この記事をまとめると
■最近、海外で発表する日本車が増えている



■これは市場規模を考えてのことだ



■この記事では各国の市場規模について解説する



2019年の世界総販売台数は9042万3678台

最近、日本車なのに日本ではなく海外でワールドプレミア(世界初披露)されたり、日本よりも先に販売が始まるケースが増えている。



例えば、日産「フェアレディZ」や、スバル「レガシィアウトバック(北米はアウトバック)」などで、そうした傾向を強く意識した日本人が多いはずだ。



また、EV(電気自動車)については、次世代車に対する規制が厳しい中国でホンダがEVラインアップを発表したり、マツダが「MX-30 EV」を欧州で先行発売するなどしている。



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こうした日本メーカーが日本よりも海外優先という姿勢が目立つ背景には、市場規模が関係する。「売れるところで優先して売る」というのが、商売の基本である。



では具体的に、自動車の市場規模はどうなっているのだろうか?



各国の自動車工業会が連携する、OICA(オイカ)と呼ばれる国際自動車工業連合会では毎年、世界の国や地域での新車製造台数と販売台数を公表している。



例年だと、3月開催のスイス・ジュネーブショーでOICA関係者会議があり、筆者も何度か出席しているが、その際に前年分を発表している。



日本はそんなに小さい? アジア・欧州・北米……世界各地域のクルマの市場規模のリアルな数字



最新データによると、2020年の世界総販売台数は7797万1234台。当然だが、新型コロナ感染症拡大の影響で大きく落ち込んだ結果であり、2019年は9042万3678台だった。

このうち乗用車(パッセンジャーカー)は約3分の2となる6373万387台だった。



もっとも多いのはアジア・オセアニア・中東

では、2019年を地域別で見てみる。



もっとも多いのがアジア・オセアニア・中東で4348万3277台。次いで、欧州が2092万8769台、北米が2033万4190台となる。



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国別で見ると、もっとも多いのが中国で2579万6931台、次いでアメリカは1703万7088台である。アメリカはこの1700万台が天井であるとの見方が強いが、2000年代から経済発展が始まった中国にはまだまだ伸びしろがありそうだ。

なにせ、人口で考えると、中国はアメリカの4倍強の14億人もいるのだから。



こうした”数の現状”を踏まえれば、日系メーカーが中国市場と北米市場を優先するの は当然のことだと言えるだろう。



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人口では中国に次いで13億人台のインドは、381万6858台とここ数年で着実に増加しており、今後も上昇傾向は続くと考えられる。



一方で、日本は519万5216台で生産台数世界第3位を維持しているが、乗用車需要の約4割を日本固有の軽自動車が占めるという形で、世界市場との共通性が低いという特徴がある。また、日本は世界屈指の高齢化率が高い国であり、今後の少子高齢化によって自動車新車販売の下降傾向が顕著になると考えされている。



世界的に見れば、経済新興国での自動車販売はさらに伸びる可能性があり、近い将来に年間新車販売総数が1億台を超えることはほぼ確実な情勢だ。