この記事をまとめると
■エンジンはオイルなどが漏れないように部品間にガスケットを挟んで密閉されている



■ガスケットが抜けるとパワーダウンしたり水温が上がったりする



■ガスケット抜けはオーバーヒートによるブロックの変形などが原因となって起こる



エンジンを密閉するために重要なパーツとなるガスケット

クルマのエンジンには大体1万点の部品が使われていると言われているが、大雑把にいうとエンジンは、ヘッドカバー、シリンダーヘッド、シリンダーブロック、クランクケース、オイルパンの5層構造になっている。
これらの中を高い圧力がかかった燃焼ガスや冷却水、オイル、混合気、排気ガスなどが流動しているわけで、エンジンを正しく機能させるには、それらが漏れないように密閉することが非常に重要だ。



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そこで、エンジンパーツの主要な接点に薄い板状のパーツを挟み込むことで、混合気、燃焼ガス、排気ガス、冷却水、オイルなどの気密、液密を保つように設計されている。



その薄い板状のパーツが、いわゆるガスケットだ。



「抜ける」と「漏れちゃう」超重要部品なのに「紙製」なんてのもある!? エンジンパーツの「ガスケット」とは



ガスケットが使われているのは、シリンダーヘッドとシリンダーブロックの間=ヘッドガスケットをはじめ、インマニとシリンダーヘッドの間=インマニガスケット、シリンダーヘッドとエキマニの間=エキマニガスケット、その他、エキゾーストのフランジにもガスケットが挟まっているし、ウォーターポンプやクランクシャフト、カムシャフト、オイルパンなどにはパッキン(液体ガスケット)が使われている。



ガスケットが抜けると最悪の場合はエンジンブローを招く

これらの中でとくに重要なのはヘッドガスケットで、このヘッドガスケットが劣化したり、破損したりして機密性が保てなくなることを、「ガスケット抜け」という。



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ガスケットが抜けるとどうなるかというと、程度によって症状が変わるが、
・圧縮が抜けてパワーダウンする
・冷却水が漏れて水温が上がる(オーバーヒート)
・オイルに冷却水が混ざる
・マフラーから白煙が出る(燃焼室に冷却水が漏れるため)
といったことが起きる。



いずれも放置しておくと、もっと大きなトラブル(エンジンブロー)などにもつながるので、早目の修理が必要だ。



また、インマニガスケットが抜けるとそこから二次エアを吸い込んでアイドリングが不調になることがある(スカイラインGT-RのRB26DETTの純正インマニガスケットは紙製なので、劣化すると切れる)。



エキゾースト系のガスケットが抜けると、排気漏れが起きて、排気音が大きくなることも。



ガスケットが抜ける原因としては、エンジンがオーバーヒートして、ヘッドやブロックが熱で歪んでしまった可能性が大きい。



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また、ターボ車でブーストアップした結果、その圧力にガスケットが耐えられなくなったというパターンもある。



もちろん、ガスケット自体の経年劣化・寿命というのも考えられるので、古いクルマで上記のような症状が現れたり、冷却水の減りが早いと思ったら、早めに点検を行ない、異常があれば新品のガスケットに交換しておこう。

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