この記事をまとめると
■日本メーカーは海外で販売しているEVを必ずしも国内市場に投入しない■200V普通充電が普及していない日本ではEVの販売台数の見込みが立たない
■行政が普通充電の普及を支援しないと世界に置いて行かれてしまう可能性がある
EVの普及には集合住宅への普通充電設備の設置が急務
各自動車メーカーから発売される電気自動車(EV)が、必ずしも国内市場で販売されない理由は明快だ。マンションなど集合住宅で、200Vの普通充電が多くの場合できないからだ。
したがって、日本でEVを発売しても販売台数の見込みが立たない。
日本は、一極集中の都市構造により、人口密度が非常に高い地域と、過疎によって極端に人口の少ない地域とに二極化されている。都市部は、富裕層も含めて集合住宅に住む人が多い。都市部への人口集中は、高齢化社会の進展にもよる。都市のほうが医療や介護の充実が進んでいるためだ。
したがって、日本でEVやPHEVを普及させるには、集合住宅の駐車場や月極駐車場に200Vの充電コンセント設置を進めるしかない。
行政も普通充電の普及に支援をシフトすべきだ
ところが、クルマを日常的に利用しない人や月極駐車場を管理する不動産業者は、EVやPHEVへの関心が低く、また大手媒体を含め世論として充電設備に関して急速充電器の普及が重要と考えているため、集合住宅や月極駐車場への普通充電設置の認識が高まらない。行政も、社会基盤への補助金などを進めているが、主体は急速充電器を視野に入れた内容だ。
しかし、EVやPHEVの充電の基本は自宅での普通充電にある。普通充電設備の普及が進めば、急速充電器整備への予算を減らしてもそれほど大きな課題とならず、税金の無駄遣いにもならない。
世論を普通充電の重要性に誘導しなければならない。たとえば、充電コンセント設置については、集合住宅の管理組合の合意を得なくても報告義務で済むようにするなど、商習慣の変更や法整備が必要だ。
そうした課題解決のため、日産自動車はマンション開発業者の一社である大京アステージと共に、集合住宅の管理組合へ働きかけを行うなどの手を打ってきた。だが、民間企業一社の努力では、世論の形成には至りにくい。ここは行政の支援が必要だ。
英国では、集合住宅の充電器設置に対する支援がはじまっている。欧州各国では路上駐車が一般的なので、日本とは違った事情があり、その点からもCHAdeMOとは違うコンバイン方式の充電規格が推進されている。
単にベータかVHSかといったかつてのビデオ方式の違いという話ではなく、その国や地域の交通事情、あるいは住まいの在り方を考慮した充電基盤整備が必要で、日本は集合住宅と月極駐車場への普通充電を急ぎ整備していかなければEVやPHEVの普及がおぼつかず、世界に置いて行かれてしまう懸念がある。

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