この記事をまとめると
■ダートトライアルとジムカーナに参戦する細木智矢選手を紹介■それぞれの違いや魅力について本人に話を伺った
■“2足のわらじ”は今後も続くことになりそうだ
スイフトを武器にダートラとジムカーナに参戦
ダートコースを舞台にしたスピード競技の最高峰シリーズ、全日本ダートトライアル選手権の第6戦が9月3日~4日、福井県のオートパーク今庄で開催。混戦のJD5クラスを制したのは細木智矢選手でスズキ・スイフトを武器に今季4勝目を獲得し、最終戦を待たずして、同クラスで2連覇を達成したのだが、この細木選手はじつにユニークなドライバーだ。細木選手は2022年に合わせて舗装路を舞台にしたスピード競技の最高峰シリーズ、全日本ジムカーナ選手権にもチャレンジしており、スズキ・スイフトを武器に第3戦のタマダおよび第6戦の岡山に参戦。
2007年にダートトライアルへの参戦を開始した細木選手は、地方選手権での活動を経て2010年に全日本ダートトライアル選手権にデビューした。以来、ダートトライアルの最高峰シリーズで活躍していたが、細木選手によれば「地方選手権に参戦していた頃はジムカーナの練習会にも参加していました。全日本に参戦するようになってからはダートトライアルに専念していたんですけど、サポートを受けているスズキワークス久留米さんから、“いままではダートトライアルで製品開発をやってきたけど、舗装のお客さんが多いので、ジムカーナでも製品開発をやっていきたい”という話をされまして2020年から地方選手権ですが、ジムカーナの勉強を始めました」とのこと。さらに2022年には1台のマシンを複数のドライバーでシェアする“ダブルエントリー”という形式ながら、細木選手は全日本ジムカーナにもデビューを果たし、前述のとおり、タマダと岡山の2戦に出場したのである。

ダートラとジムカーナはまったくの別物!
全日本選手権で12年のキャリアを持つだけに、ダートトライアルでは常にトップ争いを展開している細木選手だが、ジムカーナでは苦戦を強いられているようで全日本のデビュー戦となったタマダでは15位に低迷。さらに岡山では10位に沈んでいるのだが、細木選手によれば「ダートトライアルとジムカーナはライン取りや攻略のポイントを含めてまったく違いますからね。それにダートトライアルはずっとやってきたので、無意識にドライビングできているんですけど、ジムカーナはまだ始めたばかりなので、コントロールの仕方を考えながらドライビングをしています。コースに対する対応が二の次なので遅れてしまうし、秒差で開くことのあるダートトライアルと違ってジムカーナはコンマ差の勝負なので難しいですね」と語る。

ちなみにダートトライアルの魅力について細木選手は「滑りやすいし、ブラインドコーナーが多いので最初は恐怖から始まるんですけど、うまくコントロールできるようになれば豪快な走りができるのでそこが楽しいです」とのこと。一方、ジムカーナの魅力については「クルマのセットアップやドライバーのコース攻略が違うのにコンマ数秒のシビアな世界ですからね。難しいところでもあるけれど、面白いところでもあると思います」とか語っている。

さらに気になる参戦コストについては「ダートトライアルはロールケージが必要なので初期投資が必要なんですけど、ドライバーのテクニックが勝敗を左右します。ジムカーナは入りやすいんですけど、クルマの良し悪しが大きく出てきますからね。リザルトを求めるとジムカーナもコストはかかってきますよ」とのことだ。
「スズキワークス久留米としては、ダートトライアルで安定して成績を出せるようになったので来年はジムカーナで本格的な活動をしたい……という意向ですし、個人的にもダートトライアルとジムカーナで全日本チャンピオンに輝いたドライバーはいないと思うので2023年は本格的にジムカーナにチャレンジして、チャンピオンを目指したいと思います。岡山ではペナルティで10位に終わったけれど、タイム的には5番手につけられたので感触は悪くないですね」と細木選手。
さらに「ダートトライアルのフル参戦は今年が最後になると思いますが、2023年も近いところはスポット参戦したいですね」と語っているだけに、細木選手の“2足のわらじ”は続くことになりそうだ。