この記事をまとめると
■2000年以降にかつての人気車が廃止されてスポーツカーの販売台数は激減した



■先代86&BRZは久々のFRスポーツで好調とはいえないまでも納得できる販売台数を記録



■購入しやすい価格のスポーツカーが投入されれば売れることが予想できる



先代トヨタ86は価格を考えれば大健闘

2ドア、あるいは3ドアのクーペボディを備えたスポーツカーは、2000年以降に売れ行きを激減させた。トヨタ・セリカ、日産シルビア、ホンダ・プレリュードなど、かつての人気車がすべて廃止されたからだ。



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その意味で最近の新型車は注目される。

トヨタ86&スバルBRZ、日産フェアレディZの新型が、ほぼ同時期に発表された。売れないといわれるスポーツカーがフルモデルチェンジを受けたわけだが、実際の登録台数はどうなのか。従来型の売れ行きを見てみたい。



スポーツカーが「売れない時代」は本当? 現在の「リアル」な販売台数とは



まず86は2012年2月に発売され、発売直後となる2012年の中盤から後半には、1カ月当たり2800~3000台が登録された。発売時点における1カ月の販売目標は1000台だったが、86は久々のスポーツカーで後輪駆動のレイアウトも採用したから、売れ行きが急増した。



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そしてスポーツカーは趣味性の強い商品で「スグに乗りたい!」と思わせるから、ユーザーは愛車の車検満了を待たずに乗り替えることも多い。そうなると発売直後は、売れ行きが一層増える。



その代わり需要が一巡して、売れ行きが下がるのも早い。86の登録台数は、2013年には1カ月当たり1000台前後に落ち着いた。2014年には600~800台、2015年以降は500台前後で推移して、2019年は約400台だ。2020年は300台少々であった。



好調な売れ行きとはいえないが、売れ筋グレードの価格帯が300万円に達するスポーツカーというカテゴリーを考えると、この販売推移も納得できる。



スイスポに見る安価なスポーツカーの可能性

86の1カ月平均登録台数は、コロナ禍の影響を受ける前の2019年は前述の400台だが、フェアレディZは50台、レクサスRCは140台(RC Fを含む)、ロードスターが86と同等の400台であった。



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86の姉妹車となるBRZは、2019年の1カ月平均が100台少々だ。86の25%だが、スバルの店舗数は全国に約460箇所だから、トヨタの10%に留まる。そうなると1店舗当たりの売れ行きは、86よりもBRZが多い。



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以上のように2ドア/3ドアボディを備えたスポーツカーの売れ行きは、中堅レベルが1カ月に100~200台で、400台になると好調な部類だ。ちなみにコンパクトカーのヤリスやSUVのヤリスクロスは、登録台数をそれぞれ別々に算出しても、両車ともに1カ月当たり9000~9500台になる。この売れ行きに比べると、86やロードスターは約4%に留まる。



しかし、スポーティな車種が全部売れないわけではない。スイフトスポーツは、2019年、2020年ともに、1カ月平均登録台数が900~1000台に達した(1.2リッターエンジンのスイフトを除く)。86やロードスターの2倍以上だ。



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スイフトスポーツは、コンパクトカーのスイフトをベースに開発された5ドアハッチバックだから、86やロードスターのような純粋なスポーツカーではない。それでもエンジンは1.4リッターターボで動力性能に余裕があり、足まわりにはモンロー製のパーツを使うなど、いわゆる本物指向に仕上げた。



そしてスイフトスポーツの価格は、6速MTが201万7400円だ。新型のGR86、BRZ、ロードスター(1.5リッターエンジンのソフトトップ)と比べて、100万円前後は安い。



最近はスポーツモデルの価格が高騰した影響もあり、運転が楽しい割に価格は安く、実用性も相応に確保するスイフトスポーツに人気が集まった。従って購入しやすいスポーツモデルを発売すれば、需要は今後も増えるだろう。

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