この記事をまとめると
■ACCとはアダプティブクルーズコントロールを指す■最近では多くのクルマがACCを装備している
■ACCは運転がラクになるだけでなく燃費にも有利に働く
かつてのクルコンとは別物
最近では、高級車、中級車だけでなく、コンパクトカーから軽自動車までもがACC=アダプティブクルーズコントロールを装備、用意するようになっている。ACCは例えばトヨタではレーダークルーズコントロールと呼ばれる先進運転支援機能で、かつてのクルコン(クルーズコントロール)とは別物だ。つまり、旧来のクルコンは一定速度で走るだけで、ペダル操作は不要になるものの、前車との距離を一定に保ったり、追従走行、渋滞時の停止、再発進などは行わない。
また、同じACCでも機能、作動は異なる。作動速度域が全車速、渋滞対応のものから、たとえば渋滞対応なし、約35km/h~115km/hという制限があるものもある。ここでのポイントは、ACCは高速道路、自動車専用道路でのみ使う機能なのだが(一般道でも使えないことはないが)、巡行時の追従走行でドライバーの運転に関わるストレスを低減してくれるとともに、実際に使ってみると、高速道路、自動車専用道路での渋滞時にこそ威力を発揮してくれる機能なのである。
ところが、渋滞対応機能なしのACCでは、そこでせっかくの機能が使えず、ACCの恩恵を100%享受できないことになる。これから新車、中古車を買う際、ACCが付いているとすれば、渋滞対応かどうか、ぜひともチェックしてほしい。高速道路の制限速度120km/h時代だから、作動上限速度も要確認で、今後、上限115km/hでは物足りなくなるはずだ。

これはカタログスペックだけでは判断できないポイントなのだが、ACCでの走行中、速度が落ちたあとの再加速性能も、使ってみると気になる点だ。現行ステップワゴンにもACCは付いているのだが、再加速性能がかなり穏やかで、けっこうヤキモキさせられるのだ。一転、BMWなどは再加速性能が想像以上に力強い設定になっている(好み、感じ方は異なる)。
ACCによって燃費が約10%向上
さて、ACCが高速走行でドライバーの運転に関わる負担を軽減してくれる機能であることは間違いないところだが、すでにACCを6年以上使っている筆者の経験では、ACCは実燃費向上にも役立つという印象を持っている。
そのあとも、何度もそうした実験!? を繰り返しているが、丁寧なアクセルワークを心がけていても、やはりACCの賢い制御には敵わないと感じている。
ACCのメリットはそれだけではない。前車との距離を一定に保ってくれるため、プレ自動ブレーキの役目を果たしてくれるとともに、車間が詰まりすぎたことによるあおり運転に勘違いされないという安全・安心まで手に入るのである。
話は逸れるが、それを一般道で可能にしたのが、新型ノア&ヴォクシーの最新のトヨタセーフティセンスに含まれるプロアクティブドライビングアシストだ。ACCが使えない(自動車メーカー的に)一般道で前車との車間が詰まると自動で減速してくれて車間を保ち、なんとカーブまで認識。

そして、あくまでも筆者のクルマでの話だが、速度の制御にブレーキシステムを使わないため(減速時にブレーキランプは点灯する)、ブレーキパッド、ブレーキローターの減りも最小限。利き優先でブレーキパッドが柔らかいとされるクルマにもう8年間乗っているが、ACCを常用しているせいか、いまだにパッド、ローターともに交換していない。
そして当然、ACCによってペダル操作をする機会が減るため、走行中、足腰の疲労低減につながるとともに、靴底の減り、ペダルラバーの減りも軽減しているという印象だ。それって、高速走行での実燃費向上(車種によって異なる)とともに、経済的!? 効果と言えるのではないだろうか。

付け加えるならば、高速走行中の渋滞時に一時停止し、作動が一時停止したあと、再発進にアクセルペダルまたはスイッチ操作が必要な渋滞対応ACCがある一方、たとえば、新型ノア&ヴォクシーのように、アクセルペダルまたはスイッチ操作が必要なしに自動再発進してくれるような高機能の持ち主もある。後者がより実用的で、ACCのメリットが最大限に生かされることは言うまでもない。ACCが付いているクルマであれば、機能の良否はともかく、せっかくの機能だから、ぜひ、使いこなしてほしい。