この記事をまとめると
■ボックス型ミニバンの弱点のひとつに、こもり音の発生のしやすさが挙げられる



■しかし新型ステップワゴンは驚くほど静粛性を高めている



■新型ステップワゴンのこもり音対策について解説する



ホンダ車の多くにウェイトが採用されている

ボックス型ミニバンのウィークポイントのひとつが、箱型ボディゆえ、路面などの影響で起こりうる車内にこもり音の発生だ。2022年1月に発売された新型ノア&ヴォクシーは、1列目席と3列目席がこもり音のピークとなっていて、そのピークの谷間にあたる特等席の2列目席ではほとんど感じられないものの、1-3列目席では、走行状況によってこもり音が気になることもあったりする。



ところが、2022年5月に発売された新型ステップワゴンは、開発陣が「走り、車内の静かさではライバルに負けない」と豪語するだけあって、遮音、吸音、そして意外や意外に室内の静粛性向上に効果があるボディ剛性のアップなど、徹底した静粛性対策を行っているところも大きな特徴となっている。

ボディ剛性に関しては、サイドシル断面の大型化に加え、センターピラー、スライドドアまわりに構造用接着剤を用い、リヤサススプリングの取り付け点剛性を強化することで、全体的な剛性を高め、それが走行中の静かさに寄与しているのである。



ステップワゴンの真価は静粛性にアリ! ミニバンの弱点「こもり...の画像はこちら >>



が、車内のこもり音の発生は、ボディ剛性のアップだけでは低減できないのも事実。新型ステップワゴンの開発陣に聞けば、ボディまわりの振動、振幅がこもり音発生の主要因とのこと。そこで、新型ステップワゴンが、こもり音を低減させるためになにを行ったかと言えば、まずは振動、振幅がこもり音の発生源のひとつであるウインドウである。これまた意外かも知れないが、フロント、リヤの大面積のウインドウは、じつは走行中に振動、振幅していて、その振動、振幅が車内のこもり音の発生に直接、影響しているという。ホンダ車の多くの車種の場合、そのフロント&リヤウインドウにウェイト(振動、振幅低減のための重り)を付けているのが通例で、もちろん、この新型ステップワゴンにもウインドウガラスウェイトが装着されている。



ストッパーマウントの数を先代の2点から4点に!

と、ここまではほかのホンダ車と変わらないこもり音対策なのだが、ここからがすごい。振動、振幅低減に効くフロント&リヤウインドウの取り付け部剛性を高め、さらに先代ステップワゴンより縦に約13cm短く、重量として約14kg軽量化されたバックドアの内側にある黒いゴム状のストッパーマウントを先代の2点から4点に増やすことで、車内のこもり音の原因となるバックドアそのものの振動、振幅を低減。もっと言えば、ボンネットも振動しやすいボディパネルであるわけで、そこが先代よりデザイン的にコンパクトになったことも、結果的にボディの振動、振幅低減に寄与していることになる。というわけで、これでもかっ!! と、こもり音対策を施しているのが、車内の静かさ自慢の新型ステップワゴンなのである。



ステップワゴンの真価は静粛性にアリ! ミニバンの弱点「こもり音」を大幅低減した「これでもか!」の対策とは



もちろん、こもり音だけでなく、振動変動量を5dB(約1.78倍)低減させたエンジンそのものの振動低減や、ロードノイズの車内への侵入の遮断に関してもハイレベルなのが新型ステップワゴンであり、ボックス型ゆえに、車内の静粛性、こもり音に不利なミニバンとして、これまでのMクラスボックス型ミニバンとは一線を画す車内の静かさが、あらゆるシーンで発揮されることになる。先代ステップワゴンの所有車なら、走行中の運転席の静かさは当然として、先代の不満点だった1-3列目席間の会話明瞭度が飛躍的に向上していることを理解できるに違いない。



ステップワゴンの真価は静粛性にアリ! ミニバンの弱点「こもり音」を大幅低減した「これでもか!」の対策とは



そんな、ボックス型ミニバンらしからぬ静かさも大きな魅力となる、初代回帰を思わせるエクステリアデザイン、進化したシートアレンジ性、3列目席の居住性向上、そしてついに電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能を備え、ACC(アダプティブクルーズコントロール)の渋滞追従機能まで手に入れた6代目新型ステップワゴンのe:HEV、ガソリン車の公道試乗記、静かさがミニバンにもたらす価値については、改めてこのWEB CARTOPで報告させていただきたい。

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