この記事をまとめると
■乗り出しにMT車のギヤが入りにくいことがある■寒い日などはとくに起こりやすい現象だ
■この記事では5つの対策を挙げて解説する
一度クラッチを切って他のギヤに入れると改善されるケースも
寒い日の朝一番など、出かけようとしたときに、MT車だと1速、あるいはRにギヤが入りにくいときがある。
こうしたとき、ガリッとギヤ鳴きを起こさないための対策があるので、いくつか紹介してみよう。
1)先に別のギヤに一度入れてみる
ニュートラルで停止中、トランスミッションのなかでは、インプットシャフトとカウンターシャフトはつながって一緒に回っているが、アウトプットシャフトはフリーの状態で止まっている。
そこで一度クラッチを切って、ほかのギヤに入れると、カウンターシャフトがアウトプットシャフトとつながって、回転が止まるので、1速やRにも素直にギヤが入りやすくなる。
古いクルマの場合、1速やRにシンクロが入っていないクルマもあるし、軽自動車にはいまでもRにシンクロがないクルマもあるので、こうしたクルマにはかなり有効。
また、90年代のクルマ、たとえばスカイラインGT-R(R32)でも、2速と3速だけダブルコーンシンクロで、1速と4速と5速はシングルコーンシンクロだったりするので、シンクロがあってもシングルコーンのギヤには入りにくい場合がある。
こうしたクルマもシンクロがよく効くほかのギヤに入れてから、1速あるいはRにシフトすると、スムースに入りやすくなる。
もっとも最近のクルマ、たとえばトヨタ86などは、1~3速がトリプルコーン、4~6速がシングルコーンシンクロ。スイフトも1速・2速がトリプル、3速がダブル、4~6速がシングルコーンなので、1速はつねに入りやすい……。
日頃の点検やメンテナンスも重要!
2)止まってから5秒ぐらい待ってシフトする
前記のとおり、シンクロの弱いギヤ、シンクロの効かないギアは、カウンターシャフトとアウトプットシャフトの回転が合わないうちはギヤが入りにくい。そこで、クルマを止めた状態でクラッチを切り、そのまま5秒ぐらい待っていると、慣性で回っていたカウンターシャフトも止まるので、それからシフトすると素直に入ってくれる可能性が大きくなる。
ポイントはニュートラルで待つのではなく、クラッチを切って待つというところ。
3)ミッションオイルを交換する
ミッションオイルが劣化してくると、シンクロナイザーリングとギヤコーンの間の摩擦係数が下がって、そこで滑りが発生。ギヤがスムースにシンクロできなくなり、同期に時間がかかるようになってくるので、メーカー純正のミッションオイルか、より高品質なミッションオイル(粘度が高いのは不向き)に交換するといいだろう(シンクロ自体が摩耗や腐食してしまった場合は、ミッションをオーバーホールするしかない)。
4)クラッチを点検
これも1速やRに限ったことではないが、ギヤの入りが悪いときは、クラッチの切れが悪くなっている可能性もある。クラッチフルードの量や汚れを点検し、問題があれば交換。
レリーズシリンダーの部分を見れば、クラッチディスクの減り具合も見当がつくし、シリンダーからのオイル漏れも定期的な点検が必要だ。
5)クラッチペダルを奥まで踏んでいるか確認
もうひとつ、クラッチペダルの踏み込みが浅く、クラッチがきちんと切れていない可能性も……。基本的なことだが、いつの間にかドライビングポジションが遠くなっていたということもあり得るので再点検を。
またシフトを操作するときは、ゲートに沿って丁寧にシフトレバーを動かすこと。シフト操作が雑でも、ヘンな引っかかりの原因になる。

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