この記事をまとめると
■デジタルインナーミラーという先進装備がある■使い勝手に関しては意見が分かれる
■メリット・デメリットを解説する
意見がまっぷたつに割れる先進装備!
新型車の運転席に座ってみて、ふとルームミラーを見て違和感を覚えたことのある人はいませんか? 近年、軽自動車にも採用され始めているのが、見た目は従来の鏡と似ているのですが、じつは鏡ではなく、リヤウインドウ上部に設置されたカメラの映像を映し出す液晶ディスプレイとなっている、「デジタルインナーミラー」という先進装備。一部のモデルでは、ルームミラーだけでなくサイドミラーにも同様のシステムが採用されています。
従来の鏡に後方を映すタイプのルームミラーであれば、後部座席のヘッドレストやリヤウインドウの枠などが映っているはずなのに、デジタルインナーミラーは車体の外側を映し出すので、それが映りません。
ただ、さまざまな年齢や性別のドライバーに話を聞いてみると、デジタルインナーミラーは「便利」と感じる人と「気持ち悪い」「いらない」という人の意見がまっぷたつに割れるのです。
まずは好意的に捉えている肯定派の意見として、やはり「視界が邪魔されない」というのが大きな理由。映し出される範囲(角度)も広がるし、雨の日などにリヤウインドウの一部が曇ってしまっても、デジタルインナーミラーなら曇って見えなくなることがないのがいい、という人や、真っ暗な場所でも従来のミラーより見やすい、という人もいました。確かに、カメラの感度を高めれば夜間でも明るく映し出すことも可能なのがデジタルインナーミラー。高性能化に伴って、夜間の見やすさが向上するのはドライバーとして嬉しいポイントです。

また、いちいちミラーの角度を合わせなくていいから便利。というのも肯定派の意見です。デジタルインナーミラーは、スマホなどと同じ液晶ディスプレイなので、どの角度から観ても画像の向きが変わることがありません。
チラツキの発生は避けられない
では、否定派の意見を聞いてみましょう。これは年齢が上がるほど増えてくる、「なかなかピントが合わない」「疲れる」というデメリット。従来の鏡のミラーなら、焦点距離が前方視界の実像と同じなので、視線を前方からルームミラー、サイドミラーと頻繁に移しても焦点はほとんど変わりませんでした。それがデジタルインナーミラーは液晶ディスプレイなので、焦点を合わせてから視認することになります。若い世代はそれに慣れるのも早いのですが、加齢とともに眼の調整力が低下してくるにつれて、焦点が合わせにくくなり、はっきりと見るために眼を酷使することになって、それが「疲れる」と感じる原因と言えそうです。

また、これは年齢に関係なく「気持ち悪い」と感じるデメリットが、デジタルインナーミラーでどうしても発生してしまうチラツキ(フリッカー)。カメラを通して液晶ディスプレイに映し出される映像は、連続する静止画で構成されています。一方でLEDライトも細かく速い速度で点滅しており、これが液晶ディスプレイの表示と干渉してチラツキとなってしまうのです。後続車のLEDライトだけでなく、近年は街中の信号機やネオンサイン、道路標識などあちこちにLEDが使われているので、一度気になってしまうとストレスに感じる人も多そうです。
さらに、カメラを使っている以上、どうしても影響してしまうダイナミックレンジの狭さ。

ただ、なかには「絶対に鏡派」という人もいます。それは、後部座席に子供を乗せているため、子供の様子をミラーで確認したいから、というのが理由です。とくに、後ろ向きチャイルドシートを装着している場合には、後部座席のヘッドレストに子供の姿を映す鏡をセットしておいて、ルームミラーで合わせ鏡のようにして子供の様子を確認する人も多いです。デジタルインナーミラーでは車内がまったく映りませんから、そうした使い方ができなくなります。
また、これは本来の使い方とは違うのでどうかなという気もしますが、信号待ちなどでリップを塗り直したり、前髪を直したりするのにルームミラーを使いたいから、という女性もいました。そのためのバニティミラーがあるのでは? と聞くと、「サンバイザーに物を挟んでいるので下げられない」「バニティミラーを使ってるといかにも化粧直してます、みたいで恥ずかしいから」といった答えも。これは少数派の意見ですが、確かにデジタルインナーミラーでは化粧直しは無理ですね。
ということで、ますます搭載が進むと思われるデジタルインナーミラーに対する、肯定派と否定派の意見をご紹介しました。あなたはどっち派ですか?