの前後から欧州メーカーらに独自のクロスオーバーSUV開発を促した。



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こうして販売ネットワークで地の利のある欧州メーカーが、お膝元でクロスオーバーSUVを次々ヒットさせているのだ。今や欧州では、欧州メーカーのSUVのほうが、日本車よりデザインが先進的で、高速域での操安性に定評がある分、選好されやすい。はっきりいえば、日本車の内外装デザインは一部を除けば5~10年ぐらい遅れているというのが、あちらの評判であり、感覚だ。



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クロスオーバーSUVは電動化を前に、ジレンマにある。ハッチバックよりバッテリーを積むスペースがある分、PHEV化はできても開発コストがかかる。そもそもCセグほど万能性が求められないBセグは街乗り用途の比重が大きいので、PHEVである必要性に乏しいかもしれない。いっそEV化してコミューター化する方がBセグSUVの用途には沿うはずだが、エコ減税なき後の車両価格の高さをユーザーが許容できるはずもない。また日本と同じく、集合住宅の多い都市部では、急速どころか普通充電の方法を確保するにも、難しい一面もある。完成度の高いスモール・クロスオーバーSUVは、今がもしかして旬かもしれないのだ。



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